車のエンブレムとは?
街中で車を見かけると、まず目に飛び込んでくるのがエンブレムではないでしょうか?車のフロントやリアで誇らしげに輝くエンブレムには、それぞれのブランドの歴史や理念、思想が込められています。エンブレムの個性的なデザインは、まさしくそのブランドを象徴していると言えるでしょう。
しかし中には、あえてエンブレムを剥がして乗りたい、という方や、エンブレムを自分好みに塗装したい、という方もいることと思います。そう、エンブレムは車のブランドだけではなく、オーナー自身の個性を反映できる場所でもあるのです。ここでは、代表的なブランドのエンブレムのご紹介と、エンブレムの剥がし方、塗装の方法、エンブレムの入手の仕方をご案内します。まさに車の顔!代表的なブランドのエンブレム一覧
代表的な国産車と輸入車のエンブレムをご紹介します。近年は輸入車の数も増加し、個性的なブランドのエンブレムを目にすることが増えました。みなさんの愛車のエンブレムはありましたか?
トヨタ
現在のトヨタのエンブレムは、1989年に最高級車「セルシオ」で初採用。以後他の車種にも採用されていきました。線の太さが異なる3つの楕円から構成されていて、ユーザーの心、トヨタの心、そのふたつの心をつなぐ世界を表現しています。左右対称のデザインであることも特徴で、バックミラーで見てもトヨタの車だと認識できる形状となっています。
日産
現在の日産自動車のエンブレムは、2001年のシーマやプリメーラから採用されました。ダットサンで使われていた、赤い日の丸の間にコバルトブルーの帯を入れ、白い文字で「DATSUN」と書かれたエンブレムが前身で、時代を経て文字がNISSANになり、現在のようなデザインに変化していきました。
ホンダ
ホンダのエンブレムのHはもちろん、創業者の本田宗一郎の頭文字から取られたもの。ホンダの二輪車に関しては、羽の付いたエンブレムもお馴染みですが、自動車に関しては一貫してHのエンブレムが使い続けられています。
マツダ
「東洋工業株式会社」が現在の「マツダ株式会社」の名前に変わったのは1984年、Mを表す現在のエンブレムが車に用いられるようになったのは1997年のことでした。実質的な創業者、松田重次郎の姓から取られたMにはもうひとつ意味があります。それはアフラ・マズダー (Ahura Mazdā)という、ゾロアスター教の最高神の名前から取った、というもので、アフラ・マズダーは叡智・理性・調和を司る神であることから、マツダが自動車業界の光であるように、という願いが込められています。
スバル
スバルの名前はプレアデス星団の日本名「昴(すばる)」「六連星(むつらぼし)」から取られたもので、エンブレム内の星も6つあります。当初は実際の星座の配列に沿ったデザインだったのですが、現在はそれを無視した図案に変更されました。スバルが誕生する際、いくつかの会社を統合して誕生したことから「統(す)べる」という意味も込められています。
スズキ
スズキのエンブレムのSはもちろん、SUZUKIの頭文字から取られたものです。その歴史は古く、1958年からシンボルとして使われ続けています。美術系の大学生に向けて公募でデザインを募り、300点あまりの中から選ばれたのがこのエンブレムです。
三菱
スリーダイヤが特徴の三菱自動車のエンブレムですが、ルーツを辿ると三菱財閥、その創業家・岩崎家の家紋「三階菱」と土佐藩主家・山内家の家紋「三つ柏」を組み合わせたものとされています。ちなみにスリーダイヤは他にも「三菱鉛筆」と「弘乳舎(三菱サイダーで知られる)」が使用していて、こちらの2社の方が先に商標登録していた、というのは有名な話です。
ダイハツ
日本最古の自動車会社、ダイハツのエンブレムは最初、大阪城を模したものを使っていましたが、1966年に現在のDをモチーフにしたデザインが登場しました。何度かのデザイン変更を経て、現在も使われ続けています。
メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツの車体に堂々と輝くエンブレム「スリーポインテッド・スター」は、車に詳しくない人でもよく知っている、認知度の高いマークです。もともとは合併前のダイムラー社が使用していたエンブレムで、それぞれの点は「陸・海・空」を表しており、その全ての分野で自社のエンジンが活躍することを願って付けられたものです。
BMW
スポーティな車作りで日本でも人気が高いBMW、そのエンブレムのルーツはかつて飛行機のエンジンメーカーだった頃にまでさかのぼります。円と十字は飛行機の回転するプロペラ、青と白はBMWの本社があるバイエルンの青空と雲を表現しています。1917年の制定以来、現在までわずかなデザインの変更のみで使われ続けているのも特徴です。
