無気肺の看護方法・計画・目標の立て方・観察項目・術後・予防

仕事ノウハウ

初歩からわかる!無気肺の看護方法

無気肺の看護方法・計画・目標の立て方・観察項目・術後・予防

無気肺とは、肺の一部または広範囲におよんで空気が入らなくなったために、肺が極度に脱力した状態(虚脱)を指します。無気肺は呼吸困難や呼吸不全を引き起こしたり、肺炎を発症したりする恐れもあるため、積極的な看護によって早期の回復を図ることが重要です。まずは看護目標を明確化するために、無気肺について詳しくご紹介していきましょう。

閉塞?圧迫?無気肺の原因

無気肺を起こす原因の多くを占めるのが、気管支の閉塞です。気管支内部を痰や異物、腫瘍などがふさいでしまうことによって、肺の末梢に空気が行き渡らなくなり、無気肺になってしまいます。

また臓器の肥大や腫瘍、肥満などによって胸腔内(心臓、肺を含む胸骨に囲まれた内部)を圧迫した場合にも肺が広がりにくくなったり、循環が悪くなったりするため、無気肺の原因になります。 さらに全身麻酔を使用した手術時や薬による鎮静時、胸部や腹部に強い痛みがあるときや、体が特定の姿勢のまま動かせないときなどにも注意が必要です。 このような場合では深い呼吸やせきをすることが難しくなるため、無気肺になる可能性が高まります。したがって、無気肺になりやすい条件が重なる術後は、特に注意が必要です。

知っておくべき!無気肺のリスク

全身麻酔を使用した手術では、麻酔の導入後から麻酔から覚める術後まで、患者は人工呼吸器管理になります。このときに無気肺になるリスクが大きいことはもはや定説です。

では、なぜ術後は無気肺のリスクがあるのでしょうか。この理由を知るにはまず、自発呼吸と人工呼吸の違いを理解が必要です。まずは呼吸の違いについて解説していきましょう。 通常時にわれわれが無意識に行なっている自発呼吸を、陰圧呼吸と呼びます。陰圧呼吸では、横隔膜が肺を下に引き下げることによって胸腔内の空気圧が大気より低くなり、肺に空気を引き込む作用が働くために呼吸が成り立ちます。 一方、人工呼吸器による呼吸を、陽圧呼吸と呼びます。陽圧呼吸では、人工呼吸器で気道から肺へ空気を直接送り込むことによって呼吸が成り立ち、肺の中は大気よりも空気圧が高くなります。 この陽圧呼吸によって引き起こされるのが、術後の無気肺です。次項ではそのメカニズムにせまります。

術後の無気肺なぜ?陰圧呼吸と陽圧呼吸の違いとは?

自発呼吸では胸腔内の循環がよく、無気肺の原因のひとつである痰や異物などが気管支内にあった場合でも、せきによって気道をきれいに維持する作用があります。対して、人工呼吸器による呼吸では、自発呼吸と同等のお掃除作用は得られません。

また全身麻酔による人工呼吸器管理下にあった術後の体には、違和感や痛みが残って浅い呼吸になりがちなため、肺が十分に広がらないことがあります。 またいつもどおりに体を動かすことが難しい状況も重なってますます循環に悪影響を及ぼすため、術後には無気肺のリスクが付いて回ります。

未然に対処!術後の無気肺の予防のポイントとは?

無気肺の看護方法・計画・目標の立て方・観察項目・術後・予防

無気肺のリスクは先に簡単に示したとおりですが、そもそも無気肺にならないようにするポイントは術前にあります。禁煙、呼吸訓練、排痰訓練の3つです。

それぞれのポイントについて解説してまいります。

非喫煙者も注目!術前に禁煙する重要性

まず禁煙は、日本麻酔科学会の示すガイドラインによると、術前4週間以上前から行うことを理想としています。

しかし禁煙期間は長ければ長いほど術後の無気肺といった合併症のリスクを軽減する効果が高まるとする一方で、2~4週間程度の短期禁煙であっても合併症は増加しないとの報告もあるため、「早期の取り組みを推奨してはいるが禁煙はいつから始めてもよい」との結論に至っています。

なぜリスクを招くのか

ではなぜ喫煙が術後に無気肺のリスクを招くのでしょうか。まずたばこに含まれる非水溶性の有害物質が異物として肺に蓄積することで、呼吸機能が低下します。今度はその異物を排出するために痰が増加し、これらを排出するために生理的にせきが出ます。

しかし術後の体はさらに呼吸機能が低下している上にせきをすることも難しく、喫煙によって蓄積した異物や増加した痰を肺胞から排出できないがために無気肺になってしまうリスクが高まります。
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