借金があるとき生活保護の受給申請はできる?
一昔前は、借金をしている人は生活保護を申請することや受けることをができないといわれていることもありましたが、法律的には、国民には生活保護を申請する権利が保証されています。
しかし、現実的には門前払いや、母子家庭の申請には子供の父親の署名がいるなどといって、申請を拒否するという違法性が問題となりました。この役所による違法的拒否は、生活保護申請する人をぎりぎりで拒否するため水際作戦といわれ、現在は厚生労働省により指導が入り、改善しつつあります。 このことから、もし借金があっても生活保護申請は可能です。申請を受けたいと思ったら保護事務所に行きましょう。借金がなくても生活保護には申請とは別に受給条件があり、借金がある場合はこの受給条件の他に、福祉事務所に指導されるポイントがあります。通常の受給条件とそのポイントをご紹介します。生活保護受給条件って何?
生活保護条件は表の①~④を満たす場合は受給が認められます。またこの条件以外に福祉事務所から、親族のなかで仕送りなどの援助ができないかどうかという旨で扶養照会封書や電話がかかってくることがあります。
援助は強制的なものではなく、援助可能か不可能かを聞いてくるものです。援助ができないからといって、不正受給になるわけではありません。生活保護受給条件 |
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①生活費に充てる財産がなく、最低水準の生活費以下の収入であること |
②傷病・高齢で就労が難しい状態であること |
③障害手当や児童手当などの公的手当を受けることを優先する |
④生活基準を戻すためにハローワークなどを駆使し、就労復帰を目指すこと |
借金があるときに福祉事務所から指導されるポイントとは?
借金があっても、申請や受給自体はできますが通常受給条件には借金がある場合の条件がないです。自己破産や債務処理をする場合は1か月~3か月ほどかかる場合が多いため、自己破産手続きや、債務処理の途中や手続き前でも生活保護を受給することが可能です。
受給がスタートすると、福祉事務所より借金をなくすため、ケースワーカーから自己破産や債務処理の指導が入ります。自己破産手続きや、債務処理手続きには、それぞれ費用がかかり、手続き開始から終了後まで生活保護に入っていれば法テラスの制度にて代理援助を受けることができます。 代理援助と聞こえはいいですが、その際の費用は通常は手続き費用を借りる状態になるので償還猶予にて返すことが必要になります。 生活保護が手続き終了後まで、受給し続けている状態であれば、法テラスの業務方法書第59条の3項にて、償還猶予免除および償還免除になると定義されています。第59条の3 地方事務所長は、被援助者から、立替金の償還の免除を求 める申請を受けた場合において、被援助者が次の各号に掲げる要件のいず れかに該当すると認めるときは、理事長の承認を得て、終結決定において、 立替金の全部又は一部の償還の免除を定めることができる。ただし、被援 助者が相手方等から金銭等を得、又は得る見込みがあるときは、当該金銭 等の価額の100分の25に相当する金額については、扶養料、医療費そ の他やむを得ない支出を要するなど特別の事情のない限り、その償還の免 除を定めることができない。 一 生活保護法による保護を受けているとき。 二 前号に該当する者に準ずる程度に生計が困難であり、かつ、将来にわ たってその資力を回復する見込みに乏しいと認められるとき。
生活保護申請時に借金があった場合に気を付けることは?
