看護における環境整備の5S
5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」のことです。これらは、全て環境整備の質を上げるための要素です。
整理
看護における整理とは、今現在必要なものだけを残して要らないものを処分することです。例えば、ケアをした後に使ったテープ類やモニターの電極の予備などが残っていることは無いでしょうか。また使うだろうから、と残しておいたり置いておく方もいますが、今必要なものだけが整然とあることが整理です。
整頓
そして、必要なものだけになったらそれらを使いやすい、とりやすい場所に置くことが整頓です。ナースコールは患者のADLに合わせて届くところへ、常時吸引などが必要な場合はその必要物品は必要最小限だけベット周囲に置きます。
清掃
清掃はその文字どおり、ホコリなどを拭い綺麗にすることです。
清掃業者は床などは綺麗にしてくれますが、ベット周囲などは機器類もあるので看護の仕事です。機器類や患者の病状に合わせて、ベット周囲を清掃することが看護の清掃です。清潔
清潔は、見た目の美しさも含まれます。清潔で整頓された環境は、患者の気持ちを良くし看護も動きやすくなります。精神的にもゆとりのある状態に環境整備することが、清潔にするということです。
看護における環境整備の観察項目
看護における環境整備の観察項目は、上述した5Sを満たしているかどうかを基準にすると分かりやすくなります。
・患者周囲は必要なものだけに整理されているか ・患者のADLに合わせて、また看護の必要性に合わせて整頓されているか ・ホコリや髪の毛などがたまっていない清潔な空間か ・療養に適して、気持ち良い清潔な状態か ・施設基準やルールにのっとっているか
といった視点でみていきましょう。看護における環境整備の計画
看護における環境整備を計画する時には、看護の視点が入っている必要があります。患者の病状、リハビリ状態、認知レベル、看護師のケアの必要性、そして患者の好みなども考慮して計画します。
療養環境の整備
疾患とそれに伴う必要な療養環境をまず考えます。脳出血の患者でしたら、まずその治療のために静かで刺激の少ない環境整備をする必要があるということなどです。また、その療養に集中できるように温度・湿度管理、臭気などに対する対応も計画します。
事故防止
患者のADLや現状、そして目指すゴールも含めて転倒転落などの事故が防ぐための環境整備を計画します。患者の意欲が促進され、看護も動きやすいのはどのような環境か、認知症などがあればどんな装備をすれば良いかなどを計画しましょう。
感染管理
ただでさえ入院中や施設入所中は、免疫力が落ちます。多少の汚れやほこり、髪の毛などでも飛まつ感染や接触感染の可能性もあります。また、不潔な環境は患者の意欲を削ぐこともあります。感染管理の視点での環境整備の計画も必要です。
看護における環境整備の留意点
看護における環境整備の留意点は、ただ綺麗であればよいということでは無いということです。感染予防や危険防止、そして看護のしやすさ、そのうえでも患者のプライバシーに配慮していることが大事になります。理想的な事は、患者の療養状況を見れば、またベット周囲をみるだけで患者の状況がわかるような状態です。
患者の周りのコード類や危険物が整備され、清潔でセンサーマットなどを置いていれば何より認知症などによる転倒転落に留意していることが分かります。看護ケアに必要なものが整然と置かれていれば、まだ急性を脱していないと考えられます。