アウディ
アウディの車のエンブレムは、いかにもドイツらしいシンプルなデザインが目を引きます。「フォー・シルバーリングス」という名前で知られるこのエンブレムは、アウディの前身会社のひとつ、アウトウニオンで使われていたものを引き継いだものです。それぞれの円はアウトウニオンに参加した自動車会社4社、アウディ、DKW、ホルヒ、ヴァンダラーを示しています。
フォルクスワーゲン
ワーゲンバスなど愛嬌のある車やゴルフなど堅実な車で知られるフォルクスワーゲンのエンブレムは、ドイツ語表記「Volkswagen(発音はフォルクスヴァーゲン)」のVとWを上下に重ねたデザインになっています。「国民の車」を意味するフォルクスワーゲンは、今やドイツのみならず、世界中で走り回っています。
ルノー
ルノーの車に付いているエンブレムは、菱形の上下の角が取れたような造形になっています。最初にこのデザインモチーフが登場したのは1925年、その時はまだ上下に角がありましたが、何度かのデザイン変更を経て、1992年に現在の形になりました。なぜこのデザインになったのか、という経緯には不明点が多く、「ボディの前部の穴をふさぐのに菱形が最も都合がよかったから」という説が有力とされています。
プジョー
プジョーのエンブレムはライオンを模したデザインとなっていますが、歴史は古く1850年にまでさかのぼります。当時金属製造業を営んでいたプジョーは、自社製品のノコギリの刃の堅牢さ・しなやかさ・切れ味の良さをライオンの歯や肉体や生態になぞらえて、エンブレムを商標登録しました。ライオンの向きやデザインが途中何度か変わったりもしましたが、現在でも車体の前部に輝くライオンは健在です。
シトロエン
シトロエンのエンブレムは「ダブル・シェブロン」と呼ばれ、V字型の溝を持つ歯車の形を模しています。創業者のアンドレ・シトロエンは、歯車の製造と大砲用の砲弾の製造で財を成し、ヨーロッパにおいて自動車のさらなる普及を目指して自動車製造に乗り出した、と伝えられています。
シボレー
シボレーの車のエンブレムは「Bowtie(ボウタイ)」と呼ばれ、英語で蝶ネクタイを意味します。創業者ルイス・シボレーがこのエンブレムを使用したのは1913年のこと。創業者が滞在先のホテルで思いついた、たびたびエンブレムのスケッチを書いていた、スイス国旗からインスパイアされた等、由来には諸説ありますが、特筆すべきは1913年からほぼ同じデザインのまま使われ続けているということです。
ボルボ
ボルボの車のエンブレムは「アイアン・マーク」と呼ばれており、矢印が右斜め上を指すデザインになっています。ボルボ本社のあるスウェーデンでは、昔から高品質の鉄の製造で知られていて、この矢印は古くから「製鉄」を意味するシンボルマークでした。ちなみに、VOLVOはラテン語で「私は回る」という意味で、母体であるベアリングメーカー・ SKFとも深い関係があります。
ジャガー
ジャガーのエンブレムは、大型のネコ科の動物・ジャガーがそのままモチーフになっています。ジャガーの名前は、ジャガーの前身のSSカーズが自社の車に付けた、いわゆるモデル名でした。その後、この車の大ヒットをきっかけに、1945年に社名をジャガーカーズに改めます。ジャガーという動物が持つスピード感やスマートさが、自社の車にぴったりだ、ということで、創業者自身が決めたと伝えられています。
フィアット
フィアットの現在のエンブレムは2007年に採用されました。1931年から1968年の間に使用されていたデザインを引き継いで、現代的にリファインされています。過去の歴史を尊重し、これからも未来に向かって進化していく、そうしたブランドとしての決意が込められたエンブレムとなっています。
アルファ・ロメオ
非常に凝ったデザインのアルファ・ロメオのエンブレムは、国産車には見られない独特のデザインです。創業の地、ミラノ市の市章である白地に赤の十字架と、かつてミラノを治めていた貴族・ヴィスコンティ家の紋章である人を飲み込む蛇を組み合わせ、フロントグリルを盾として表現しています。
ランボルギーニ
ランボルギーニのエンブレムは「猛牛」をあらわしており、1946年から使い続けられています。創業したフェルッチオ・ランボルギーは牡牛座生まれで、そこから取ったとされる説が有力です。ランボルギーニはもともと農業用のトラクターメーカーで、現在も生産は続けられており、トラクターの車体にもこのエンブレムが付けられています。トラクターの力強さにちなんで猛牛が採用された、ライバルのフェラーリの馬に対抗して付けられた、という説もあります。
定番のモチーフ?馬や鳥のエンブレムのブランドと由来
