サーミ人の特徴10個|差別の歴史とサーミ人を描いた映画

雑学

サーミ人が作る手工芸品はドゥオッチ (Duodje)と呼ばれています。自給自足時代に日常品として生まれた道具、衣類、アクセサリーなとは機能的で便利、かつ芸術的美しさも備えたものが多く見られます。

その中にラップランドの白樺にできるコブをくりぬいて作られた、ククサと呼ばれるカップがあります。ククサは耐久性があり、よくできたものは一生ものと言われ、美しい木目や光沢があります。

その9:歌|ヨイク

サーミ人の音楽の中には独特の歌ヨイクがあります。伝統的に無伴奏アカペラが即興で歌われていました。シャーマニズムと関連して誕生した音楽ですので、自然界とのコミュニケーションの手段として、山野、月、川の物語であったり、感謝、賛美を歌います。

1994年ノルウェーのリレハンメルオリンピックの 開会式では、フィンランド国籍のサーミ人ニルス・アスラク・ヴァルケアパェーさんがヨイクを歌い注目されました。

その10:食事

トナカイの遊牧をしていたサーミ人の主食は当然トナカイの肉でした。

秋までは生肉を調理して食べ、冬になれば燻製や加工品を食べる。普段は3食とも肉食で、土地はツンドラで野菜はないので食べない。コケ類はトナカイの餌なので人は食べない。といった価値観を持っている家庭が今でもありますが、トナカイから離れ北欧化が進んでいる現代サーミ人の食事は、各国の習慣と同一化されてきています。

サーミ人の現状について興味ある方はこちら

北海道大学大学院教育学研究院教授/北海道大学アイヌ・先住民研究センター兼務教員の小内 透氏の著書です。先住民族に対する抑圧/権利保護政策に関してラップランドのサーミ人と、日本のアイヌを比較して論じられています。

サーミ人・差別の歴史

サーミ人の特徴10個|差別の歴史とサーミ人を描いた映画

サーミ人は何世紀にも渡り「サーミの土地」を奪った当事者から差別と迫害を受けました。征服者の都合で何度も国境線が引き直され、そのたびに移動させらたり、国家という枠に組み入れられて、言語、音楽、宗教といった大切なアイデンティティを封印されました。

最近では国連が差別国に勧告を行ったり、各国がサーミ語での教育権を保障したりと、保護の方向に動いていますが、差別する心をなくすのは簡単ではありません。

ラップ税とは

ラップ税とはラップ人(サーミ人)に課せられた税金です。北欧に国家が誕生する以前の12世紀頃から、すでにノルウェー国王が、国民でもないサーミ人にラップ税を課しました。

税といっても乾燥魚や、トナカイやアザラシの皮などの貢物での徴税です。その後17世紀頃になっても土地や水域の使用料という名目でラップ税は続き、近年乱獲などで狩猟動物での納税が実質的に不可能になってから、やっと廃止されました。

サーミ人を描いた映画

近年サーミ人に関連する2本の映画が公開されています。2014年に公開され大ヒットしたディズニーのアニメーション「アナと雪の女王」と、2016年公開のスウェーデンのサーミ人が登場する「サーミの血」という映画です。この2本の映画をご紹介しましょう。

アナと雪の女王

北国アレンデール王家の美しい姉妹アナとエルサを主人公に、真実の愛の力が描かれた物語です。主題歌のレットイットゴー(Le It Go)も世界中で大ヒットを記録しました。

この映画の舞台の一つがサーミ人の故郷ラップランドです。美しいオープニング曲のヴェリィ(Vuelie)はサーミ人の歌ヨイクがベースになっています。またトナカイを飼う山奥の青年として物語に登場するクリストフはサーミ人という設定です。

サーミの血

母親がスウェーデン人、父親がサーミ人で「サーミの血」が流れるアマンダ・シェーネルさんの監督作品です。

本作は、1930年代スウェーデンのサーミ人少女が差別や迫害に立ち向かいながらも強く生きて行く物語です。先住民族固有の権利が認知される以前、人権という意識すらまだまだ希薄な時代のことで、主人公は実際にトナカイを飼育する家のサーミ人、他サーミ人役の登場人物も全員本物のサーミ人でキャストされた作品です。

サーミ人について理解を深めよう

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