うつ病の看護の方法・観察項目・看護計画|急性期/回復期

仕事ノウハウ

うつ病の症状として、「死にたい」「自分はだめだ」などの自分を否定する発言はもちろん、食欲や睡眠、表情、声のトーンなど身体的な変化があります。また、一日の中でも変化はあるため看護を行うためにどのような事を観察して、必要な看護を行えばいいのか計画を立てていくことが大切です。

気分が改善しているか

うつ病になると気分が沈んでしまうため、まずは、抑うつ気分が改善傾向にあるか観察をします。気分は一日の中でもとても変化をするため慎重に観察をする必要があります。また、本人が言葉で「気分がいい」などと表現をしても、表情や行動、一日の過ごし方なども観察をして総合的に判断をすることが大切です。

観察のポイント

・抑うつ気分がどの程度か ・患者の言動や行動、表情など ・一日の中の気分の変化 ・服薬の拒否や自己中断をせず、指示どおりに内服ができているか ・日常生活の送り方

食欲

うつ病になると、食欲が低下したり、食事をすることを拒否してしまいます。そのため、栄養状態が悪化してしまったり、エネルギー不足になってしまいます。看護としては食事の支援や、食事がとれない場合の看護などさまざまな方法があります。

観察のポイント

・食事の摂取量や間食の有無 ・全身状態(顔色や脱水の有無、皮膚状態など) ・体重の増減 ・検査データ

睡眠

うつ病は、睡眠にも影響します。夜中に何度も目が覚めたり、寝つきが悪い、眠っているはずなのに疲れが取れないなどの訴えがあります。逆に、昼間に強い眠気に襲われ仕事中に寝てしまうなどの症状もあります。眠れないこと自体を不安に感じてしまい、それが不眠の一因になることもあるため、看護としてはリラックスできる方法などを伝えることがポイントです。

観察のポイント

・目覚めや入眠の状態など ・中途覚醒の有無や回数など ・昼間、どの程度眠いか、頭痛などの症状がないか、日中の活動に影響があるかなど ・環境的問題(寝具が合わない、音が気になるなど) ・不安や心配事の有無

清潔にできているか

うつ病になると、意欲が低下してしまうため掃除ができなくなったり、自分の身なりを清潔に保つことができなくなります。看護としては、患者ができていないことを伝えるのではなく、できることから一つずつ清潔にできるように支援をしていくことが大切です。

観察のポイント

・そうじやごみ捨てなどができているか ・お風呂に入ったりできているか ・歯磨きや爪切りなどができているか ・清潔な服装か

一日の活動量

うつ病になると、気分が沈んでしまうため布団の中から全くでることなく一日が終わってしまうこともあります。特に、急性期の頃は何日も布団から出ることなく過ごしてしまう人もいます。食欲も低下していると栄養状態が悪くなりやせてしまいます。

さらに、寝たままでいると褥瘡の原因になります。看護としては、無理に活動させるのではなく、患者の状態に合わせて布団の上でできるストレッチや、少しずつ体を動かすことを伝えることが大切です。

観察のポイント

・活動したい気分か ・現在は、どの程度動いてもいいと感じているか ・一日をどのような事をして過ごしているか ・活動をしないことで、体に痛みはないか ・関節が動かしにくいなど感じていないか

うつ病の看護の看護計画の立て方

うつ病の看護の方法・観察項目・看護計画|急性期/回復期

気分が改善しているか

うつ病になったときに気分を改善させるためには、医師の指示どおりに内服をすることも大切です。しかし、精神科の薬に対して、効果を実感できない、副作用が怖い、薬を辞めれなくなりそうで嫌だなどと感じてしまい、内服することに抵抗を感じる人は少なくありません。

看護師は、看護計画のポイントとして、薬の効果や、正しく内服すること、必ず治る病気ということを説明を行うなどを支援する看護計画を立てることがポイントです。

看護計画のポイント

・服薬を確実に行うように支援する ・清潔が維持できているか、できていない場合は自尊心を傷つけないように支援をする ・安易な励ましはせずに、患者の気持ちに寄り添う ・安心、リラックスできる環境で休息ができるようにする ・患者とコミュニケーションをとり、信頼関係を築く ・患者にとって大きな決断はしない

食欲

食欲は気分が改善されないと、「食べよう」と言う気持ちにもつながりません。食事をとらなければいけないことは患者自身もわかっていることではありますが、うつ病になってしまうと食事をとることを必要と感じません。看護師は、看護計画を立てるときに患者の気持ちを無視した看護計画を立てるのではなく、患者の気持ちに寄り添った看護計画を立てることが大切です。

看護計画のポイント

・患者の状態に合わせて食事の配膳や介助を行う ・患者とコミュニケーションをとり、信頼関係を築く ・患者に負担にならない程度の声掛けなどを行う ・少しでも食事ができる環境づくりをする ・食事が摂取できない状態が続くようであれば、医師に相談をする ・全身状態を観察をし、医師と相談をしながら必要な治療を取り入れる ・体重測定やIN-OUTバランスのチェックを行う

睡眠

睡眠は、少しの不安や環境の変化にも影響されます。特に、うつ病で入院をすると仕事を休職して入院をするため、「会社に迷惑をかけている」「自分はだめだ」などマイナスの思考や「早く仕事に戻らなければ」など焦りなども不眠の一因になります。

まずは、しっかりと休息をすることや治療の必要性などを患者の気持ちに寄り添いながら説明をすることが大切です。そして、少しずつ不安を取り除くことで不眠が軽減されます。看護計画としては、睡眠のパターンを把握する、患者の気持ちに寄り添いながら不眠に対する治療を計画するなどの看護計画を立てることが大切です。

看護計画のポイント

・患者の睡眠パターンを把握 ・必要に応じて医師と患者と相談をしながら内服薬を決める ・不眠の訴えがある場合には、話をよく聞き原因を把握する

清潔にできているか

うつ病になると、気分が沈み何事に対しても意欲は低下してしまいます。また、一日を布団の中で過ごしてしまうこともあるため、環境を清潔に保てなくなったり、入浴をしない、歯を磨かないなど身体の清潔も保てなくなってしまいます。看護師は看護計画を立てるときには、少しずつ患者自身が清潔を保てるように支援をする看護計画を立てることが大切です。

看護計画のポイント

・患者の気持ちに寄り添いながら、清潔を保てるように支援をする ・患者の状態を観察しながら、少しずつ清潔を保てるように促す

一日の活動量

活動をすることで気分転換につながりますが、うつ病になり気分が沈んでいると布団から起き上がることもできなくなってしまいます。また、うつ病になったことで食事を十分に摂取できず、栄養のバランスも悪くなり同じ態勢で布団の中で過ごしていると、褥瘡などのトラブルの原因にもなります。

看護師は、看護計画を立てるときには、無理に活動させるのではなく、患者自身が少しずつ活動できる看護計画を立てることがポイントです。

看護計画のポイント

・患者の状態を観察しながら、活動することを促す ・起き上がる、椅子に座るなど簡単なことから一緒に活動をする

うつ病の看護の看護目標の立て方

うつ病の看護の方法・観察項目・看護計画|急性期/回復期

うつ病は、一日の中でも気分の変化があり、気分の変化は体調にも影響をします。また、気分が沈むと言葉で表現していても、患者ごとにできることやできないことも異なります。さらに、患者の年齢や性別、仕事内容などのバックグラウンドは異なります。看護師は、現在の状態、退院後の生活環境など総合的に判断をしながら、看護目標を立てることが大切です。

うつ病の看護の中でのコミュニケーションの取り方

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