いくつかのブランドのエンブレムには、共通したモチーフが使われています。中でも、馬や鳥といったモチーフは代表的なものと言えるでしょう。ここでは、馬や鳥といったモチーフを用いている、代表的なブランドをご紹介します。
フェラーリ
フェラーリのエンブレムは「跳ね馬」と呼ばれ、スポーツカーの代名詞と言って良いほどの認知度を誇ります。跳ね馬のルーツは第一次世界大戦にまでさかのぼります。当時のイタリア軍のエース、フランチェスコ・バラッカが自身の戦闘機に跳ね馬の紋章を付けていました。後の1923年、フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリがレースで優勝した際に、バラッカの母親が亡き息子の部隊の紋章を使うように勧めた、という話が残っています。バラッカの戦闘機にどうして跳ね馬が付いていたのか、という点には諸説あり、ひとつにはバラッカが撃墜したドイツ空軍機にシュツットガルトの市章である跳ね馬が描かれていて、そのアイディアを頂戴した、と言われています。偶然ではありますが、ポルシェと同じ跳ね馬のモチーフが使われているのは、こういった理由があったのです。
ポルシェ
ポルシェのエンブレムは、ふたつの紋章の組み合わせでできています。ひとつは、ポルシェの本社があるシュツットガルト市の市章で、中央の跳ね馬の部分にそのモチーフが生かされています。もうひとつは、シュツットガルト市が位置するバーデン=ヴュルテンベルク州の紋章で、左上と右下のギザギザは州の紋章に描かれた鹿のツノから受け継いでいます。跳ね馬のモチーフはフェラーリにも採用されており、スポーツカー・ブランドのライバルにおける不思議な縁と言えるでしょう。
ベントレー
ベントレーのエンブレムには大きな翼のモチーフがあしらわれています。Bは創業者、ウォルター・オーウェン・ベントレーの頭文字から。1923年から1930年までの間にル・マン24時間レースで5回の優勝を飾るなど、モータースポーツ活動で知られる名門でしたが、1931年にロールス・ロイスに買収されて以後、レースから撤退してしまいました。それでも、エンブレムは変わることなく、現代のベントレーに受け継がれています。
モーガン
イギリスのスポーツカーの名門モーガンは、1936年に発表された「4/4」を大きなモデルチェンジなしに現在も作り続けている、大変珍しいブランドです。創業当初のエンブレムはコウノトリをモチーフにした像で、ボンネットの上に取り付けられていましたが、1936年からはコウノトリの羽をあしらったエンブレムに変更され、今も変わらずに引き継がれています。
車のエンブレムを剥がしてよりシックに見せたい。そんな時は?
自分の車のエンブレムが気に入らない、かっこ悪い。そんな時は、自分でエンブレムを剥がしてみましょう。ご家庭にあるような道具を活用すれば、簡単に、きれいに剥がすことができます。ここではその方法をご紹介します。
自分でできる!車のエンブレムの剥がし方
まずは下の道具を揃えましょう。延長コードを使って、ドライヤーが車のエンブレムまで届くように工夫してください。
・ドライヤー ・釣り糸 ・シール剥離剤
はじめに、ドライヤーでエンブレムを温めます。エンブレムが熱で変形することもありますから、慎重に様子を見ながら行なってください。十分にエンブレムが温まったら、エンブレムと車のボディに釣り糸を滑り込ませて、釣り糸を往復させながら剥がしていきます。エンブレムを剥がした後に、両面テープや接着剤のあとが残ることが多いですが、シール剥離剤や両面テープ剥がしを使えば落とすことができます。 注意したいのは、エンブレムが接着剤や両面テープだけではなく、ピンによって固定されている場合です。その場合、剥がした後には穴が残り、そこから水が侵入してしまうため、板金屋さんで塞いでもらう必要があります。比較的大きなロゴやエンブレム(例えばメーカーロゴ)はピンで固定されている場合がありますので、心配な方は剥がす前に車の販売店で確認してください。 ここに紹介した方法はあくまで一例で、それぞれの車によって状況は違いますから、作業を行う際はくれぐれも自己責任でお願いします。あったら便利!エンブレムを剥がすのに役立つアイテムを紹介
老舗ホルツのエンブレム取り外しキットで、糸やシール剥がし液、へらも同梱されています。この商品がとドライヤーがあれば、すぐに作業に取りかかれます。1000円を切るリーズナブルな価格も魅力です。
こちらも定番、ソフト99のエンブレム剥がしキットです。上記のホルツのキットと同じく、糸やへら、シール剥がし液がパッケージされています。どちらのキットも糸の両端に指を入れられるリングが付いていて、力が入れやすくなっているのがポイントです。この製品もAmazonにて1000円以内で販売しています。