慢性心不全における看護計画の立て方|目標/研究/観察事項

仕事ノウハウ

慢性心不全とは?

慢性心不全における看護計画の立て方|目標/研究/観察事項

心不全は心臓のポンプ機能が低下することによって、組織の必要としている血流量を拍出できない状態をいい、ほとんど全ての心臓病が最終的に心不全に至るといわれています。

心臓のポンプ機能が低下した際、心臓が血行動態を正常に保つために働くことを代償機構といいます。代償機構には、交感神経やレニン、アンジオテンシン、アルドステロン系のホルモン、心筋リモデリングによって血行動態を維持しようと働きます。しかし、代償機構が持続すると心筋に過度の負担がかかり、最終的に心不全を悪化させます。 心不全には急性心不全と慢性心不全があり、急性心不全は血行動態の異常が高度であるため、代償可能な範囲を上回り、急激な心機能低下を起こします。一方慢性心不全は、心筋障害が慢性化することにより、代償機構が働いていた状態が長時間持続した後、心臓の機能が破綻した状態をいいます。

慢性心不全の観察すべき項目一覧

慢性心不全における看護計画の立て方|目標/研究/観察事項

まず、観察しなければならないのが、慢性心不全の症状を始めとする病態です。慢性心不全は、心不全によって起こる心臓の代償機構が長時間持続することによって心機能が破綻し、心臓の収縮能力や拡張能力の低下をまねきます。

その結果、代償機構の破綻により増えた体液が心臓内に貯留をします。このような病態が起こることによって末梢循環不全が起こり、倦怠感や持続する呼吸困難が起こります。また、運動耐容能の低下が起こると言われています。 次に、慢性心不全の治療に伴う症状を観察する必要があります。慢性腎不全の治療は自覚症状を改善し、クオリティオブライフの向上や生命予後の改善が重要です。自覚症状を改善するためには基礎疾患の確定と治療を行うことにより、慢性心不全の憎悪を予防します。 慢性心不全の具体的な治療は、①塩分・水分制限、②カリウム補給、③運動制限です。また、治療薬には利尿薬や血管拡張薬、強心薬、β遮断薬を用います。

具体的な観察項目

慢性心不全の症状

慢性心不全は原因となる心疾患が持続することによって、引き起こされる症状です。慢性心不全の看護は原因となる心疾患と、慢性心不全の症状を同時に観察する必要があります。具体的な観察項目を紹介します。

①脈拍 ②肺音 ③心音 ④倦怠感

⑤呼吸困難の有無 ⑥SPO2 ⑦呼吸回数 ⑧胸郭の動き

⑨浮腫の有無 ⑩労作時・安静時の息切れ

治療に伴う観察項目

慢性心不全の治療は循環状態を管理することが重要です。循環状態を管理するためには、体重コントロールや薬剤による循環動態の管理が重要です。循環動態を管理する薬剤は副作用も強いため、観察がとても重要です。

①血液検査の数値 ②体重 ③皮膚の弾性 ④口渇感

⑤血圧 ⑥脈拍(回数・脈圧・不整脈の有無) ⑦自覚症状(息苦しさ・動悸・息切れ) ⑧心電図(ジギタリス中毒・高カリウム血症)

⑨尿量 ⑩食事量

慢性心不全における看護師の役割とは?

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慢性心不全の治療に関する看護師の役割で最も重要となるのが症状の観察です。慢性心不全は、憎悪と寛解を繰り返しながら進行する病気であり、憎悪期の循環器症状の変化については特に注意が必要です。患者の全身状態に変化が見られた場合は、速やかに医師に相談する必要があります。

また、投薬治療を行っている慢性心不全の患者は、薬を正しく内服することがとても重要です。慢性心不全の患者は高齢者が多く、看護師は患者のセルフケア能力をアセスメントし、薬の管理を行ったり、患者が自己管理できるように服薬指導をしたりといった看護が必要です。 さらに、慢性心不全の患者は、病気と上手に付き合うことが重要です。患者が慢性心不全と上手に付き合うためには、慢性心不全の病態について理解し、患者が体重や症状、食事の自己管理を行い、身体に変化が起こった場合に病院を受診することができるように、看護師は指導や教育を行う必要があります。
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