生活保護は、条件を満たせば受給が開始されますが申請者の口頭確認での受給許可ではなく、役所の福祉事務所より、調査があります。借金があるかないかまた銀行などの与信や残高なども調査されます。借金があるときにどのようなことに注意して、申請をするのかをご説明します。
差し押さえ
生活保護法58条により、生活保護受給者に差し押さえはできません。差し押さえは財産などを取り上げることですが、生活保護受給者には生活費にあてる財産もない状態で生活保護を受給しているので、これ以上財産を奪ってしまうことで生活自体が危ぶまれる可能性があるため、法律で禁止されています。
例外として、生活保護にてローンがない居住用財産は認められることがあります。ただ、生活保護で認められていても借金がある場合は、自己破産手続きをするときに差し押さえにあう可能性があるのでケースワーカーと要相談になります。自己破産
記事冒頭の「借金があるときに福祉事務所から指導されるポイント」でもご紹介しましたが、生活保護申請時に借金がある場合は、自己破産手続きまた債務整理手続きの指導がされるため、弁護士費用や、自己破産手続き費用はどのように福祉事務所で手続きをするのかを確認しておく必要があります。
また、注意が必要なのが住宅ローンがある場合です。住宅ローンがある場合ではそのまま住み続けることができるケースがあります。ローン残額がどれくらいか、月々の返済額はどれくらいなのかによって売却免除されることもあるので、ケースワーカーに確認しましょう。督促状
原則、生活保護費用からの返済は認められていません。必要最低水準の生活を保護しているため、返済により生活が危ぶまれる可能性があり、生活保護を保障することができなくなってしまいます。
ただ、生活保護に入っていても督促状を送ってはいけないという法律が存在しないため生活保護受給後に督促状が届く可能性はあります。その場合は、ケースワーカーにどのようにするべきか相談しましょう。隠す
生活保護では受給者による収入申告は義務です。収入申告は、労働による収入のことだけではありません。ギャンブルで得た配当金や、親族からのお金はもとよりカップラーメンや日用品の仕送りも収入認定され、申告をしない場合は不正受給になり生活保護費の返還が必要になります。
また隠すつもりはなくても、見落としがちなのが高校生のアルバイトも収入認定され、報告をしないでおくと不正受給とみなされ生活保護費の返還を求められます。借金があるときに生活保護を受けるための相談先ってある?
福祉事務所に相談しにくい場合は、借金問題や法律に詳しい弁護士や法テラスに相談しましょう。法テラスにて今の状態でどのような制度があり、生活保護があればどのように法テラスが協力してくれるか聞くのも1つの手段です。
法テラスや弁護士に相談しにくい場合は、そのまま福祉事務所に行ってみて今の状況を説明し、生活保護を受給できる状態なのかを相談するのが良いでしょう。福祉事務所にそのまま相談をすることで、手続きも早く進めることができることもあります。生活保護受給中の借金の返済義務は発生する?
生活保護申請時に、自己破産や債務整理の指導が入るので、生活保護受給中の借金の返済義務はなくなり、もし借金があったとしても、差し押さえ禁止なので返済義務は残ったままになります。生活保護費からは借金の返済は認められていないため、その場合はどうするべきかケースワーカーに相談しましょう。
生活保護申請中や保護申請前の場合に借金があれば、返済義務は発生している状態なので、差し押さえがされないよう生活保護申請中の旨、返済延期や返済一旦停止などの連絡をする必要があります。生活保護受給中に借金をすると収入認定になるの?
生活保護中にカードローンなどの借金をすることはできます、借金を禁止する法律はありません。生活保護中の借金には、収入認定される場合と収入認定されない場合があります。
収入認定される場合
借金が収入認定されるということ=不正受給になります。借金が収入認定されるということは、福祉事務所に借金が認めていない収入が発生しているため、減額もしくは生活保護費の返還を求められるケースが考えられます。
生活保護中にどうしても借金をする必要ができたときは、必ずケースワーカーに相談し、生活保護事務所から許可をもらいましょう。収入認定されない場合
収入認定されない場合は福祉事務所が借金をすることを許可した場合のみです。借金ができる主な理由として、自立のためや就労のため、また子供の学校費用などがあげられます。
正当な理由がある借金であれば認められる可能性はありますが、収入認定されなくても返済義務が発生してしまいます。自己破産は何度も行うことはできないため、自立直後から返済することでまた生活が危ぶまれてしまう可能性も考えられるので注意しましょう。生活保護受給者の借金が免除されるときの理由って?
生活保護受給中の借金が免除される理由は、収入認定されないからです。「収入認定されない場合」の中でもご説明していますが、正当な理由の借金のみになります。
借金免除を望む場合に注意をしてほしいことは、借金をする前にケースワーカーに相談するということです。事後報告をして認められなかった場合は、返済義務が発生してしまいますので注意しましょう。本当に困ったら迷わず相談しよう!
世間では、生活保護受給者に偏見を持って批判をする方も確かに存在します。しかし、生活保護は、止むを得ない理由から生活が危ぶまれている方の制度です。人は一人だけでは、生きてはいけません。本当に困ったら相談して、1日でも早く安心して生活をおくりましょう。