DV加害者、被害者の心理|共依存の心理/別れられない/離れられない

人の心理

DVを続ける人、離れられない人の心理

DVをしてしまう加害者の多くの心理としては無意識に罪悪感を抱えているということが言えます。DVをしてしまった後、非常に後悔する人も多くいます。しかしながら、その罪悪感を認めることができず、自分は悪くない、DVに至るには仕方ない理由があると考えようとして、捻じ曲げるために更に暴力を振るうことで、強制的に自分を正当化しようとするのです。こうした心理のもとで暴力は続いていきます。

また、一方で被害者がDVを受けているのに加害者からなかなか離れられないといったこともしばしば見受けられます。DVを受けているのに加害者から離れられない心理とは一体どういうものなのでしょうか。

DVされていても離れられない、別れられない人の心理

DV加害者、被害者の心理|共依存の心理/別れられない/離れられない

一見DV加害者だけの問題のようにも見えるDV問題ですが、DV被害者の心理状態にも問題がある場合があります。DVの被害者には大きく分けて2つのパターンがあるとされています。

気付かない

長い間DVを受け続けていると、自分が受けている暴力がDVなのか気付けない人がいます。暴力を受けている期間が長すぎて、その状態に慣れてしまっていたり、自分が受けている暴力を、暴力ではなく愛情なのだとすり替えてしまう心理が働いているのです。罪悪感を持っているDV加害者は時に、その罪悪感を隠すためにパートナーにとても優しい言葉をかけたりします。それは本当の意味での優しさとは違いますが、長い間DVを受けてきた被害者は、稀に受ける優しさに過度に安心してしまいます。その安心感が、受け止められない自分が悪い、この人を助けられるのは自分しかいない、などといった心理状態を生み出し実際のDV問題を長引かせます。こういった場合、被害者本人に被害者だという認識がないために問題が表出してこないことも多くあります。

気付いているけれども生活を変えたくない

自分はDVを受けているという認識がある人でも、加害者から離れられない人たちもいます。幾度となく繰り返される暴力から抜け出したいと思っていても、身寄りがなかったり他に頼れる人もいないなどの状況にある人だと、その生活をなかなか変えることができません。DV加害者と離れることは経済的な危機を生み、自分自身の生命の危険にもなりえると思ってしまう心理があるからです。経済的に不安定になってしまっては生きていけないと考えると、分かっていても、離れられないという心理状態になることが多いのです。

共依存の心理

DV加害者、被害者の心理|共依存の心理/別れられない/離れられない

DV加害者、被害者の心理の問題を取り上げる上で必ず出てくるキーワードが「共依存」です。耳にされたことがある人もいるのではないでしょうか。共依存の心理とは一体どういうものなのでしょうか。

DV被害を受けている人の中で、自分がいないとこの人はダメだ、と思う人がいます。パートナーが暴力へ向かうのは全部自分が悪いからなのだ、と考える人もいるでしょう。ある人は、パートナーを救えるのは自分だけだ、この暴力を受け止めることこそが自分の役割なのだ、と思っているでしょう。こうした被害者の心理はさらに加害者のDV行為を増長させていきます。自分の認知を歪めて、暴力を受け止める自分は相手にとって必要な存在なのだという心理状態を作り上げることは、自分自身の存在価値を相手に委ね、依存している状態であり、お互いのそういった依存し合ってる関係を共依存関係と言います。

DVから逃げられない心理

DV加害者、被害者の心理|共依存の心理/別れられない/離れられない

こうした共依存の関係は不適切な関係を長引かせ、DVが酷くなり、命の危険に晒されることにもなりかねません。共依存に陥ってる人がDV加害者から離れることは、自分の価値を見失うという心理にもつながり喪失感や失望感を伴う行為でもあるので、とても苦しく、なかなかできないのです。そうした心理や、経済状況、頼れる人がいない現状などが、DVから逃げられない原因となっています。

DVする人別の心理

DV加害者、被害者の心理|共依存の心理/別れられない/離れられない

次にDVする人別の心理を見ていきましょう。

男性

DVをする男性の心理としては、気が弱く、被害妄想が激しい、束縛することで安心感を得ようとする、自分の正義感を信じ込んでいる、我慢ができない、支配することでプライドを保とうとする、といった心理がある人が多いです。自分から相手が離れていってしまうのではないかという心理が強く働いて、相手の行動を全て把握して束縛していったりします。人から悪く思われないよう外ではいい人を演じていると、ストレスが溜まり暴力へ発展するといったこともあります。

女性

女性から男性に対するDVは実は多いとされています。女性のするDVの心理としては、「愛されたい」という期待が大きく作用しています。もっと自分に気を使って欲しい、もっと愛してほしいという期待が強すぎると、それが満たされなかったときに、自分はこんなに尽くしているのに、自分だけが惨めになっていると考え、怒りとなって暴力へと変わっていくことが多いです。自尊心が低い人は特にこうした心理傾向が強くなります。

夫がするDVの心理としては、もっと自分はできるのに、という期待が満たされないと暴力へつながっていくことが多いです。例えば、昇進や、給料、妻との関係において期待が強ければ強いほど、思ったような結果が出なかったときに感情的になってしまう心理がDVの原因となります。自分が感情的になっていることにも気付かない、という人もいるでしょう。

妻がするDVは、身体的な暴力だけでなく精神的な暴力も多く、日常生活に関することで少しずつ相手を追い詰めるといったことも多いと言われています。家庭の収入が不安定であること、生活するのに収入が足りないなどの経済的な不満が暴力へと変わることが多いです。食事を与えなかったり、お小遣いを渡さない、などの行為が見られ、また、自分より弱いものを攻撃することで自分のプライドを保とうとする心理も働くことが多いです。

DVをしても優しくしてくる心理

DV加害者は、暴力を振るった後優しくなる傾向があります。「ごめんね、もう二度とこんなことをしないよ」と囁きます。時には涙を流して許しを請う人もいるでしょう。そんな姿を見ると、もう一度信じてみようかという気分になるかもしれません。しかしこれは本当の優しさではありません。DV加害者は自分の罪悪感と向き合うのがとても苦手なのです。だから本心で謝ることはできません。自分が下手に出ることによって、相手をコントロールしようとする心理が働いているのです。そして相手に、受け止められない被害者が悪いという罪悪感を与えて、さらに自分に従わせようとしていると考えられます。

DV加害者、被害者の心理について分かりましたか?

DV加害者、被害者の心理|共依存の心理/別れられない/離れられない

今回は、DV加害者、被害者の心理について詳しくご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

DVといっても、様々な種類がありました。一般的に知られている身体的な暴力から、精神的な暴力、社会的な隔離まで、多岐にわたっていました。DVの問題はDV加害者とDV被害者の間にある共依存の心理状態や、経済的な状況によっても引き起こされることが多いです。
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