サンクコストの呪縛の例・サンクコストに関する心理学と効果
サンクコストの効果
日常に潜むサンクコスト効果(コンコルド効果)を見ていきましょう。1つくらいは身に覚えがある方もいるでしょう。
恋愛
例えば、何度も食事をご馳走しているお付き合いしたい相手がいます。付き合いたいという旨も伝えているにも関わらず、相手ははっきりと意思を示しません。しかしこれまでに費やした食事代やプレゼント代、費やした時間などに引きずられて諦めることができない、というのもサンクコストに当てはまります。
この心理は、お付き合いしている、いないに関わらず見られる心理です。例えば長く付き合ったカップル、夜のクラブにも当てはまります。「長い間付き合ったし、これ以上良い人には会えないかも」「あと1回通ったら同伴してくれるかも」などが挙げられます。 このように恋愛において時間、金額に引きずられるサンクコストの例は、多いといえるでしょう。ギャンブル
ギャンブルもサンクコストの呪縛に当てはまります。ギャンブル好きな方は「あと1回で取り戻せる」と挑戦します。しかしその保証はどこにもありません。費やした金額、さらに保証のない事柄に固執してしまうのもサンクコストの呪縛の1つです。
ソーシャルゲーム
ソーシャルゲームにおいても、サンクコストの罠が上手に利用されています。ゲームでは、強い敵を倒すために、強力な武器が必要になる場合があります。武器は1つ100円だとしましょう。あと少しでボスを倒せそうなのに、どうしても武器の威力が足りない、と感じたら課金してでも武器を購入する方も多いのではないでしょうか。
これは今までに費やした手間、時間を上手に利用したサンクコストの例といえるでしょう。営業
企業、営業におけるサンクコストの例は、入札です。入札では欲しい権利、サービスなどが一番高い値をつけた企業が入札できます。つまり欲しいと考えている権利やサービスなどを最も高く見積もった企業が権利を得ることができます。しかしその権利が値に見合っていなければどうでしょうか。入札したにも関わらず損をしたことになります。
入札は他社との競争です。いかに入札を成功するかばかりにフォーカスしてしまい、実際の価値を見誤る、または後に退けなくなるという現象がでてきます。これもサンクコストにおける呪縛といえるでしょう。スクール・習い事
例えば、全く上達しない学習や習い事を続けていたとします。最初は楽しくても、ついには飽きてきてしまいました。それにも関わらず、すぐに辞めることができないということはありませんか。「3年も続けたしもったいない」「もう少ししたら上達するかも」という気持ちに引きずられて続けてしまうのも、サンクコストの呪縛です。
買い物
買い物にかかった時間や手間を考えて、必要以上にお金を使ってしまうのもサンクコストの呪縛です。
例えばいつもより遠いデパートに買い物に来たとします。しかしお目当ての商品が見つかりませんでした。ここで合理的な判断をするとすれば、何も買わずに帰ってくることです。それにも関わらず「せっかく遠くまで来たんだから」と必要のないものまで買って帰る行動も、サンクコストの呪縛です。サンクコスト理論の提唱
ここからは、サンクコスト概念を発展させた理論の提唱をご紹介します。
コンテスタビリティ理論
コンテスタビリティ理論とは、米国の経済学者ボウモルが提唱した理論です。簡単にいうと、「もしサンクコストが存在しない市場があったら、平等な競争が可能なのではないか」という理論です。
例えば、事業を起こすためには、初期投資が必要なのでサンクコストが発生してしまいます。それが参入障壁の一つになるのですが、これが参入、退出が自由であれば1つの企業や団体が利益を独占することがないというという理論です。つまり不平等を避けることができるということです。 この理論が現在の規制緩和の柱の1つとなっています。サンクコストはバイアスなのか
ここからは、サンクコストはバイアスかどうかを考えていきましょう。バイアスは偏見、先入観のことをいいます。
ここで、バイアスの観点から、行動経済学のテーマの1つである確証バイアスをご紹介しましょう。