なぜ雇用契約書がないのか?
なぜ雇用契約書がないのか、会社側の立場に立って考えてみましょう。契約内容についてお互いに相違点があって争いになった場合に、雇用契約書がないことで不利になるのは会社も同様です。それにもかかわらず雇用契約書を出さないのはどういった理由があるのでしょうか。
まず考えられるのは、はっきりと個別具体的な雇用契約を結びたくない場合です。会社からすると社員との契約内容はいつでも会社の自由に変えられるものと考えている場合があります。もちろん契約内容を一方的に変更することはできません。しかし立場上会社の方が強いことを利用してこのような不利益な取り扱いをするケースは後を絶ちません。雇用契約書がないことのメリット
たとえば入社させた社員が会社が考えているよりも能力が低かった、とか採用時と状況が変わったあるいはそもそもの求人票が実際の条件よりもいいもので人を呼び込むためだけのものであったなどの理由で雇用契約書を出しません。
一度契約書という証拠を残してしまうと良くないと感じているからです。しかし本来正々堂々と人を雇うのであれば自信を持って雇用契約書を提示できるはずです。会社としては証拠がなければ、また雇う側という立場の強さを利用して社員を都合よく使いたいというメリットがあるため雇用契約書を出し渋ることになります。雇用契約書がないときの退職方法
雇用契約書には通常さまざまな労働条件が記載されています。たとえば退職に関することなどもその一つです。一般的な会社では退職にあたってはは2週間〜1ヶ月程度前に申し出るようにと定められています。
しかし雇用契約書がなければこれらのことも容易には確認できません。また雇用契約書が出されない場合というのは求人票や面接時の説明と大きく契約内容が食い違いっている可能性があります。その際は退職届に退職希望日を指定して速やかに提出しましょう。 もともと雇用契約書を交付するという契約上重要なルールを守ってない会社ですので、引き止めにあっても聞かない方が良いでしょう。雇用契約書がない会社は大丈夫か
結論から言えば雇用契約書がない会社は大丈夫ではありません。それはこれまで述べてきたように、本来安心して働いてもらうために提示しなければならない労働契約をあえて曖昧なままに放置しているからです。
これでは会社はいつでも自分たちの好きなように契約内容を後から付け加えたり減らしたりできるといっているようなものです。たとえば入社して自分の給料がいくらなのか、最初の給料日が来るまではわからないというのでは不安で仕方ありません。