ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

仕事ノウハウ

ナラティブ看護の効果

ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

それでは、実際にナラティブ看護を行うことでの効果はどうでしょうか。ナラティブ看護による効果は、少しずつデータとして蓄積され検証され始めています。

① コミュニケーションの改善

一見、問診に必要なさそうなことでも患者や家族の物語を聞くことによって、患者側も話しやすくなります。話しやすいというだけで、その医療者・医療機関の評価は高く上がるでしょう。寸断されがちだったコミュニケーションが改善され、信頼関係を築くきっかけとなります。別世界に居た両者に共通の言語・言葉ができ、ようやく同じ現状を共有できることになります。

② 診断力の向上

コミュニケーションが改善され、患者が話しやすく感じることで最終的には診断に至る重要な情報を聞きだせることも多くなりました。医療者はその瞬間の状態だけを聞こうとしてきましたが、患者側にとってはそれは結果でありその状況に至るまでが重要であることも多くあります。医療者が軽視してきたその経緯が、診断にも双方の信頼関係を構築するにも良い結果となります。

③ 患者自身の感情の整理

自分の物語を自分で語ることで、患者本人も状況が整理され闘病や療養について深く考えらえるようになることがあります。自分自身の立ち位置、これからどう行動するかなどを冷静に振り返るきっかけともなりえます。

ナラティブ看護の書き方と書き方例

ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

それではナラティブ看護をケーススタディとして書く場合、実際の書き方はどのようにしたらよいでしょうか。一つの例をあげます。

①でき事を選ぶ ケーススタディとして書くのであれば、できるだけ印象に残っているだけでなく、起承転結が書けるものが良いでしょう。患者や家族の具体的には会話内容がわかるものを選びます。

②情報を書きだす そのでき事は、いつ起きたか、その時の状況は、登場人物はといった具合に状況を整理し、得た情報や周辺の情報を書き出します。

③自分自身やチームの感じたことと行動 それについて、自分自身が感じたことやチームメンバーからの意見などを聞いて考えたことを振り返り、結果として行動したことを書きだします。

こういった文章を書く時、気をつけなくてはいけないことは、患者の物語を聞くことと物語を作ってしまうこととは違います。書いていくうちに、思い入れや想像が入ってはいけません。起きたり聞いた物語は、あくまでも現実に沿うことを忘れないようにしましょう。

ナラティブ看護の事例

ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果

看護師の経験年数9年の看護師が、日常で体験したケースについてナラティブで検討した事例を挙げます。

あるナラティブ看護体験記

Aさんは、糖尿病のコントロール目的で入院していました。普段は、活気があり冗談が好きな昭和一桁のおじさんというイメージで看護師も気楽に接することができる方でした。

Aさんは腰痛も患っていて、我慢できないと鎮痛剤を依頼されることがありました。その日、Aさんが腰痛を訴え鎮痛剤を希望されたのですが、他の方の処置やナースコールで手いっぱいだったわたしは「ちょっと待っててくださいね。」と言って、そのままになってしまいました。 Aさんは、普段他の処置で手いっぱいな看護師をみると、自分の用事があっても「いいよ。いいよ。忙しいんだから俺は後で良いよ。」と言われることが多く、それに甘えてしまったと思います。 しかし、就寝前のラウンドでAさんの元へ伺うと険しい表情で「痛いって言ってから何時間経ってると思ってるんだ。」と厳しいお叱りを受けました。その場は謝罪して退室しましたたが、Aさんのイメージと違うことと、自分自身の甘さでどうしてよいか分からない気持ちになってしまいました。 翌日、Aさんの妻に謝罪も兼ねて話をすると、Aさんは建設作業員のリーダーとして50人以上の職人を使う棟梁であったこと、気前の良い人であったが筋の通らないことにはお客相手でもきちんと話を通そうとする一本気な人間であったことなどを教えていただきました。 Aさんのやさしさに甘えて調子に乗っていたと反省し、妻と話したことなども踏まえてAさんやそのほかの患者への態度も気をつけるようになりました。徐々にAさんの方から、再度話しかけてくれるようになり、その後はAさんの気遣いも含めた会話から本当にギリギリまで痛みを我慢してから訴えていることも分かりました。 患者は誰でも聞いてほしいし、助けてほしいから入院しています。そういった基本的なことに立ち戻って、看護を考えるきっかけとなりました。

この事例から見えてくること

この事例は患者とのトラブルを、患者の人となりになぞらえて構成しています。看護経験が長いからこそ、つい甘くなってしまった自分の感性への反省も含め、その思いにいたった課程をナラティブにした事例です。

この事例から患者は入院中は患者ですが、通常は社会人として社会生活を送っているという当然であるべきことを、看護師は忘れがちであることを読み取ることができます。ナラティブに事例を検討した結果、見えてくることです。

ナラティブ看護に関する文献と解説

ナラティブ看護の定義・書き方・事例・目的・効果
タイトルとURLをコピーしました