公序良俗違反の意味と例・判例・効果・契約一覧|融資/解雇

言葉の意味

賭け事の掛け金など

賭け事をするためのお金と知って金銭貸借の契約をした場合、公序良俗違反で無効になりますが、賭け事をするお金だという事を隠して借り受けた場合、その金銭貸借は無効になりません。

個人の自由を極度に制限するもの

退職後に同業他社で働いてはいけないなど、合理的範囲を超えて広範な拘束をする契約は、公序良俗違反になります。職業選択の自由が認められているからです。

公正な競争を阻害するもの

請負入札で、価格や落札者を業者間で調整し、落札業者から他の業者に金銭や工事の一部を分配する、いわゆる談合による契約は、公序良俗違反にになりますので無効です。

憲法的価値に反する行為

男女の年齢差があると定めている就労契約は、公序良俗違反ににより、無効となった判例があります。また、入会集団の会則による男女年齢差でも、公序良俗違反により、無効になった判例があります。

取締規定に反する行為

食品衛生法違反の毒物が混入した商品を、知っていながら製造販売していた売買契約を、公序良俗違反ににより、無効とした判例があります。取締規定に反するものが無効になるわけでなく、民法90条により無効になりました。

食品衛生法とは

日本で飲食によって生じる危害を防止するための法律です。所管は厚生労働省で、表示に関してのみ消費者庁です。食品と添加物の基準や表示、検査などの原則があり、食器や割烹具、容器、包装なども規制の対象になっています。

不当な内容の契約条項

約款における個別の条項が、事業者側に有利になるような契約の場合、公序良俗違反により、無効になる事があります。

公序良俗違反の効果

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公序良俗違反による契約や法律による行動は、無効になります。法律による行動全体が無効になるのが原則ですが、学説では、一部のみの無効も認めるべきであるとしています。

公序良俗違反に基づく給付は、不法原因給付となり、返還請求ができません。金銭消費貸借契約が公序良俗違反で無効になる場合は、貸主は借主に貸金の返還を請求できません。

不法原因給付とは

原則として、無効な法律による行動に基づいてなされた給付は、不当利得として返還しなければいけません。しかし、不法な原因に基づいて給付した場合、給付したものの返還請求ができません。不法な原因が、受益者についてのみあるときには、返還請求ができます。

動機の不法

例えば、人を傷つける動機でナイフを購入する契約は、購入自体は公序良俗違反ではありませんが、動機において不法になります。このような法律の行動は、不法な結果を防止するためにも無効とすべきです。

判例でも、不法な動機でなされた法律の行動は、公序良俗違反により無効となっています。しかし、当事者の内心を理由に法律の行動を無効とするのは、取引の安全を害します。学説としては、相手方が不法の動機を知っていた事を無効の要件としています。

公序良俗違反をしないために

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普通に生活していれば、公序良俗違反になる事は、ほとんどありませんが、知識として知っておく事で、余計なトラブルに巻き込まれる心配もなくなります。押し売りによる不当契約や高額な金額を請求された際にも、公序良俗違反について知っていれば、クーリングオフなどの対応も可能です。法律をややこしく感じる人もいますが、正しい知識を身につけましょう。

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