口腔ケアを通した看護の目標
看護師による口腔ケアの役割を理解しておくだけでなく、口腔ケアを通した看護の目標も考えて口腔ケアを行うことで、さらに患者さんに適切な口腔ケアを行うことができるでしょう。
まず、「患者さんの個別性に応じた口腔ケアができる」という目標を立てることことが大切です。口腔ケアが必要な患者さんは大勢いますが、患者さん一人一人の病状やADLは異なります。そのため、看護師は患者さんの状態をしっかり把握して、個別性に合った口腔ケアができなければなりません。 また、「口腔内を清潔に保ち、感染や誤嚥性肺炎などの疾患を予防できる」という目標を立てることも大切です。食事を経口摂取していなくても、細菌などにより口腔内は汚染されますし、唾液の流れ込みなどにより誤嚥性肺炎のリスクもあります。看護師は、口腔内を清潔に保ち、疾患を予防することも大切です。口腔ケアを行う際の観察項目
口腔ケアを行う際は、ただ単に口腔内を清掃すればいいわけではありません。口腔ケアを行うときには、多くの観察項目に関しても確認する必要があります。どのような観察項目を意識して口腔ケアを行えばいいのか見ていきましょう。
歯のぐらつきや虫歯はないか
歯茎のやせなどにより、歯のぐらつきが生じることがあります。ぐらつきのある歯をそのままにしておくと誤嚥などのリスクもあるため、ぐらつきが認められれば医師に報告をし、指示を仰ぐようにしましょう。
また、虫歯もそのままにしておくわけにはいきません。医師に報告をし、歯科医に診察をしてもらったり、歯科への受診を検討してもらうようにしましょう。口腔内の粘膜に異常はないか
基本的に、口腔内の粘膜は暗赤色です。看護師は粘膜の色が正常かということや、潰瘍やびらんなどの異常が生じていないか、毎日の口腔ケアで確認するようにしましょう。
また、歯茎はピンク色であることが正常です。赤くはれていたり、少し触るだけで出血するようであれば異常が生じているサインですので、医師に報告をしてください。舌苔はないか
舌苔があると味覚が低下するだけでなく、口臭などを引き起こす原因にもなります。舌苔を一度ですべて取り除くことは難しいため、毎日の口腔ケアで歯だけでなく舌の汚れもとるように意識をするようにしましょう。
看護師が口腔ケアを行う際の留意点
看護師が患者さんに対して口腔ケアを行う際、気を付けなければならない留意点がいくつかあります。どのようなポイントに留意すべきか紹介しますので、口腔ケアをするときは注意しましょう。
体位の工夫
口腔ケアを行う際、仰臥位に近い姿勢だと口腔内の水分や唾液が肺へ流れ込む危険性があります。座位を保てる患者さんであれば、口腔ケアを行う際は座位で実施するようにしましょう。座位が難しい場合は、側臥位になっていただくなどの工夫が必要です。
本人ができることは本人にしてもらう
看護師が患者さんに口腔ケアを行う場合、ついすべての手順に対して介助をしてしまいがちです。しかし、患者さんが自分でできることにまで看護師が手を貸すと、依存的になってしまったりADLが低下する可能性があります。
患者さんが自分でできることは患者さん児死人に行っていただくよう、見守ることも大切です。無理やりしない
仕事の時間が押していたり、ナースコールの対応などが忙しい場合、無理やりにでも口腔ケアを実施しようと考えてしまいます。しかし、患者さんが嫌がっている時や興奮状態にある場合などは、口腔ケアを無理強いしないようにしましょう。
無理やり口腔ケアを行うことで患者さん自身が嫌な思いをしますし、看護師に危険が生じることもあります。安全に口腔ケアを行えるよう、意識しましょう。