グロい生物pyura chilensiの生態・食べたときの味
pyura chilensisが岩のようで気持ち悪い理由
「血の滴る生きた岩」というのは言い得て妙な表現で、見た目は非常にグロテスクです。pyura chilensisのこのグロテスクな見た目はなぜなのでしょうか。そして、この岩のような見た目をするメリットとは何なのでしょうか。
まず、外見についてですがpyura chilensisが生息するのはチリ、ペルーの沿岸部です。沿岸部の中でも岩だらけの岸壁に固着しています。つまりpyura chilensisにとって外敵から身を守るためには岩に擬態するのが最も効果的です。 pyura chilensisは外見こそ岩のようですが血が滴るような中身は一般的な生きものの中身、臓器と同じです。この大事な中身を保護するためにも、固く分厚い被嚢で体外を覆っています。真っ赤な体液と筋肉、内臓組織が入った中身を守るためにも、外敵から守るためにも岩のような外見は役立っています。雄なのか雌なのか?
生まれたときは雄として生まれ、成体になると雌雄両方の特徴を持つ両性になります。つまり、体内に雌雄両方の生殖腺を持っています。これはpyura chilensisが自分1匹だけでも「自殖」によって繁殖することができるということを意味します。
自殖ができるとはいえ、相手がいればほかの個体と生殖をおこないます。その理由は、同じ遺伝子を持った個体よりも、色々な特徴を持った別の個体の方が変動する環境に適応できるためです。 また、雌雄両方の特徴を持ち、自分で雌と雄それぞれの役割を果たさなければいけないとなるともちろんエネルギーも大きく消費してしまいます。自殖はどうしても相手がいなかったときのための最終手段です。世界には知らない生きものがまだまだいる
いかがでしたか。pyura chilensisのようなグロテスクな生きものの存在自体を知らなかった方も多いのではないでしょうか。さらに、南米ではかなりポピュラーな食べ物だということや非常においしいということはあまりに意外です。
バナジウムによる健康被害なども懸念されているとはいえ、旅行先で一度食べる程度で影響があるものではありません。あくまで可能性があるというだけです。チリ、ペルーへ旅行の予定のある方は、ぜひ一度その味を試してみるといいでしょう。 世界にはpyura chilensisのような知らない生きものがまだまだいます。宇宙や深海を探索せずとも、身近に知らない世界は広がっています。