誤嚥性肺炎の看護計画・目標・過程・観察項目・研究

仕事ノウハウ

誤嚥性肺炎の看護計画

誤嚥性肺炎の看護計画・目標・過程・観察項目・研究

誤嚥性肺炎の患者さんの看護を行うためには、看護計画を立案する必要があります。誤嚥性肺炎の患者さんの看護問題としては、.誤嚥のリスク状態や呼吸機能低下による呼吸困難感、窒息のリスク状態があげられます。

誤嚥リスク状態

誤嚥性肺炎の特徴は誤嚥によって肺炎が生じていることです。嚥下機能が低下している高齢者に多く見られ、いったん肺炎は改善しても、誤嚥を起こす状態自体を改善しなければ再発します。そのため、誤嚥を繰り返してしまうという誤嚥リスク状態が問題としてあげられます。

呼吸機能低下による呼吸困難感

誤嚥性肺炎は、誤嚥により肺炎を起こしているため呼吸機能自体が低下しています。そのため患者さんは、十分に肺でのガス交換ができないため、全身に必要な酸素が供給できず、呼吸困難感を感じ苦痛を伴います。

窒息のリスク状態

肺炎を起こすと、痰の量が増加します。誤嚥を起こす患者さんは自分で十分痰を出す力がない場合も多いため、痰が気道を塞ぐほどたまってしまい、窒息してしまう危険性があります。また、治療段階に沿って食事を再開していくのですが、その際にも食道ではなく気道に入ってしまい、窒息する危険性があります。

誤嚥性肺炎の看護目標の立案

看護計画を立案した後、計画に対する看護目標を設定していきます。本来は長期目標と短期目標を設定することがマニュアルどおりですが、最近では、入院期間が短縮され、早期退院を推奨されているため、短期目標を設定することが多いです。具体的な看護目標をご紹介します。

誤嚥リスク状態に関する看護目標

誤嚥リスク状態に関する看護目標は「再度誤嚥を起こさない」ことです。誤嚥を起こす原因としては食事の再開、痰貯留、嚥下能力の低下があります。高齢者は飲み込む力が低下していることに加え、気道に入ったものを咳嗽で出す力も低下してることが多いため、再度誤嚥する危険性が高まります。

呼吸機能低下による呼吸困難感に関する看護目標

呼吸機能低下による呼吸困難感に関する看護目標は、「呼吸困難感を軽減する」ことです。呼吸困難感が生じる原因として、肺炎を起こすと痰の量が増加しますが、それを出す力も低下していることから気道に痰が貯留することが挙げられます。また、肺の炎症により、肺の機能自体が低下し、十分なガス交換ができず全身に必要な酸素を供給できないことからも呼吸困難感も生じます。

窒息リスク状態に関する看護目標

窒息リスク状態に関する看護目標は、「窒息を起こさない」ことです。肺炎により痰の量が増えることで気道が閉塞してしまうことや、食事再開した時などに誤って食べ物が気道に入ってしまい、気道を閉塞させる危険性があります。

誤嚥性肺炎の看護プラン

看護目標を設定できたら、看護プランを考えていきます。看護プランはできるだけ具体的な方法を考えていきます。観察項目は後ほど述べていきますので、ここではケアプランを中心に考えていきます。

誤嚥リスク状態に関する看護プラン

誤嚥リスク状態に関する看護プランとして、再度誤嚥を起こさないために、現在の患者さんの嚥下機能を正しく評価して、嚥下能力を高めることです。初めは絶食管理で肺炎の治療を優先させます。この時期に大切なのは口腔ケアです。

何も食べていなくても口の中は雑菌が増えやすく、その雑菌を誤嚥することで肺炎が悪化することがあります。そのため一日少なくとも朝と夜は口腔ケアブラシなどで口の中を綺麗にしてあげることが大切です。吸引器を使用しながら垂れ込みを防いで行いましょう。 肺炎がある程度落ち着き、食事が再開すれば、食事形態を患者さんに合わせて徐々にアップしていきます。この時口の中に溜め込んだりしていないか、しっかり飲み込めているかを評価しながら食事を進めていきます。一口量が多すぎたりしないかも見ていきます。STの方にも介入してもらうと良いでしょう。

呼吸機能低下による呼吸困難感に対する看護プラン

呼吸機能低下による呼吸困難感に対する看護プランは、気道クリアランスを保ち、呼吸困難感を軽減することです。痰の貯留があれば吸引器を使用して溜まっている痰を取り除きます。痰が粘稠で取りきれない時は吸入を併用すると取りやすくなります。

肺の炎症により十分なガス交換ができない場合は酸素を吸入して呼吸をサポートします。医師の指示に基づいて酸素の供給方法を選択し必要量を投与します。それでも酸素化が悪ければ一時的に呼吸器を使用することもあります。 体の向きによっても呼吸のしやすさが変わるため、体位を変えて体位ドレナージすることも効果的です。

窒息リスク状態に関する看護プラン

窒息リスク状態に関する看護プランは窒息を起こさないように気道クリアランスを保つことです。適宜痰を取って気道クリアランスを保つことはとても大切になります。

また、食事再開直後が一番窒息のリスクが高まるため、吸引器を準備してから食事を開始するというように準備が必要です。食後は嘔吐物が窒息させることも考えられるため食後1時間はギャッチアップした状態か座位で過ごしてもらうようにします。

誤嚥性肺炎の看護展開

誤嚥性肺炎の看護計画・目標・過程・観察項目・研究

では、プランに対するケアプランと教育プランについて考えていきます。

誤嚥リスク状態のケアプランは、口腔ケアを毎日行うことです。これは口の中を綺麗にすることで雑菌が気道内に入らないようにするためです。また、嚥下機能訓練を行い再度誤嚥しないように嚥下機能を鍛えることも挙げられます。 呼吸機能低下に伴う呼吸困難感に関するケアプランと教育プランは、体位ドレナージを行うことで喀痰を促し呼吸困難感を軽減したり、吸入を行い喀痰しやすくすることが挙げられます。また医師の指示に基づき適切な量の酸素を投与することでも呼吸困難感は軽減します。深呼吸を促ししっかりと肺が広がるように指導していきます。
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