サービス残業とは?
日本では昔から行われてきたサービス残業。会社員である以上残業するのは当たり前だし、そのぶんの残業代が支払われないのも当たり前。長年そんな状態が続いてきました。しかし時代の変化とともに会社と社員の関係性も変わってきています。
残業すればその分の残業代が支払われるのが当たり前です。サービス残業はその残業代を支払わないということです。つまり一方的に会社が労働力を搾取しているという状態でもあります。会社側が本来果たすべき義務を果たしていないということになってしまいます。サービス残業の違法性
サービス残業は、当たり前の話ですが違法です。労働基準法では労働の対価として報酬を支払うように定めています。特に残業をした場合は一定の率で計算した割増賃金を支払うことを定めています。
さて、労働基準法は強行法規です。法律上明記されていることに関しては有無を言わさずに行われなければなりません。法律に違反する行為があったら罰金などの罰則を受けることになります。 問題は企業ではサービス残業は違法だと認識していながら、社員にさせていることです。これくらいはやって当たり前という企業風土のところもあります。しかしこうした違法行為は発覚すれば会社の社会的信用を大きく損なうことになると認識するべきです。報酬は労働の対価
そもそも労働者は労働を提供する対価として報酬を受け取ります。サービス残業は労働の提供を受けながら、それに対する報酬を支払わないので労働の搾取と考えられます。
労働はタダではないのは当たり前の話です。本来であれば企業のトップが率先してサービス残業をなくすように行動をするべきなのですが、そうした行動は日本では稀でもあります。 労働契約も契約の一種であることを考えれば、サービス残業をさせて報酬を支払わないのは契約違反です。日本人はこうした契約に関して少々ルーズなところがありそこにつけ込んでいるとも考えられます。割増賃金の計算方法
本来残業した場合には時給相当額の1.25倍の割増率で計算した賃金を、残業した時間に応じて支払う必要があります。残業は1分単位で計算します。
もしもサービス残業をしていたとしたら、残業代を請求することができます。賃金の時効は2年です。この間であればさかのぼって請求することができます。 ところで会社がサービス残業をさせる場合には証拠が残らないように、いったんタイムカードを切らたりします。そこで実際の残業時間は何時間であったのかをメモなどに残しておく必要があります。業種別サービス残業は当たり前なのか
日本の社会自体でサービス残業は当たり前だという風潮があります。近年でこそ雇用形態が多様化した関係もあり、もはや当たり前のこととして受け入れないという考え方も広がってきましたが、まだ暗黙の了解でサービス残業が行われているところも数多くあります。
介護
介護業界のように人を扱う仕事では労働時間の境目が判然としづらいことがあります。定時はもちろんあるのですが、引き継ぎなどで時間を取られることもあれば利用者の状態によっては定時がきたから帰ります、とはいかに場合ももちろんあります。
こうした時にきちんと残業代が支払われていればまた別なのですが、ほとんどはサービス残業として「業務を円滑に進めるためにはそれぐらい我慢しなさい」で処理されてしまいます。こうした時間にルーズな状況が介護を過酷な労働現場にしています。そのため募集してもなかなか人が集まらないのも当たり前で、自分で自分の首を絞めていることに気づかなければなりません。接客業
接客業もサービス残業の温床です。たとえば飲食店でラストオーダー後に客が飛び込んできても受け入れる場合があります。このような時は残業する可能性が高まります。「お客さんがいるのだから残業するのが当たり前」と店主は考えます。
もちろん残業させること自体が問題というわけではありません。問題はきちんと残業代が支払われているのかということです。このように客への過剰なサービスがサービス残業に繋がっている側面があります。 また開店準備や閉店後の片付けなどを、労働時間ではないものとして取り扱っている場合がありますがこれらも会社の指揮命令下にありますので、労働時間としてカウントすべきなのは当たり前のことです。公務員
公務員は国民全体の奉仕者という性格があります。また給料面に関しては決められた予算がありますので際限のない残業はできない建前となっています。そこで「予算がつかない」サービス残業が横行することになっています。
特に年度末などの多忙な時期になると残業が当たり前になります。職場としての慣行であることなどからあまり疑問を抱かずにサービス残業をしている現状があります。しかし行政でサービス残業が当然の風潮は民間でも当たり前のようになってしまうことにつながるので、やはり体質を改めるような動きが今後必要になってきます。