生活保護の上限貯金額・貯金を隠すとどうなる?調査される?

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生活保護の貯金で裁判になった判例

生活保護の上限貯金額・貯金を隠すとどうなる?調査される?

貯金というのは生活していく上でいざという時のためにと、将来使うことを予想し、お金を貯めるものですが、貯金があるということで心の不安を取り除いたり、気持ちに余裕を持たせてくれるものでもあります。生活保護受給者もそれは同じです。そう思って貯めた貯金や、実際使うことがわかっていたから貯金していたのに、生活保護を受けていたということで裁判にまで発展したことがあります。

生活保護の貯金で裁判になった判例をいくつかみていきましょう。

生活保護費預貯金訴訟(秋田地方裁判所)

夫が病気になりそのため仕事が出来なくなり、妻が身の回りの世話をしながら生活していましたが、貯金も使い果たしてしまい、生活保護を受けることになりました。妻も病弱で高齢であるため介護にも負担がかかり、妻は将来夫が入院した時のために貯金が必要だと感じ、生活費を出来るだけ切り詰め貯蓄をしていました。生活保護の資産調査によって貯金があることがわかり、そのため生活保護の廃止が決定されました。福祉事務所に抗議したところ、預貯金81万円のうちの27万円を収入と認定し、減額の対象とされました。その処分を不服とし訴えを起こしました。

秋田地方裁判所は、「生活保護法により保障される最低限度の生活水準にまで回復させるためにこそ使用されるべきものである」とし、「預貯金を収入と認定して、その分の生活保護費を減額すべきでない。」と福祉事務所の生活保護費の減額処分は無効という判決を下しました。

学資保険訴訟(福岡地方裁判所)

生活保護を受けていた福岡市の夫婦が、長女のために学資保険に加入し、月々3000円の保険料を支払い積み立てしていました。満期時に約45万円を受け取ったことに対し、福祉事務所はこれのほぼ全額を収入と認定し、約18万円だった月の生活保護費を、半額近くの9万5千円に減額しました。母親が死亡したため、娘二人と父親が減額処分の取り下げと慰謝料を求める訴えを起こしました。

最高裁判所は「本来、最低限度の生活を補う事を目的とした生活保護法が予定しているものではないが、法の趣旨目的にかなった貯蓄は、資産にあたらない」という判決を下し福祉事務所の処分は取り消しとなりました。この判決に至るまで15年という長い歳月がかかったということです。

正しく知ろう!生活保護と貯金

生活保護の上限貯金額・貯金を隠すとどうなる?調査される?

不正受給の人ばかりに目をやらないで!

生活保護を受けながら、高級車を乗りわしたり高級マンションに住んだりしていた人や、保護費を受けたその足で、タクシーでパチンコ屋に直行する人たちがテレビなどで取り上げられたことがありました。こういった生活保護費を不正受給している一部の人たちによって、生活保護は、「働かなくても国からお金がもらえる制度だ」という誤解が生み出されることもありました。

生活保護は、働きたくても病気などによって、働けない人、生活するだけの収入を得ることが出来ない人のための制度です。いつかは生活保護を受けなくて済むようにと思いながら、生活している人たちがほとんどです。そういった人たちが、最低限生活をするうえで必要なお金の不足分を、補ってくれる制度であり、将来自立するには、ある程度まとまったお金が必要だということも理解してください。

生活保護の貯金は、自立のための必要な蓄えです!

生活保護の貯金については、そんな余裕があるなら保護費はいらないのではないか?そう思う人が多かったのではないでしょうか。生活保護の貯金は、ある人は自分のお墓のために、ある人は進学して就職し、早く生活保護から抜け出せるようにという風に、それぞれ自立へ向かうことが目的の貯金だということがおわかりいただけたでしょうか?

国民の税金から出ている生活保護費ですから、誰にとっても平等になるようにという思いがあるからこそ、行政側と受給者側の生活保護費制度の解釈の相違などによって、裁判にまで至るケースもありました。 生活保護制度は、国民誰もが最低限度の生活を保障され、自立に向かうことが出来るようにするために設けられた、いわば最後のセーフティーネットです。貯金がすべて駄目だというのなら、その世帯も、その世帯の子ども達も、いつまでたっても生活保護から抜け出すことは不可能でしょう。 人には誰もが幸せになる権利があります。今の社会を生き抜くにはどうしても「お金」は必要なものです。きちんと生活保護を受けている人は、財産を増やすという貯金ではなく、けっして贅沢がしたくて貯金をしているのではないのです。そこに差別や誤解や偏見があってはならないのです。生活保護を受ける人たちも正しく受給し、受けていない人たちは、正しい知識を得て、温かい心を持って生活保護という制度を理解して欲しいものです。
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