心不全の看護計画・ポイント・問題|急性/呼吸困難/末期

仕事ノウハウ

心不全の看護計画

心疾患のほとんどが、進行することで最終的に心不全となります。心臓の機能が低下して、心拍出量が減少して全身の隅々までに循環が回らなくなることによって起こる障害で、急に症状があらわれる心不全が急性心不全です。

そして、高血圧や先天性の心疾患など長期間にわたって心不全症状と付き合わなくてはいけないのが慢性心不全です。 心不全と一言で言っても、左心不全と右心不全に大きく分けられます。また、両方の症状があらわれる両心不全があります。ほとんどの場合、左心不全から起こり始めて右心不全になることで両心不全が発症することが多いです。 心不全の看護計画や看護をしていく上で必要な観察項目などとして、次のようなことが挙げられます。

心機能の低下によって心拍出量が低下する恐れがある

看護をする上で、患者がどのような状態になれば良いのか、そのようにするためにはどのようなことに気を付けなくてはいけないのかを理解しておかなくてはいけません。そのために、目標を挙げる必要があります。

この看護計画においての目標としては、心機能が今よりも低下してしまうことがないように看護をすることです。 では、観察・実施・指導の順に実際にどのように看護するべきなのかをみていきます。

観察

・呼吸困難や疲労感、皮膚蒼白、チアノーゼ、抹消循環不全など心拍出量が減少することによって起こる症状があらわれていないかを観察します。 ・血圧や心拍出量、肺動脈圧など全身の血行状態を観察します。 ・カラダにモニターを装着して、心拍数や波形を観察し不整脈がないかを観察しましょう。 ・カラダに入ってくる点滴や水分補給の量と出ていく尿量などin-outバランスを観察します。 ・必要時、採血やレントゲン撮影、心電図など検査を行い状態を把握します。

実施

・患者が楽な姿勢で安静を保つことができるように、体位を工夫します。 ・指示された薬剤、量を厳守します。 ・ショックが起こった時に備えて、蘇生が行えるよう準備しておきましょう。

指導

・今以上に状態が悪化しないように、決められた活動制限をするように説明し理解してもらいます。

♯肺うっ血によって呼吸障害が起こる可能性がある

心機能が低下することで、心拍出量が低下して換気がうまくできず肺うっ血が起こります。すると、呼吸障害が起こる可能性が高いです。

呼吸障害が起こらないようにするために、今以上にひどくならないようにするために状態が安定する看護を行う必要があります。

観察

・傾眠傾向ではないか、低酸素状態ではないかなど意識状態を確認します。 ・呼吸状態の確認をしましょう。 ・咳や痰の状態、吸引の必要性などを観察します。 ・適宜採血などの検査を行い全身状態を観察します。

実施

・患者が楽だと思う体勢に整えましょう。 ・必要時には、酸素療法を行います。

指導

患者は、自分の状態がどのようになっていくのか不安に感じていることが多いです。なぜ検査をしなくてはいけないのか、どうして体勢によって楽なのか、どのように治療していくのかなど簡単にでも良いので知ってもらい、理解してもらうと治療に積極的に参加してもらいやすいです。

浮腫みによって循環が悪くなり皮膚障害や感染を起こす可能性

心不全症状は、心臓の機能だけではなく皮膚にも影響が起こることがあります。それが浮腫みです。浮腫みがあることによって、血管やリンパなど圧迫されやすく循環が悪くなりやすいです。

循環が悪くなると、皮膚にも障害が起こりやすいです。また、障害が起こっている場所から、何らかの菌などが繁殖したりすると感染を引き起こしてしまったりすることもあります。 すると、心不全の治療だけではなく皮膚の治療も必要となってきます。そのようにならないために、ケアが必要です。

観察

・皮膚状態の観察をします。 ・全身の浮腫みの状態を観察し皮膚が赤くなっている場所や褥瘡ができていないかを確認しましょう。

実施

・同じ体勢にならないように、同じ場所が圧迫され続けないように体位交換やクッションなどを利用して圧が同じ場所に当たらないようにします。 ・シーツや寝衣などシワにならないようにしっかり伸ばします。 ・皮膚が汗や汚れたままにならないように、清潔を保ちましょう。

指導

服や下着など着るモノは、カラダが締め付けられないモノや肌に刺激が少ない素材を着るように伝えましょう。

心不全に関して理解不足のため再発する可能性がある

看護師は、病態のことを看護することはもちろんですが第一は病気になっている患者自身が自分のことをわかっていなくては、今後の生活がどのようになるのか心不全に対して管理ができないこともあります。

管理ができないということは、再発する可能性もあるということです。そのようなことがないように、心不全に関して理解をしてもらわなくてはいけません。

観察

・呼吸状態を観察します。 ・尿量と水分量のバランスを把握しましょう。 ・体重の変化を知りましょう。 ・病態の理解がどれくらいできているかを把握する必要があります。 ・内服管理ができているかを確認しましょう。 ・検査データを把握しましょう。 ・食事内容の観察をします。

実施

・現在の状態を説明をします。 ・適切な食事量や食事内容、水分量にしましょう。 ・内服管理ができるのかを観察しましょう。

指導

・患者の病態を説明し、理解しているかを確認しましょう。 ・食事や行動など制限があることやしてはいけないことなどが理解できているか、できていなければわかりやすく覚えられるように説明をします。 ・退院後の生活に不安を感じないように、疑問を解決させていきましょう。 ・自分で内服が管理できるのか、できなければどうすれば良いのかなど内服が確実に管理できるように指導しましょう。

心不全の看護の問題

心不全の看護問題として、次のことが挙げられます。

・肺うっ血が起こることによって、呼吸障害を起こす可能性があります。 ・心機能の低下によって、心拍出量が減少する可能性があります。 ・カラダに入る液量が多すぎることによって、心不全が悪化する可能性があります。 ・うっ血や浮腫みによって、褥瘡や感染などを起こす可能性があります。 ・理解不足によって、心不全を再発する可能性があります。 ・日常生活に制限があることで、精神的に不安定になる可能性があります。 ・患者によっては、内服の管理が難しい可能性があります。

急性心不全の看護

急性心不全は、ほとんどの心疾患が原因となり起こります。この場合、心不全に対しての治療を行うとともに原因となっている心疾患の治療も行わなくては生命に関わります。

心不全の原因や症状などを理解し、適切な看護を行うことが必要です。

心不全で呼吸困難になった時の介護

心不全になることで、呼吸困難の症状が出てくることがよく知られています。この呼吸困難になってしまった場合には、酸素吸入や人工呼吸器など状態に合わせて呼吸がしやすいように器械を選ばなくてはいけません。

また、呼楽にできるように体勢を整えたり、痰が詰まるようであれば適宜吸引などを行ったりと換気しやすいようにしましょう。
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