精神的問題に関する項目
・告知された時の精神的状態 ・社会生活の障害と程度 ・家族など周りの人の反応とサポート状況
多系統萎縮症は難病です。進行性もありますし、それまで営んできた社会生活ができなくなる可能性もあります。また、その患者を支える家族や周囲の人への影響も大きくなります。経済的な状況も含めて、看護につなげていけるように情報収集します。多系統委縮症の看護診断
多系統萎縮症の看護診断は、まず観察項目に沿って観察します。その後、患者の病状を医師の所見を元に正しく把握しましょう。そして、その諸症状によって患者が日常生活や社会生活を送るのに、どんな状態にあり、どんな問題が起きているかを看護からの目線で評価します。
例えば、パーキンソン症状が強く出ていて小刻み歩行などで転倒のリスクが高い状態の方がいたとします。その方が、高齢者であれば転倒して寝たきりになってしまう危険性や、介護に関する問題などが上がってくるでしょう。40~50代であれば、転倒や事故の可能性と共に、仕事や家事・育児などへの影響の可能性を考えなくてはいけません。 看護診断は、診断後にどんなケアやサポートが必要かを整理するためにおこないます。なので、診断しておしまいではいけません。患者自身の病状と、年齢や性別・社会的役割、そして患者や家族の思いや状態を考え併せて、診断していきます。多系統萎縮症の看護課程
多系統萎縮症の看護課程は、症状の個人差が強いので個別性を重視する必要があります。その中で、代表的な症状に関して看護課程の例を上げています。
① 看護問題のアセスメント
・多系統萎縮症の診断はついている方です。 ・歩行状態を観察すると小刻み歩行で右に傾きがちになっています。 ・歩き出しが特に前のめりになってしまいます。
などを情報収集します。そして、その状態は非常にリスクの高い状態なのか、本人に注意を促せばよい程度なのかをアセスメントします。② 看護診断
このアセスメントの結果、患者に起こり得る看護問題を看護診断します。看護問題の一つとして「転倒」が考えられます。そして、転倒が問題になるのは、転倒の痛みや恐怖感だけでなく、その後の骨折などによる、寝たきりやさらなる歩行障害です。
これらを患者の性別や年齢、社会的役割などに沿って問題の重要度も看護診断していきます。③ 看護目標の設定
そして、看護目標を設定します。まずは「転倒しない」「転倒せずに過ごすことができる」「転倒による骨折を行さない」などが挙げられるでしょう。
④ 看護計画
そして、目標を達成するためのOP(観察項目)・TP(ケア項目)・EP(指導項目)を挙げます。
・OP:歩行状態・ふらつきの有無と程度・転倒しやすい環境の有無・衣類や靴など ・TP:環境整備・必要時補助具の使用・衣類や履物をリスクの低いものへ変更・必要時付き添い歩行・リハビリなど ・EP:歩行状態の現状とそれによる危険性の説明・環境を整える重要性・ナースコールを使うことの必要性と説明・自主リハビリなど