営業
営業はそもそも労働時間を管理しづらい職種の一つです。朝会社を出発したらそのまま外回りをして終業まで会社に戻らないことが多いです。そのためみなしの時間で計算している会社もあります。
また顧客からの要請があれば、答える必要があるため時間外であっても仕事をしなければならない現状があります。こうした時間はほとんどが営業だからそれくらい当たり前という感覚で切り捨てられてしまいます。 また営業手当などの名目で毎月残業代相当額の手当がついていることも多いのですが、実際の残業代には満たないケースも多くあります。その場合は結果としてサービス残業をしていることになります。勤務体系別サービス残業は当たり前なのか
勤務体系ごとにサービス残業の実態をみていきましょう。
正社員
正社員は他の勤務形態に比べてやはりサービス残業が多いです。経営者の中には、正社員なのだからサービス残業しても当たり前と考えている人もいます。もちろん正社員だから働かせ放題が当たり前なわけではありません。
パート
時給で働くパートでもサービス残業をさせられることがあります。たとえばサービス業でシフト制の場合です。交代のパートが遅刻した場合などに到着まで当たり前のように居残りを要請することがあります。
キチンと残業代が支払らわれるのであればまだいいのですが、多くの場合それぐらい協力するのが当たり前という考えを正社員が持っていたりします。特に正社員自身がサービス残業が当たり前の環境だとその傾向が強まります。アルバイト
アルバイトもパート同様にこまごまとした雑用などで結果的にサービス残業をしていることがあります。たとえ嫌だと感じていてもアルバイトという弱い立場であるため断ることができないということが多くあります。
休日のサービス残業は当たり前なのか
普段の出勤日はもちろん、時には休日に出勤を命じられることもあります。土日返上で働く様を月月火水木金金と皮肉る言葉からも休日出勤が当たり前になっている様を感じられます。
労働基準法では週に1日は休日を与えないといけないと定められています。したがって上記のような働き方は本来できないことになっています。もちろん休日に出勤したことに対して手当を支払えばできなくはありません。しかし現状では「自主的に」働いたものとしてサービス残業扱いになっていることが多いのが現状です。残業と休日出勤は違う?
まず法律上残業と休日出勤は同じでないことを知っておく必要があります。労基法では週に一度の休日を法定休日と呼びます。それに対して週休2日制の場合の法定休日以外の休みは法定外休日と呼ばれます。
法定外休日に働いた場合は残業という扱いとなります。対して法定休日に働いた場合は休日労働となります。この両者の違いの一つに割増賃金の割増率が異なる、というのがあります。つまり通常の残業の場合は25%の割増率であるのに対して法定休日出勤の場合は35%の割増率で計算しなければなりません。接待は当たり前?
営業職の人にとって休日出勤として多いのが接待ゴルフです。最近はゴルフ場の減少や接待交際費の制限が厳しくなったことなどもあり、かつてほどではないですがそれでもビジネスパーソンの接待としてはまだまだ存在感があります。
この接待ゴルフはサービス残業に該当するのでしょうか。もし接待が顧客との個人的なやり取りの延長で生じたものであれば残業とは評価されないでしょう。一方で会社からの命令がある場合は、その時間分の残業代が必要です。 営業職にとって接待で動き回るのは当たり前のことかもしれないですが、やはり会社の指示によって動く以上は労働時間と評価されることになります。サービス残業の何が問題なのか
いろいろな事情によりサービス残業が発生していることはこれまで見てきたとおりです。サービス残業の問題点はたくさんあります。会社もサービス残業をさせるのが当たり前ではないということを認識しなければなりません。同時に労働者もサービス残業を当たり前のこととして受け入れてきた部分があります。
働き方改革では労働者が働きやすい環境を作ることが不可欠です。その中で労働者自身も生産性の高い働き方ができるように意識を変えていかなければなりません。サービス残業を当たり前と考えずに、職場の改善すべき問題点と捉える必要があります。残業は当たり前
サービス残業云々の前に、そもそも残業自体が当たり前という感覚を改めていく必要があります。本来は残業をしなくても成り立つような働き方をするのが理想です。残業というのはイレギュラーなものであるという認識に立って業務の改善をしていかなければなりません。
日常的に残業が当たり前のものであるから、人件費の負担を避けるためにサービス残業が産まれたと考えられています。残業はあくまで突発的なものであれば残業代もそれほど負担になることはありません。 いかに労働時間を短縮するかはサービス残業解消のための第一歩です。そのためには現在の業務を洗い出し無駄な作業や時間がないかをチェックしてみましょう。時代性の問題
かつての日本は終身雇用制度が機能していました。また年功序列で賃金も年齢・勤続年数とともに上がっていくのが当たり前と考えられていました。
これは社会も企業も拡大、成長を続けているという前提で成立していた話です。頑張れば頑張るほど会社は大きくなり、最終的には労働者にも還元される。そのような期待があるからこそサービス残業を厭わないという空気があったのです。 仮にサービス残業が当たり前であっても、それ以上の見返りが期待できたので大きな問題にはなりにくいものでした。猛烈社員という言葉に代表されるように長時間働くこと自体が美徳とされる時代性であったことを考慮する必要があります。