チベット死者の書とは何か・内容と隠された秘密・できた時期

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全ての段階で解脱できなかった場合はどうなるか

チベット死者の書とは何か・内容と隠された秘密・できた時期

四十九日が過ぎても解脱できない場合は六道輪廻に入ります。ここではチベット死者の書における輪廻に入る際の導きかたをご説明します。

六道輪廻とはなにか

チベット死者の書とは何か・内容と隠された秘密・できた時期

六道とは「天道、人間道、修羅道(三善道)、畜生道、餓鬼道、地獄道(三悪道)」です。チベット死者の書は、なるべく三善道に転生するように読み聞かせを行います。

転生する場合の導きかた

チベット死者の書では、三善道には天道、人間道、修羅道と説きます。次に生まれ変わることになっている世界の光が六色見えてきますが、天界は白、人間は青、阿修羅界は赤、畜生は緑、餓鬼は黄色、地獄は灰色と説き、どの色であっても守り本尊を瞑想し、再生の道へ入らないように、とチベット死者の書では解脱の道を説きます。

少なくとも天上界に留まり、美しい寺院で暮らすよう勧めますが、それでも生まれ変わるための胎に入ろうとする場合は、心を一点に集中し、善行のカルマが現れるときが長くなるようにし、胎の入り口を閉ざし引き返すようにと説得をします。

転生のかたちとその選択

六道輪廻に入った場合も天上界に留まり、さまざまな宝石で飾られた美しい寺院に入ることを強く勧めますが、もしも人間界に転生するならば東西南北四つの国の中でも仏の教えが広がる国へ入るようにと説得を試みます。

胎に入ることを拒めず、転生に入ろうとする場合、チベット死者の書では、卵生、胎生、化生と湿気から産まれる湿生があると説き、そして次々と幻影が現れ、執着心と怒りの力によって胎内に入ることになれば、人間や動物といったものに生まれ変わると諭しますが、これも全て実体のない幻影であると見抜くようにとさらに言い聞かせを行います。 しかしそれに失敗すれば胎に入ります。チベットの死者の書では、この状態になれば基本的には引き返すことはできないとし、そして、畜生界、阿修羅界を教え、決して入ってはいけない、すぐに立ち去るようにと、説得します。

最後の解脱のチャンスもあります

チベット死者の書では、再生の直前にもまだ解脱のチャンスが与えられ、仏になった大勢のものたちのなかで、自分はまだ輪廻の泥沼の中で過ごすことを自省させる猶予を与え、西方浄土を一心に思うよう導きますが、それもかなわず転生する場合、最後に次のように励まし、送り出します。

『さあ、善い人よ。頭をまっすぐに立てて進みなさい。現世に残してきた親類縁者や友人、息子たちや娘たちは、そなたを助けることはできないのだから、彼らに対する執着心と憧れを捨て去るがよいでしょう。さあ、行きなさい』

チベット死者の書ができた時期

チベット死者の書とは何か・内容と隠された秘密・できた時期

チベット死者の書は、パドマサンバヴァが1200年前に著したとされていますが、1928年にイギリスの神智学者エヴァンス・ベンツがインドで古い写本を手に入れ、英訳をし、オックス・フォード大学から出版され、ベストセラーになりました。そして、チベット死者の書は、カール・ユングなどの知識人の愛読書になりました。

日々の生き方に役立てましょう

チベット死者の書とは何か・内容と隠された秘密・できた時期

チベット死者の書は、臨終を解脱のチャンスととらえ、輪廻転生に入らないよう、もしも入った場合にはより良いもの、仏性を磨ける転生を選びなさい、と理路整然と矛盾なく教え説く経典です。

人は死んだらどこへ行くのかという問いの答えが記されており、たどるうちに、いつの間にか次の転生の準備に入っていき、それはそのまま人はどこから来たのか、という問いの答えにもなっています。こうして死に向き合うことで日々をどう生きるかを考えることができます。ご自身の信仰する宗教に関係なく、チベット死者の書を一読し、その神秘的な世界に触れてみるのはいかがでしょうか。
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