見込み残業のメリット・デメリット5つ|みなし/違法/誤解

ビジネススキル

メリット2:残業が短くても一定の残業代が出る

労働者側としても、残業をてきぱきと素早く終わらせることができれば決められている時間よりも短い残業で同じ分の残業代をもらうことができるというメリットがあります。

「見込み残業」は、監督者が正確な残業時間を把握することができないという理由から設定されるものであるためにたとえ早く終わってしまったとしても無理をして働き続ける必要はありません。仕事の早い人にとっては大きなメリットでしょう。

メリット3:仕事が早くなる

上記のように、見込み残業には仕事が速い人が得をするというメリットがあるために見込み残業制度を取り入れている職場では労働者の仕事が速くなるというメリットがあります。

労働者としては仕事が早くなればその分同じ賃金をもらうのにかかる時間が短くなり、自由な時間が増えますし、企業側としても労働者によってまかなわれる仕事の量は変わっていないので損失はありません。両者にとってWin-Winであるといえます。

メリット4:会社側の残業時間の計算が楽

見込み残業を取り入れている企業は、残業時間を集計したり、残業代を計算したりする手間が省け、手続きが非常に簡略化されるというメリットがあります。これらの計算も、言ってしまえば「誰かの仕事」になるはずのものですので、無駄な労働を省くことができるといえるでしょう。

残業代は、同じ残業時間働いたら誰でも同じ額になるわけではありません。普段の賃金によって残業代は変わってきますので計算は面倒な仕事と言えます。

メリット5:裁量労働では自由に時間配分できる

デザイナーやIT関連の仕事など、究極の「フレックスタイム制」ともいえる時間形態で働く人にとっては、見込み残業の制度は自由に時間配分をすることができる優れた制度であるといえるでしょう。

毎日同じ時間だけ労働をしなければならないという縛りもなくなりますので、自由に休憩をとったり、集中して1日中休みなく働くことも可能です。

見込み残業のデメリット

見込み残業のメリット・デメリット5つ|みなし/違法/誤解

それでは、見込み残業のデメリットは何でしょうか。これまでに見てきたように、見込み残業には労働者と企業側の双方にメリットを与えるような性質があります。

しかし、これらがメリットを発揮するためには両者が自分の責任しっかりと管理していることが不可欠です。また、見込み残業は「初めから決まっている」という特徴があるために融通が利かないという側面もあります。

デメリット1:ブラック企業に悪用されやすい

見込み残業制度は、悲しいことにブラック企業に悪用されて労働者を酷使するきっかけになってしまうことがあります。見込み残業は月の残業時間を企業側があらかじめ定め、それ以上の残業時間については記録することもできなければもちろんさらなる手当も出ません。

ブラック企業は、残業代を削減しつつ労働者に長時間労働させることを可能にするため、月の残業時間を短く設定し、かつそれでは対応しきれないような仕事量を課します。

デメリット2:割り増し賃金の対象外

見込み残業には、残業代に適用されるような「割り増し賃金」の制度が適用されません。というよりも、これらの手当をあらかじめ含んだ総額が賃金に上乗せされていると考えた方が良いでしょう。

みなし労働時間制をとる職種の場合、どこからどこまでが基本労働でどこからが残業なのかの線引きも自分で行わなければなりません。割り増し賃金のこともしっかりと考えて残業時間を把握しましょう。

デメリット3:繁忙期は長時間残業することもある

見込み残業のメリットとして「早く仕事が終わればその分得をすることができる」ということが挙げられますが、それと反対に忙しい時期は見込み残業時間を超過して働かなければならないことがあります。

この場合でも残業代は初めから定められている額から増えることはありません。普通の残業代とは違って「一時的にいくら働いても稼ぐことができない」とも言えるデメリットです。

デメリット4:残業時間を自分で管理する必要性

みなし労働時間制や見込み残業制度をとる職種では、監督者が労働時間を把握して管理することができないので、その管理はすべて労働者本人に任せられています。このため、残業時間や労働時間を自分で把握して超過しないように気をつけないと実働時間と合わなくなります。

見込み残業制度は、短時間しか働かなくても給料をもらうことができる制度である反面、いくらでも無賃金労働できてしまうデメリットも抱えています。
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