交通事故の慰謝料の裁判の基準と計算式・範囲・支払い期間

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交通事故の慰謝料の基準は?

交通事故の慰謝料の裁判の基準と計算式・範囲・支払い期間

ニュースや新聞では、毎日のように交通事故について取り沙汰されています。ただし、報道されている交通事故はごく一部で、交通事故総合分析センターによると、2017年の交通事故件数は、47万2165件にものぼっています。そしてその中で死亡事故につながったものは、3630件となっており、死者数は3694人となっています。

車を運転する人はもちろん、歩行者としても、交通事故は決して他人事ではありません。 交通事故の被害者になると、加害者に交通事故の慰謝料を請求することができます。交通事故の状況(過失割合など)によって、または被害者の怪我の程度によって慰謝料の額は異なりますが、一般的には以下の3つの基準で計算されます。

自賠責基準

自賠責基準は、加入が義務付けられている自動車賠償責任保険から支払われる保険金額を計算する基準のことです。自賠責保険は、交通事故の被害者の損害を最低限補償するためのものなので、保険金額は低額になります。交通事故の慰謝料の計算式もきちんと決まっているので、いくらもらえるかが素人にも分かりやすいのが特徴です。

任意保険基準

任意保険基準は、任意で加入する自動車保険から支払われる保険金額を計算する基準のことです。各保険会社や契約内容によって、保険金額は異なりますが、自賠責基準よりも高くなるのが一般的です。

ですが、保険会社は営利企業なので、会社によっては保険金をあまり払いたがらないこともあり、交通事故の慰謝料がなかなか高額になりにくいのが現状です。ですので、任意保険基準で交通事故の慰謝料を算出する場合は、保険会社との話し合いをしっかり行うことが大切です。

裁判(弁護士)基準

裁判(弁護士)基準は、弁護士が交通事故の慰謝料などの損害賠償を交渉するときに用いる基準です。3つの中では保険金額が一番高額になります。

ですが、この基準は、弁護士に依頼をしなければなりません。加入している保険に弁護士特約がついていたり、弁護士に報酬を支払ってももらえる金額が多くなる場合であれば、特に問題ありませんが、そうではない場合、むやみやたらに弁護士に依頼すると、もらえるお金より弁護士報酬で出ていくお金の方が多かった、ということになりかねません。 裁判(弁護士)基準で交通事故の慰謝料を請求したい場合には、それをよく考えてから実際に弁護士に相談・依頼しましょう。無料で利用できる「交通事故紛争処理センター」などもあります。

交通事故の慰謝料を裁判基準で計算すると?

交通事故の慰謝料の裁判の基準と計算式・範囲・支払い期間

交通事故の慰謝料金額の3つの計算基準をみてきましたが、その中でも一番高額な裁判(弁護士)基準は、どういった計算式で慰謝料を算出するのでしょうか。

交通事故の慰謝料と一言で言っても、その中には「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。では種類別に計算方法をみてみましょう。

入通院慰謝料の計算式

交通事故の慰謝料の裁判の基準と計算式・範囲・支払い期間

入通院慰謝料とは、交通事故で入院や退院後も通院を強いられた場合に、被害者の肉体的・精神的な損害を賠償することです。

入通院慰謝料の金額は、入通院を強いられた期間と怪我を負った部位や怪我の程度により決定されます。一般的に「赤い本」や「青本」、「緑の本」と呼ばれるものに記載されている慰謝料表を参考にして、慰謝料を決定していきます(下のリンク先に表が乗っています)。 ですが、この表はあくまでも参考なので、通院の頻度や傷害の部位、程度または交通事故の過失割合などさまざまな事情で金額は変わります。例えば、「赤い本」の表によると、通院のみ3ヶ月なら73万円、入院のみ3ヶ月なら145万円、入院3ヶ月後に通院3ヶ月なら188万円となります。

後遺障害慰謝料の計算式

交通事故の慰謝料の裁判の基準と計算式・範囲・支払い期間

後遺障害慰謝料とは、交通事故の怪我により治癒しないまま残ってしまった機能障害、神経症状などの損害を賠償することです。このような後遺症状には、むちうちの痛みや手足の痺れなどの軽いものから、足が動かなくなってしまったといった重度のものまで、幅広い症状が含まれます。

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害の症状別に慰謝料が異なります。入通院慰謝料と同じように、「赤い本」や「青本」などに慰謝料表が記載されていますので、それを参考にして決定されます。ただしこれも、参考にされる程度なので、この金額が単純にそのまま慰謝料の金額になるわけではありません。

死亡慰謝料の計算式

交通事故の慰謝料の裁判の基準と計算式・範囲・支払い期間

死亡慰謝料とは、交通事故によって被害者が死亡した場合、被害者本人とその被害者の遺族に対して支払われる慰謝料のことです。交通事故の死亡慰謝料は、死亡者が一家の中でどの位置にいたのかによって、金額が変わります。

例えば、死亡者が一家の支柱(家族の生活を収入面から主に支えている人)の場合、慰謝料は2800万~3600万円程度、母親や配偶者の場合は2000万円〜3200万円、独身の男女の場合は2000万~3000万円程度、高齢者の場合は1800万〜2400万円程度、子どもの場合は1800万〜2600万円程度です。

交通事故の慰謝料を任意保険基準で計算すると?

交通事故の慰謝料の裁判の基準と計算式・範囲・支払い期間

交通事故の慰謝料の任意保険基準は、一般に公開されておらず、明確な基準が明らかにされていないのが現状です。また、各保険会社によっても計算内容が異なるため、被害者にとっても、保険会社から提示された金額が妥当なのか判断する術がありません。保険会社によっては、不当に低い金額を提示してくるところもありますので、交通事故に遭ったときは注意が必要です。

提示された金額で特に問題ないということであれば、それでも良いですが、もし少しでも疑問や不満に思うことがあれば、弁護士に相談した方が無難でしょう。
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