脳出血における看護計画の立て方|後遺症/症状/慢性期/急性期

仕事ノウハウ

脳出血後遺症の看護のポイントって?

脳出血によりできる血腫が脳を圧迫して後遺症を発症することがあります。脳出血による後遺症は麻痺、運動障害、言語障害、精神障害があります。

脳出血による後遺症で最も多いのは片麻痺で、運動に関わる神経が妨げられ、身体の左右どちらかが麻痺し上手く動かないという症状です。 片麻痺があるとADLが低下しますので、看護師はADLを拡大させるような看護を行う必要があります。看護を行う際は無理強いせず、「今から何をするか」説明し、脳出血患者が自発的に行動を起こすように工夫しましょう。

後遺症看護の4つのポイントは?

ADLの拡大

後遺症の片麻痺の患者を看護する際は、セルフケアの日常生活援助をリハビリにつなげていくようにします。セルフケアの看護をするだけでなく、ADLを拡大できるように関わっていくことがとても重要です。

車椅子への移乗と移動の介助

脳出血患者が自分でできる事は自力で行っていただき、できないところだけ介助する方法を取ります。そのため、片麻痺の患者が健側の足を使い、必ず立位をとり、自分で車椅子に移動できるように車いすの配置を考えます。

体位交換

体位交換時は、自力でできるところまでは自分自身で行っていただきます。体位交換もリハビリテーションになるので、積極的に行っていただくようにします。

更衣の介助

片麻痺になった脳出血患者が更衣を行う際は、麻痺側から着て健側から脱ぐようにしましょう。衣類の着脱の際は、麻痺側の肩が脱臼しやすいので、看護を行う際は注意が必要です。

パジャマは、着脱しやすいようにボタンではなく、マジックテープなどに変えると、患者が自分で更衣を行う時に便利です。更衣を行うだけでもリハビリになり、ADLの拡大にもつながりますので、看護師からご家族に伝えましょう。

脳出血の症状とその看護方法とは?

脳出血の発症部位により、症状の出方が異なります。部位別にみると次のとおりになります。

脳出血の出血部位 症状 看護
被殻出血 意識障害、両目とも片側半分の視野が見えなくなる同名性半盲、運動性失語、失行・失認などがあります。 意識レベルやバイタルサインを経時的に観察を行う。頭蓋内圧亢進による再出血の予防看護に努めています。
視床出血 片麻痺、感覚障害、突然の頭痛、意識障害、出血後に半身の強い痛み 残存機能を維持することが大切なことを説明し、車イスへの移乗や体位交換の際は自力で出来るところは行ってもらいました。
皮質下(脳葉)出血 片麻痺、失語、半盲、突然の頭痛、運動麻痺 麻痺や運動障害が残りますが、諦めずに日々のリハビリテーションを行い、再発予防に気をつけて看護を行います。
小脳出血 突然のめまい、激しい後頭部痛、嘔吐、歩行障害が見られることもある。日常活動時に突然発症します。 再発予防に努め、血圧管理と薬物治療を行いながら、症状をなるべく軽くし生活がうまく送れるようにリハビリテーションに力を入れ看護を行います。
脳幹出血 突然の意識障害、呼吸障害、四肢麻痺、高熱 脳幹出血の看護に重要な血圧コントロールによる再出血の予防に努めています。また、医師の指示の元、止血剤、降圧剤などの管理を厳密に看護を行っています。

脳出血看護の観察すべき項目はこれ!

①意識レベル ②麻痺の有無、部位と程度 ③言語障害の有無と程度 ④バイタルサイン(再出血予防のためには血圧コントロールが重要) ⑤痛、めまい、嘔吐など ⑥嗽反射・嚥下反射

脳出血の慢性期・急性期の看護の方法は?

脳出血には急性期と慢性期があり、それぞれ看護の方法が異なります。急性期の場合は、血圧コントロール不良による再出血、血腫の増大、脳浮腫の拡大による全身状態の悪化があるため、異常がないか早期発見ができるような看護が必要になります。

慢性期の場合は、高血圧のコントロールや内科的疾患の治療、脳出血の患者が自発的にリハビリテーションができるよう看護を行います。

脳出血の治療と看護におけるポイントとは?

脳出血の原因は高血圧が多いため、寒い時期の水仕事や力仕事、寒いトイレや入浴時に血圧が上昇しやすい条件下では特に注意が必要です。脳出血の患者の既往歴や家族歴なども重要になりますので、最初に聞いておく必要があります。

脳出血の治療と看護には、内科的治療と外科的治療があり、出血部位と血腫の大きさで治療方法を選択します。

脳出血の2つの治療方法は?

内科的治療

内科的治療には、呼吸管理、循環、血圧管理、頭蓋内圧亢進の治療、脳代謝改善薬の投与があります。投与薬により血圧を低めに保ちながら安静を図り、頭蓋内圧亢進がある場合は、30度程度のギャッチアップで安静を保ちます。

外科的治療(手術療法)

外科的治療には血腫除去術、脳室ドレナージがあり、症状に応じて選択されます。血腫により命に直結する脳幹が圧迫されている場合に、救命の目的で血腫除去術を行います。

既に昏睡状態や脳幹が直接出血している場合は、救命の可能性が低いので手術は行いません。

脳出血の再発を防ぐための対策

・生活習慣の改善するために、適度な運動をして肥満にならないようにしましょう。

・バランスのとれた食習慣と塩分の摂りすぎに注意しましょう。 ・高血圧が原因の脳出血では、拡張期血圧が90mmHgを超えると再出血しやすくなるため、降圧薬治療を行い、高血圧コントロールが必要です。 ・栄養状態を改善して血清LDLコレステロール値を正常に保ちましょう。
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