ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

仕事ノウハウ

ナラティブ看護の定義

ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

ナラティブと言う言葉を直訳すると「物語」「朗読による物語文学」という意味になります。物語と看護とは、一見関係ない単語同士のように聞こえます。ナラティブ看護とは、どういう意味でしょうか。

ナラティブ看護の発端

元々、患者や家族は医療機関を受診した際に、その受診理由や経緯を事細かく抒情的に、いわゆる物語的に話すことが多くありました。しかし、医療者はその物語的な部分は省いて効率よく問診を取ろうとする傾向があります。

看護学校や医療系の大学では、そういった患者や家族の話を少しでも科学的に系統だって整理することを課題とされてきたからです。そして、患者や家族と話をする時もできるだけ診断に結びつくように、整理して話をするように教わってきています。 しかし、そのコミュニケーションによって患者や家族が本当に話したいことや、訴えたいことは二の次になってしまう事態も起きるようになってきました。そうなると、患者の満足度は一気に減退しますし、問診として必要なことの本質が抜け落ちてしまう事態も起きるようになってきます。

ナラティブ看護の定義

ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

ナラティブ看護の定義とは「医療従事者が患者や家族の話す物語を聞き、受け止め、良い関係を築くことで双方が満足できる治療おこなうこと」を言います。このナラティブを基本とする医療のことを、NBM(Narrative Based Medicine)といいます。

問診からナラティブの部分を省いてしまうことの弊害を医療従事者が気づいてきた結果、ナラティブ看護の必要性が見直されはじめました。

ナラティブ看護の目的

ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

それではもう少し具体的に、なぜいまナラティブ看護が必要なのかをお話します。

ナラティブ看護の必要性

患者は、その医療機関を受診する時、いくつかの条件を超えてさらに必要性を感じて受診していることも多くあります。

例えば、単純に風邪で受診しようという時でも、「風邪くらいで熱も大したことないのに受診したのは、明日大事なイベントがあるから。」「市販の風邪薬をしっかり飲んでいたのに、全く効かなくて仕方なく。」「風邪くらいで仕事を休めないので、とにかく今日中に治したい。」などです。 患者にとっては、その理由が大事で本音であるのに、医療従事者はその時の体温と症状、聴診や視診した結果を重要視します。そして、その時必要と思われる薬を処方して終わりです。 患者としては、「明日のイベントに間に合うように即効性のある薬を出してくれたのだろうか。」「市販の薬とは違うだろうか。」など、自分が最も叶えてほしい願いを受け止めてくれたのかが最も気になっているのに、そこについては不明瞭なままです。 こうなると、その時のコミュニケーションに関しては不満足なままとなってしまいます。風邪のように軽症の場合は、まだ聞き流してもらうこともできますが、生涯に関わるような疾患になればコミュニケーションの不一致は医療機関を変えたくなるほどの大問題です。

ナラティブ看護が目指すものとは

長い間、医療従事者は患者や家族とのコミュニケーションの大事さを知りながら、不一致があった場合の原因について言及してきませんでした。看護・医療の教育が科学的であることが重要視されているからです。コミュニケーション上の不和があっても、人間性の問題で終わってしまっていました。

しかし、それでは解決できないということに医療業界も気づき始めナラティブ看護の必要性を感じるようになってきました。また、実際の診療においても、患者や家族の思いや歴史、考え方を聞くことで正しい診断や治療方針が導かれることも分かってきました。 ナラティブ看護を推進することで、少しでも患者や家族の本当の思いに近づくこと、そして患者や家族の物語に真摯に耳を傾ける姿勢によって信頼関係を気づくことがナラティブ看護の目的です。
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