残業100時間の給料の手取り|普通?違法?・過労死は防げるか

ビジネススキル

いつから

従業員と残業について書面で取り交わすことを労使協定と言います。実は労働基準法での残業の規定には例外があって、一定の条件のもとで労使協定に特別の条項を設けると1ヶ月45時間の限度を超えて残業をさせることができるようになります。

この場合は時間数に上限は決められてないため、たとえば月に100時間の残業も可能です。しかし毎月100時間も残業させられるかというと、そういうわけではありません。月に45時間を超える残業をさせられるのは年間で6回までと決められています。

管理職

管理職に関しては労働基準法では、労働時間の管理の対象外とされています。つまりどれだけ働いても残業代は発生しません。もともと残業という概念がありません。普通の労働者なら100時間の残業に対して残業代がつきますが、管理職の場合は何もありません。

ただし管理職と認められるためには、それにふさわしい待遇や職責が必要です。普通の社員よりも高額な給料を支払っていなければ管理職といっても名ばかりのもので否定されることになります。 もし名ばかり管理職の疑いがあるのであれば、自身の働き方を確認しましょう。人事上の権限や給料など管理職と呼べないような働き方であれば残業代を後から請求することも可能です。

サービス

まず最初にサービス残業はすべて違法だということを認識する必要があります。残業をさせたのであれば、それに対する対価を支払わねばなりません。さらにそれは通常の賃金の1.25倍の割増しで計算します。

すでに述べたとおり、たとえば100時間の残業では、給料の額にもよりますが十数万円の残業代になることもあります。決して少ない金額ではありません。 特に日本ではサービスはタダ、というような意識が少なからずあります。その中で残業についても労働者のやる気に甘えたり、つけ込んだりしている会社があるのも事実です。 残業そのものを減らす努力が必要な時にサービス残業などはもってのほかということを知っておくべきです。染みついた慣習を治すのは難しいため、もし今の職場でサービス残業があり不満を感じているのなら、迷わず転職すべきです。 法律を守る気のない会社で長く働く必要はありません。転職エージェントを使えば働きながらでもじっくりと転職活動ができるので、今のうちに登録しておきましょう。

労災

もしも働きすぎて倒れてしまった場合はどうなるのでしょうか。直近1ヶ月に100時間を超える残業をしていた場合で脳血管疾患や心疾患にかかった場合はほぼ労災を認定されます。業務と病気との間の因果関係がかなり濃厚と判断されるためです。

それ以外にも月に100時間を超える残業を続けていて、たとえば通勤中に自動車事故を起こした場合などもやはり会社の責任は免れないでしょう。 このように残業を100時間もさせていて、病気になった場合は労災となるばかりでなく、安全配慮を怠ったということで、会社も民事上の責任があり、損害賠償を請求されることになります。

残業100時間に潜むリスク

残業を100時間する場合のリスクについては、いろいろあります。まず健康面の問題で言えば脳血管疾患や心疾患の発症リスクが高まります。疲労やストレスで負担がかかるためです。

また精神面で不調になる可能性もあります。残業を100時間というのは1日に5時間ほど残業していることになります。毎日夜遅く帰り着いて寝るだけ、というような状態で次第にうつになったりする恐れもあります。 こういったことから100時間にものぼる残業は過労死やうつ等による自殺を引き起こすおそれがありできるだけ残業時間を短くするように務める責務が会社にはあります。

残業が多い業界

残業100時間の給料の手取り|普通?違法?・過労死は防げるか

業種によっては特に残業の多いところもあります。そうした業界では残業ありきで業務が組まれていることが多いです。

ただしこれは会社だけの問題ではなく、顧客や取引先を含めた構造的な問題だと言えます。改善するには全体の意識を変える必要があるため、すぐに残業を減らすというのは難しいでしょう。 しかし残業の多い業界というのは、人手不足に悩まされている業界でもあります。それだけ過酷な現場ということが知られており、避けられています。そしてそのことが今いる社員の負担が増えることになり、さらに残業を強いられるという負のスパイラルになっています。

飲食

昼頃オープンして深夜まで営業しているような飲食店の場合はそもそも拘束時間が長くなりがちです。さらに開店前の仕込みや閉店後の片付けまでを含めると1日の拘束時間が14〜15時間となることもざらにあります。

年中無休のお店であった場合はさらに残業時間も長くなりがちで、社員はもちろんアルバイトでも場合によっては月に100時間を超すこともあり得ます。 それゆえ定着率が上がらず慢性的に人手不足となっていることが多いです。

建設

天候によって作業の進行が左右される建設業界。特に雨天続きで工事の進行が遅れるとそのぶん残業が増える結果になります。

建設業に特徴的なことは、労働基準法で残業については月に45時間が上限とされていますが、建設業はこの上限の対象外となっています。そのため工期がきつい時などは100時間を超える残業が行われることもしばしばあります。

運送

荷物を決められた時間までに届けなければならない運送業も非常に残業の多い業界です。特に道路状況により時間がタイトになることが多いためドライバーの負担は重くなっています。

また工場や市場での荷下ろしや荷積みのための待ち時間、いわゆる手待ちの時間もバカにならず結果として残業が月に80〜100時間となることもあります。 このような特殊性を考慮して運転手に関しても建設と同様残業時間の上限はありません。とはいっても毎月100時間にも達するような残業をさせることはさすがにできません。
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