会社と社員は運命共同体
日本では個人よりも組織に所属したいという意識が欧米に比べて高いといわれています。いまでこそ転職は当たり前という時代になりましたが、以前の日本では同じ会社に定年まで勤めることの方が価値が高いとされていました。
頑張れば昇進できて給料も上がる。そういったことが信じられた時代には自分自身の人生と会社は一種の運命共同体であり身を粉にする価値があったと考えられていました。 そのためサービス残業をしても、いずれ自分に還元されると考え受け入れることができました。会社は終身的に面倒を見るのが当たり前だったのです。家に帰りたくない?
会社からの要請でサービス残業をする場合もありますが、中には個人的事情からサービス残業をする人もいます。
これは男性の既婚者に見られる傾向で、家に帰ってもすることがないとか居場所がない、家事や育児を手伝うのが億劫だからなどの理由であえて職場に残る選択をします。ただ会社に残ってそれほど仕事をしているわけではありません。時間を潰していきたいと考える新しいタイプのサービス残業があります。サービス残業の危険性は知っておくべき
サービス残業は会社にとっても社員にとっても放置することで大きなリスクになります。もしもサービス残業が当たり前という職場であれば早急に改善していく必要があります。
なくならない長時間労働
サービス残業は給料を払わずにタダ働きをさせることです。会社にとってはまことに都合の良いことです。そしてサービス残業を指摘されると「景気が良くない」「よその会社もやっている」と当たり前のように開き直ります。
これでは長時間労働がなくならないもの当たり前です。長時間にわたる過重な労働で効率も下がりますし、定着率も低下します。結果として会社のためにはならないことを認識しなければなりません。過労死の問題
社員もサービス残業を当たり前と考えている場合があります。本来であればいかに残業をせずに済むかを考えることで効率や生産性を上げていくものです。時間さえかければ一定の成果を出せるのは当たり前。しかしダラダラと長時間のサービス残業を続けた結果、過労死に至ることもあります。健康面を考えても不毛な残業は極力避けるべきです。
サービス残業は残業代がもらえない?
サービス残業は残業代がもらえないのでしょうか。残業しても残業代がつかない場合はどうすれば良いのか知っておきましょう。
労働の対価は報酬
当たり前の話ですが、人は働いた対価として報酬を受け取ります。残業代を払わずに働かせるサービス残業は、端的に言えば時間泥棒です。貴重な時間を奪われることに疑問を持つのは当然です。
残業代の請求
もしもサービス残業をしている場合は、支払われていない分について請求することができます。給料の時効は2年ですので注意しましょう。日頃からサービス残業の実態などを記録して、証拠として取っておくなどの予防措置を取っておくといいでしょう。
時間は管理して当たり前
そもそも会社は社員の労働時間を適正に管理するのが当たり前なのです。時間の管理ができていなければ、自社の生産性がどの程度なのかもわからないということになります。こうしたところについてルーズであることは会社の成長にとっても明らかにマイナスです。
サービス残業はなぜなくならないのか?
このように問題だらけのサービス残業ですが、なぜなくならないのでしょうか。そこには日本的な雇用環境の問題があります。
甘えの構造
かつて終身雇用や年功序列が機能していたころは会社と社員は運命共同体でした。頑張れば給料も上がるし、昇進もできる。そう考えたからこそ猛烈社員たちはサービス残業を厭いませんでした。
しかし終身雇用も年功序列も崩れつつある中で、社員の会社に対する忠誠心に依存する会社があります。社員が文句を言わないのをいいことに甘えているのが現状です。適正な取引が必要
日本人は契約に関してなあなあにするところがあります。驚くことに働く上で自身の労働条件を知らないという人はかなりの数います。契約は対等の立場で締結するのが当たり前です。契約をきちっと決めるよりもあいまいなままにしておくことを好む日本だからこそこれだけサービス残業が当たり前のように行われているともいえます。
サービス残業は断ってもいいのか
それではサービス残業を命じられた場合に断っても良いのでしょうか。実はこれには難しい面があります。業務上の命令と法令とが混在するためきちんと整理しておく必要があります。
残業命令って有効なの?
会社が社員を適法に残業させることができる場合に、残業命令を出した時は社員は合理的な理由なしに断ることができません。もしも業務命令を無視して帰ったら最悪の場合懲戒処分を受ける可能性があります。
当たり前に断ってもいいのか?
問題はこのような残業命令を出して残業をさせたはいいが、その分の給料を支払わない場合です。この場合は賃金不払いで違法となります。社員としては残業命令には従わざるをえないものの、残業代が支払われなければ会社の違法行為を訴えることができます。
サービス残業を強要されたらどうすればいい?
残業代を支払う気がないことが明白な状態でサービス残業を強要された場合は断りましょう。たとえば過去の実績で残業代支払いがまったくない場合です。対価がないのに労働を提供する必要がないのは当たり前のことです。
サービス残業は当たり前の会社の見分け方
サービス残業が当たり前の会社というのはどういった会社でしょうか。まず慢性的に人手不足な会社です。人を採用する努力よりも、すでにいる社員に頼ることで乗り切ろうとする場合が多くサービス残業になりがちです。
似た様な感じで離職率が高い会社もサービス残業に陥りやすいです。またタイムカードなどできちんと労働時間を管理していないルーズな会社もサービス残業が当たり前となっていることが多いです。サービス残業は当たり前ではないと知ろう
いかがでしたでしょうか。今回はサービス残業は当たり前なのかということについてご紹介しました。国も働き方改革に本腰を入れています。サービス残業の問題点を理解して、なくすような努力が労使ともに求められています。