ヤクザが絡む心理
「絡む」という行為は、普通の人だったら顔をしかめるような行為です。ヤクザが、「他人に絡む」という、人の嫌がる行為を積極的に行うのは、ヤクザ本人に言わせれば、「人が嫌がるからこそ行う」ということになります。しかし、それはあくまでも表面的な理由で、心理学的には「幼児性が強い人間の行為」と判断されます。
「絡む」行動が表す幼児性
「絡む」という行動に隠された動機は「甘え」です。しかも、幼児性の甘えです。幼児の行動を思い浮かべれば、納得できるでしょう。幼児は、面白くないことがあると、遊んでいた積み木を所構わず投げつけることがあります。
ヤクザが因縁をつけて絡んでくるのも、正当な理由で交渉できないが、それでも構って欲しい、自分に気づかせて、交渉の場に立たせたいという心理が底にあります。肉体年齢として成人していても、精神年齢は幼児なのです。幼児を説得するのは、時間がかかり難しいことですが、ヤクザをなだめるのが難しいのもここに通じています。他人に「絡む」心理
一般的には、「他人に絡む」人の心理は、「甘え」とされています。幼児期に必要なはずの愛情を、周囲から与えてもらうことができなかった人間は、その頃抑圧された思い、例えば「甘えたい」という感情が、大人になって形を変えて現れてしまいます。そして、他人に対して執着的になります。
自分のことを拒否している相手に対して、執拗にまとわりつく「ストーカー」になる人も、こうした心理状態だと推察されます。「他人に執拗に絡む」という行動は、心理学的にいう「承認欲求」が強すぎ、それが攻撃に転化されてしまった典型的パターンです。 こうした心理状態の人の「他人に絡む」という行為は、安心できたり、心の底から欲っしてやまない行為です。心理的に健康な人は、気になる人と友好関係を結ぼうと努力しますが、心の葛藤の強い人間は、素直に表現できず、代理行動で愛着を表してしまいます。「絡む」の敬語
「絡む」には、「物に巻きつく」「巻きついて離れなくなる」「他の物事が密接に結びつく」「理屈をこねたり、無理を言ったりして相手を困らせる」「言いがかりをつける」といった意味があります。動詞なので、敬語としての言い回しもありそうですが、「物に巻きつく」という意味で使う場合は、主語が人間ではないので、敬語にする必要がありません。
人間を主語にする場合は、「理屈をこねたりー」「言いがかりをつける」の意味で使う場合ですが、この意味で目上の人と会話することが考えにづらいため、尊敬語にする必要がありません。「絡む」が変化した敬語はないと考えて良いでしょう。丁寧に表現する必要がある場合は、別の言葉に言い換えて表現することになります。丁寧語
「絡む」という言葉を人間関係に使う場合、本来は良い意味はありません。「やくざ者に絡まれた」とか、「あいつは酒を呑むと絡んでくるから、一緒に飲みたくない」のように、悪い意味で使われます。そのため、「絡む」という言葉自体は、丁寧な表現にする必要もない言葉です。
丁寧語にしたい場合は、「(取引先の)○○さんとは、仕事上の絡みがある」という文章を本人に伝えるときでしょう。今では若者言葉として「関係がある・関連がある・つながりがある」といった意味で「絡む」という言葉が使われますが、従来の日本語の使い方とは異なります。