多系統萎縮症の看護過程・看護のポイント・看護目標の立て方

仕事ノウハウ

多系統委縮症の看護目標の立て方

多系統萎縮症の看護過程・看護のポイント・看護目標の立て方

多系統萎縮とはあまり耳慣れない言葉です。どんな病気でどんな治療をするのでしょうか。それにより、看護師はどんな看護目標をたてれば良いでしょうか。

多系統萎縮症とは

多系統萎縮症(MSAという)とは、自律神経の障害をメインとして錐体外路系や小脳系の3系統の神経経路が病変を起こし、その神経系統が司る症状が出現する病気のことです。この3系統の神経系の症状の現れ方の割合は、個人差があり看護もそれに適応する必要があります。

自律神経障害

多系統萎縮症の自律神経障害の症状で多いのは、排尿障害と起立性低血圧、汗をかきにくく体温調整ができないなどです。看護として、排尿障害(頻尿や尿失禁)をチェックするのは大事です。腎炎など重症化させないことが必要です。また、起立性低血圧による立ちくらみや、それによる転倒などの二次障害も考慮しなくてはなりません。

錐体外路系の障害(MSA-P)

多系統萎縮症の錐体外路系の障害と言えば、すぐに思いつくのはパーキンソン症状です。振戦、小刻み歩行、四肢や体幹の固縮、動作が緩慢になるなどが症状として前面に出ることがあります。パーキンソン病と混同されてしまうこともあるので、看護としても要注意です。

パーキンソン病では、振戦が最初の症状であることが50~70%ですが、多系統萎縮症では約10%であることなどが違いとして挙げられます。

小脳系の障害(MSA-C)

多系統萎縮症の小脳系の障害というと、運動失調症状を起こすことが浮かぶでしょう。構音障害や歩行不安定などの症状が前面に出ることがあります。小脳系も遺伝病の一種や、脳血管障害など間違われやすい疾患が多くありますので、看護観察が大事になってきます。

多系統委縮症の治療

多系統萎縮症の診断は、3つの神経症状の全てが、その程度はまちまちであっても、まずあるかどうかを考えます。そして、起立テストや残尿測定、MSA-Pではレポドパの検査投与、脳のMRIなどで鑑別していきます。

鑑別診断の結果、多系統萎縮症であると診断された場合は治療を開始しますが、現在特効薬や有効な治療法は無いのが現状です。そこで、症状に対する対症療法が中心になります。自律神経障害に関しての泌尿器的治療や、起立性低血圧に対して、日常生活の注意や弾性ストッキングの使用、また筋肉が硬くなったり、呂律障害に対するリハビリも大切になってきます。 予後としては個人差が大きく、平均罹病期間は5~9年と言われていますが、進行すると中枢性呼吸調節障害や吸気制喘鳴(ゲルハルト症候群)などを起こし、生命に関わることもあります。

多系統萎縮症の看護目標はどう立てる?

多系統萎縮症にとって看護の役割は大きくなります。多系統萎縮症であるかどうかの診断に関しても、看護の観察眼が大切ですし、治療としても医師の処方と共に、日常生活指導やリハビリが重要なこともあります。この病気を宣告されての精神的不安もあるでしょう。

また、罹病期間も長いですし、出てくる症状も個人差が大きいので、看護目標も個別性をしっかりと打ち出す必要があります。症状とそれが日常生活にどう影響しているか、周りのサポートはどうかなどを踏まえて、患者は病気を抱えてどんな状態を目指しているのかを目標にいれましょう。

多系統萎縮症の観察項目

多系統萎縮症の看護過程・看護のポイント・看護目標の立て方

多系統萎縮症の観察項目は病状を把握するための項目と、日常生活ケアに関しての項目、そして精神的問題に関してと分けると分かりやすいでしょう。看護にも結び付けやすくなります。

病状を把握するための項目

・神経症状の有無と程度(自律神経系症状、錐体外路系症状、小脳系症状に関して)

・3つの神経系の症状のどれが強いか(どれか一つということは無いか?) ・各種検査とその結果 また、多系統委縮症では重症化して呼吸停止してしまうことがあるので、いつでも(特に夜間)呼吸状態をチェックしておくことは大事です。

日常生活ケアに関しての項目

・ADLと日常生活動作への影響(食事動作・移動動作・排泄・更衣など)

・セルフケアの状態(口腔内・身体保清・皮膚上で褥瘡の恐れはなど) ・歩行や運動器の状態と障害の程度
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