サーミ人について
サーミ人という民族をご存知でしょうか。サーミ人は先住民族の1つでスカンジナビア半島北部にあるラップランドやロシアの北側にあるコラ半島に住んでいます。今回は、サーミ人の民族の種類やサーミ人の民族性など、先住民族の1つとされているサーミ人について迫っていきましょう。
サーミ人のあらまし
サーミ人は、スカンジナビア半島に位置するラップランドという国に居住している先住民族の1つです。また、ラップランドだけでなくロシア北部のコラ半島やノルウェー、スウェーデン、フィンランド、そしてわずかながらアメリカにも居住をしています。
さらにサーミ人の住むラップランドは他の国が呼ぶ蔑称ですが、サーミ人の人たちは自分たちの国のことをサーミ、またはサーメと呼んでいます。サーミ人の種類
サーミ人の住むラップランドは、厳しい寒さと自然が豊かな国です。また、サーミ人といっても住んでいる場所は一箇所ではありません。ここからは、さまざまな居住スタイルをおくるサーミ人の種類についてみていきましょう。
種類1:山岳サーミ人
山岳サーミ人は、トナカイ遊牧を仕事として山岳で生活をおくるサーミ人たちのことです。また、サーミ人と聞いて一番にイメージされるのが、この山岳サーミ人のトナカイ遊牧です。
トナカイ遊牧が主な専業だった山岳サーミ人ですが、チェルノブイリの原発事故後にトナカイが減ったためトナカイ遊牧の職業は減りました。また、山岳サーミ人は、現在はトナカイ遊牧の代わりに副業や他の仕事をして生活しているといわれています。種類2:海岸サーミ人
サーミ人は山岳地帯に住んでいる民族だというイメージが強いですが、海岸でもサーミ人は生活をしています。また、海岸サーミ人は、漁業を中心として生活をしていましたが、現在では漁業に加えて小売業やサービス業を営んで生活をしているとされています。
種類3:森林サーミ人
ラップランドは自然が豊かな国ですので、山岳や海岸だけでなく森林にもサーミ人は生活をしています。森林サーミ人の特徴は、山岳サーミ人と同じくトナカイ遊牧を行って生活をしていましたが、現在では小売業とサービス業などを行っています。
また、森林サーミ人の遊牧しているトナカイは森林に生えている草を食べているため、山岳サーミ人のような大移動が行わない小規模なトナカイ遊牧が特徴です。種類4:河川/湖サーミ人
サーミ人が居住するラップランドには、山と海と森林に加えて、河川と湖があります。河川と湖に住むサーミ人も住んでおり、生計の仕方はどちらも漁業が盛んな部族といわれています。また、フィンランドのイナリ湖でも湖サーミ人は居住しており、フィンランドの人たちからはイナリラップと呼ばれています。
サーミ人の特徴
サーミ人には地域に適した居住スタイルで生活していることがわかりました。また、サーミ人の住居は上記写真のようなテントで暮らす遊牧民としても知られています。
では、サーミ人にはどんな特徴があるのでしょうか。また、サーミ人はどんな言語を話すのか、民族衣装はどんな物があるのかなど、サーミ人の特徴や民族性をもっと知ってみましょう。ここからは、サーミ人の特徴やサーミ人の文化などについてご紹介いたします。特徴1:言語
サーミ人が話す母語は、サーミ語を言語として使っています。しかし、サーミ人は、サーミ語だけでなくスウェーデン語・ロシア語・ノルウェー語・フィンランド語と何カ国かも話せる一面もあります。サーミ人は、母語だけでなく、他の国の言語まで話せるのため、バイリンガルな民族とも評されています。
サーミ人が母語以外を話せるのは、スウェーデン・ロシア・ノルウェー・フィンランドの支配下におかれていたためといわれています。特徴2:民族衣装
先住民族として民族衣装も特徴があります。サーミ人の民族衣装は、上記写真の『コルト』というビビッドな色を使った色彩と模様が特徴の民族衣装を着ています。コルトは、サーミ人の女性たちの手づくりでフェルト地で作られていて、かわいらしいだけでなく防寒性も高いのが特徴です。
また、コルトはサーミ人の地方によってデザインやフェルトの飾り付けが異なるため、帽子だけでどの地方に住んでいるのかがわかるといわれています。