川崎病の特徴
川崎病は、乳幼児がなりやすい血管に炎症がおこる疾患であり、冠動脈瘤などができることもあります。正式名称は「小児急性熱誠皮膚粘膜リンパ節症候群」です。
発症しやすい年齢
川崎病の発症しやすい年齢は乳幼児であり、患者全体の80%以上が4歳以下です。その中でも、特に6か月~1歳までの年齢で高い発症率となっています。さらに、男の子がやや多く発症しやすいという結果が出ています。
そして、川崎病は年間約1万人以上の人が発症している病気です。もし、川崎病かもと思う症状がある場合には、小児科を受診することが大切です。川崎病は乳幼児が発症しやすい病気であるため、小児科の医師であれば迅速に対応することができます。原因
川崎病を発症する原因は解明されていません。患者が増加しやすい時期は、夏と冬に増加する傾向があり、さらに患者の多い地域が移動するなどの特徴があるため、一説では細菌かウイルスなどの感染が原因ではないかと言われていますが、はっきりとした原因は不明です。
また、1~2%という低い確率ですがきょうだいでの発症もあるため、遺伝的な原因もあるのではと言われています。診断基準
川崎病の症状は以下の6項目があり、そのうちの5項目の症状が該当すると川崎病と診断されます。
しかし、5項目の症状が該当しない場合には、不全型川崎病と診断されることもあります。不全型川崎病の場合は、診断が難しくなる傾向があります。5日以上続く発熱
川崎病の39度~40度の高熱が5~14日くらい続き、さらに、解熱剤を使用してもすっきりと下がることがないということが特徴です。もし、治療して熱が下がった場合でも、該当する項目があれば川崎病に関連した発熱と判断されます。
目の充血
川崎病になると、両目の白目が赤く充血します。さらに、目やにが出ることもあります。
イチゴ舌
川崎病になると、舌の表面に赤いぶつぶつができ、イチゴのように舌が見える状態になります。なかには唇が赤く腫れているような状態になる場合もあります。
発疹
発熱から2~3日経つと、全身に赤色の大小さまざまな発疹が現れます。発疹は、体幹や手足にできることが多く水泡を伴いませんが、なかにはかゆみのある発疹もあります。特に特徴的なのは、BCGを接種した部位が、赤く腫れることです。
手足が腫れて
川崎病になると、手のひらや足のうらが腫れて赤くなり、治る過程で手足の指先から皮膚がめくれます。また、手足がむくみます。
首のリンパが腫れる
首のリンパ節が腫れ、痛みがあります。
川崎病の治療方法
治療の目的
川崎病の治療の目的は、「急性期の強い炎症反応を可能な限り早期に抑える」ことと、「冠動脈瘤を作らせない」の2項目です。その他にも、急性期には 心筋炎、弁膜症などや心不全になる場合もあります。そして、浮腫、肝機能障害、下痢、嘔吐、脱水などの全身症状に対する治療も早期に行うことが大切です。
入院期間は2週間~1か月が目安です。急性期の治療方法
ガンマグロブリン療法(免疫グロブリン療法)
川崎病の治療は、炎症を抑えさらに冠動脈瘤の発生を防ぐことを目的として、ガンマグロブリンを大量に投与します。ガンマグロブリンの1回に投与する量や、投与期間はさまざまな方法がありますが、基本的な方法としてグロブリン製剤を12~24時間かけて点滴で投与します。
川崎病の患者の90%が、ガンマグロブリン療法を受けています。アスピリン療法
アスピリン療法とは血液の炎症を抑える治療法で、血液を固まりにくくすることで、血栓ができるのを予防します。川崎病が軽症の場合は、アスピリンの服用だけで良くなることがありますが、免疫グロブリン療法と一緒に行われることが多い治療法です。
発症から7日以内に治療開始することが大切
川崎病の診断基準の中に、5日以上続く発熱」と言う項目がありますが、明らかに川崎病と診断される場合には、遅くても発症から7日以内に治療を開始することが重要です。
もし、冠動脈瘤ができた場合、50%は1年程度で自然に無くなりますが、残る場合もあります。冠動脈瘤の状態は変化し、さらに、心臓へのリスクが高くなることがあるため、定期検査を受けることが重要です。