大腿骨頚部骨折の看護過程・リハビリ・症状|高齢者/歩行訓練

仕事ノウハウ

大腿骨頚部骨折の看護でのリハビリのプログラム例

大腿骨頚部骨折の看護過程・リハビリ・症状|高齢者/歩行訓練

大腿骨頚部骨折は、骨粗鬆症や老化によって骨が弱くなってしまった高齢者の女性に生じやすい疾患です。大腿骨頚部骨折のほとんどが転倒により起こり、毎年10万件以上発症しているとされています。

大腿骨頚部骨折をきっかけとして、寝たきりになってしまう患者さんも多く、排泄動作や食事動作などの日常生活の動作に介助が必要となります。日常生活動作はADLとも呼ばれ、大腿骨頸部骨折は、ADLを大きく下げる原因になりやすい疾患になります。 大腿骨頸部骨折が治癒した後であっても、患者さんのADLが保たれるように看護が必要となります。大腿骨頚部骨折の看護でのリハビリをご紹介します。

大腿骨頚部骨折とは

大腿骨頚部骨折は、大腿骨頸部内側骨折と、大腿骨頸部外側骨折の2種類に分けられます。関節包の中で骨折した場合、大腿骨頸部内側骨折と呼ばれます。関節包の内側は、血液の循環が悪く、骨が癒合しにくいです。関節の内側での骨折なので、骨折による出血が少ないという特徴もあります。

大腿骨頸部外側骨折は、関節包の外側で起こる骨折です。大腿骨頸部内側骨折よりも血液循環が良く、骨癒合がしやすい骨折となります。しかし、内出血が多く、患者さんの全身状態にも影響を与える可能性があります。出血が多い場合には、輸血を行う可能性もあります。

大腿骨頚部骨折の手術

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大腿骨頚部骨折の手術方法は、骨接合術と人工骨頭置換術の2つに分けられます。大腿骨頚部骨折の手術方法をご紹介します。

骨接合術

骨折部のズレが大きいと、大腿骨頭に血流がいかずに、骨頭が壊死してしまう可能性があります。そのため、骨折部のずれが少ない場合には、骨接合術を行います。骨接合術とは、金属のプレートやスクリューなどの器具を用いて行います。骨粗鬆症などで元々骨質が低下している場合であれば、転位が発生しやすく、難しい手術となります。

人工骨頭置換術

大腿骨頚部骨折で多い手術方式が人工骨頭置換術です。骨折部のズレが大きい場合、骨頭壊死の予防のために人工骨頭置換術が行われます。人工骨頭置換術は、骨折した部分を切り取り、セラミックスなどで作られた股関節に置き換える手術方法です。骨頭壊死は避けられますが、手術時間が長くなったり、脱臼のリスクがあるというデメリットがあります。

高齢者

大腿骨頚部骨折を呈する患者さんのほとんどは高齢者です。高齢者が1週間安静状態にいると、筋力や可動域が大幅に低下します。病前の筋力や可動域に戻り、動けるようになるにはかなりの努力が必要となります。

ベッド上であったとしても、寝ているだけでなく、なるべく起きている時間を増やすことで、廃用症候群を予防でき、少しでも早く体力をつけることができます。疼痛が強くて動けない場合には、薬物療法などの看護ケアを行いましょう。また、看護ケアを行う際には少しでも離床を促せるように声かけするように心掛けましょう。 また、活動性の低下によって褥瘡が起こらないようにポジショニングを行ったり、除圧の方法を看護師から指導するようにしましょう。

歩行訓練

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大腿骨頚部骨折では、手術を行った後1週間程で痛みや腫れが和らいでくることが多く、痛みや腫れの軽減に伴い本格的なリハビリテーションを行います。

しかし、リハビリテーションを行っていくことで、股関節周囲の筋の過負荷により、炎症や腫れを生じ疼痛が生じることが多いです。歩行訓練と同時に、看護師は必要に応じてアイシングなどの疼痛管理も行いましょう。また、歩行が行えるようになれば、トイレや浴室まで看護師が付き添って歩行を行うなど病棟での歩行訓練も行うようにしましょう。
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