筋収縮のメカニズム・筋収縮とは|ミオシンの短縮/アクチン/ATP分解酵素

トレーニング

ミオシンとアクチンの働きとは?

カルシウムイオンの放出によって筋線維が反応し筋収縮すると説明しました。その筋線維には22種類の線維(フィラメント)が存在します。規則正しく並んでいる細いフィラメントを「アクチン」と言います。太いフィラメントを「ミオシン」と言います。

筋収縮時にアクチンフィラメントやミオシンフィラメントは線維自体の長さを変えているわけではなく、重なり合ったり離れることで筋節の長さを変え筋収縮を行っているのです。収縮時にはミオシンとアクチンが重なりあい、弛緩時にはミオシンとアクチンが離れた状態でこの状態は滑走説と言われています。

トロポニンとトロポミオシンの働きとは?

筋収縮はミオシンとアクチン2種類の筋原線維によって起こると説明をしました。その収縮に深く関係しているのが「トロポニン」と「トロポミオシン」です。この「トロポニン」と「トロポミオシン」は、アクチン(線維)フィラメントに沿って存在しています。

「トロポミオシン」は鎖状の細長いタンパク質で、「トロポニン」はタンパク質の複合体です。細胞内のカルシウムイオンはトロポミンと結合し、その結合によって鎖状のトロポミオシンはアクチンフィラメントからズレるため、ミオシンとの結合を引き離し筋収縮が始まります。

筋収縮に必要なエネルギーとは?

筋収縮にはエネルギーが必要です。細胞質中にある「ATP=アデノシン三リン酸」が分解され「ADP=アデノシン二リン酸」になるときに生じるエネルギーが利用されます。ATPは分解されADPとなり、筋収縮に必要なエネルギーを発生させた後再合成されATPとなります。

ADPがATPへ戻る際に必要なエネルギーは、筋肉中のクレアチンリン酸(CP)とリン酸(P)に分解されるときに放出されたエネルギーが使用されATPに戻ります。筋収縮に必要なエネルギーとは、ATPがADPに変化し筋収縮へ使われ、ADPはクレアチンリン酸とリン酸のエネルギーを使ってATPへ戻るというサイクルを繰り返しています。

筋収縮で正しいのかどれか?

筋収縮のメカニズム・筋収縮とは|ミオシンの短縮/アクチン/ATP分解酵素

国家資格で見られるひっかけ問題

ここまで、筋収縮について説明してきましたが「筋収縮で正しいのはどれか」と問われたら、正しい回答を選ぶことができますか。このような質問を行った理由は、看護師や理学療法士の国家資格で「筋収縮で正しいのはどれか」という問題がよく見られます。

先に説明したミオシンとアクチンの変化やカルシウムイオンによる作用など「筋収縮」とはどれを指すのか、よくある引っ掛けの選択肢1、2、3を基に正しい説明していきましょう。

【選択1】ミオシンの短縮によって筋収縮が起こる?

ミオシンフィラメントやアクチンフィラメント自体の長さは変わることはありません。2種類の線維は交互に重なり合い並んでいます。その2種類の線維、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントに引き付けられてミオシンフィラメントの間に滑り込む状態のことを言います。

重なる部分が多くなると筋節の長さが短縮する為、筋収縮が見られるのです。反対に筋小胞体がカルシウムイオンを取り込むと筋は弛緩します。

【選択2】ATP分解酵素があるのはアクチン?

ATP分解酵素が存在するのはアクチンではなく「ミオシン」です。ミオシンの頭部にはATP(アデノシン三リン酸)を分解する酵素「ATpase活性」を持っています。ATP分解酵素とは「ATpase活性」と言われ、ATPをADPとリンに分解する酵素です。筋収縮に必要なエネルギーを発生させます。

このATP分解酵素「ATpase活性」は、筋収縮に必要なエネルギーを作り出す他に、細胞内外へ必要な物質の輸送を行うなど、生命維持に欠かせない分解酵素です。

【選択3】筋収縮はカルシウムイオン放出によって起こる?

冒頭で説明したとおり、筋収縮はカルシウムイオンの放出によって起こります。カルシウムイオンを貯蔵している筋小胞体は骨格筋の約10%を占めているといいます。貯蔵されているカルシウムイオン(Ca^2+)はを放出したり、取り込むことで筋原線維の収縮や弛緩の制御を行っています。

「筋疲労」その原因とは?

筋収縮のメカニズム・筋収縮とは|ミオシンの短縮/アクチン/ATP分解酵素

筋の疲労とは?

スポーツなどで持続的な強い運動が続くと、筋肉は収縮を維持できなくなります。筋収縮の維持が出来なくなり収縮不能となった状態を「筋の疲労」と言います。長く運動によって、ATPとグリコーゲン(糖)が消費され、乳酸などが蓄積するため筋の収縮力が低下し筋が疲労します。

疲労の原因「乳酸」とは?

血行不良もしくは疲れすぎると、体は酸素不足になりブトウ糖が余ります。使われないブドウ糖は不要物となり乳酸になります。疲労回復のために、マッサージを行うなど対処することで血行が良くなり体中に酸素が行き届きます。

その結果、酸素と乳酸が結合し二酸化炭素と水になることで乳酸が消えます。疲労の原因の「乳酸」には、マッサージなどがおすすめです。
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