お犬様信仰とはどんな信仰なのか?
「お犬様信仰」という信仰をご存知でしょうか。日本に古くから伝わる信仰ですが、意外にこの言葉を知っている人は少ないです。「お犬様信仰」とは、神様のお使い、眷属とされている「狼」をお祭りし、信仰の対象としているものを言います。
今回はこの「お犬様信仰」についてや、江戸時代のお犬様信仰、またお犬様の信仰の方法やお犬様を祀っている神社についてお話していきます。お犬様の正体は犬ではなく狼!
「お犬様」というとごく普通の犬を思い浮かべる人が多いですが、神社でお祭りしているお犬様は正確には「狗」と書きます。そしてその正体は現在では絶滅してしいるニホンオオカミだとされています。
なぜ二ホンオオカミが「お犬様」なのかというと、「日本書紀」で日本武尊(やまとたける)が東征したときに、1匹の白い狼が現れて、日本武尊の軍を導いたと記されています。そして日本武尊はこの白い狼に「大口真神(おおぐちまがみ)」として御岳山にとどまって魔物を退治するようにと命令したと記されています。 昔の日本では狼のことを「山犬(やまいぬ)」と呼んでいたことから、「お犬様=二ホンオオカミ」とされています。お犬様信仰は「眷属信仰」という信仰だった
「眷属信仰」と聞くと何だか胡散臭いと思う人もいます。しかしこれも日本では古くからある信仰の一つで、眷属とは、神様・仏様の命令を聞いて動くとても徳が高い生き物と言われています。「お犬様」のほかでよく知られているのはキツネ、蛇でしょう。このほかにもサルやイノシシ、鹿、セキレイ、ヤタガラス、ニワトリなどといったご眷属が存在します。
しかし地方によっては眷属は関係なしに、言い伝えで人を救った動物に感謝をこめ、神格化してお祭りしている場合もあります。お犬様がいる神社をご紹介!
「お犬様信仰」について詳しく解説する前に、まずはお犬様をお祭りしている神社やお犬様のいる神社をご紹介します。日本でも有数のパワースポットとして有名な神社もあれば、地方でしか知られていないような神社もありますので、興味があるなら一度行ってみることをおすすめします。
三峯神社(埼玉県)
埼玉県秩父市にある三峯神社は秩父三社に数えられる神社で、日本でも有数のパワースポットとしても知られています。神社の正面には明神型の鳥居を3つ組み合わせて作られた三つ鳥居があるのが特徴のひとつです。
この三峯神社でお祭りされているお犬様の力はかなり強力だと言われており、毎月1日に頒布される「白い氣守」は特に強い力を持っているとされているため、希望者が早朝から並んでいるほどです。お札やお守りといったものにはお犬様の絵が描かれているものが多いです。 三峯神社のある埼玉県では山にいる狼に対し、猪などの害獣から農作物を守ってくれる存在として崇めるようになったという説もあります。亀戸天神社(東京都江東区)
東京都江東区亀戸にある亀戸天神も、お犬様をお祭りしています。藤がとても有名な神社で、藤の花が満開になるゴールデンウィーク前後は観光客がひっきりなしに訪れています。亀戸天神ではお祭りと言うほどではありませんが、お犬様的な存在があります。
境内と、境内の東側の駐車場の境目あたりに小さな祠があるのですが、そこにお犬様がぽつんと祀られています。このお犬様の由来や説明などは神社内に説明がありませんが、祠に備え付けられている塩を刷り込むことで願いが叶うと言われています。病気の治癒、商売繁盛といったご利益があるそうです。