なぜ母親が育児放棄するの?
母親がなぜ育児放棄をするのでしょうか。その原因は、経済的な理由や子どもの病気、人間関係のトラブルなど、実にさまざまな理由があります。子どもを育児できない環境化になったり、育児ができるような心理状態ではなくなることで育児放棄に繋がっていきます。
単に「育児放棄をした=子どもがかわいそう」だけではないということを皆さんに知ってほしいです。しかし、何が原因であろうとも虐待の一種でもある育児放棄をしていいことには繋がりません。そのことを前提に母親の育児放棄についてまとめてみました。育児放棄とは?
育児放棄とは、別の呼び方で「ネグレクト」と言われています。厚生労働省は、児童虐待防止法において、身体的虐待・性的虐待・心理的虐待に加えネグレクトも「児童虐待」だと明確に定義しています。また、ネグレクトについて以下のとおりに規定されています。
※前2号とは、身体的虐待と性的虐待のことです。次号とは、心理的虐待のことです。具体的には、児童虐待防止法第2条において、「この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。」と規定され、 ウ. 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前2号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
育児放棄の種類
育児放棄は大きく分けて「積極的ネグレクト」と「消極的ネグレクト」に分類されます。積極的ネグレクトとは、育児ができない明確な理由(親の経済状況、障害、精神疾患など)がないのに育児放棄をすることをいいます。一方、消極的ネグレクトとは積極的ネグレクトとは反対に、育児ができない明確な理由があり、育児をしたくてもできずに育児放棄をしてしまうことをいいます。
また、育児放棄を細かく分けると下記のように5つの分類に分かれています。一般的ネグレクト
一般的ネグレクトとは、最も多くみられるネグレクトで、子どもの衣食住を完全に放棄することです。汚れているのにオムツ替えや着替えをしない、食事を与えない、お風呂に入れない、などが挙げられます。
教育的ネグレクト
教育的ネグレクトとは、子どもに義務教育をさせないことです。また、教育機関から登校させるように促されても無視して家に閉じこもってしまうケースもあります。
医療的ネグレクト
医療的ネグレクトとは、子どもが明らかに具合が悪そうでも病院に連れて行ったりせず、放置することです。適切な処置をすれば助かっていたのに、放置をしたことで子どもが死に至るケースもあります。
保健的ネグレクト
保健的ネグレクトとは、生後2ヶ月から始まる予防接種や自治体で行っている健診などに行かないことです。しかし、それらは強制されたものではないのでネグレクトの判断が非常に難しくなってます。
情緒的ネグレクト
情緒的ネグレクトとは、子どもの要求や言動に一切無関心で、子どもの意思を無視して親の都合を押し付けて子どもをコントロールしようとすることです。また、一般的ネグレクトとは違い、情緒的ネグレクトは周囲に気づかれにくく、親自身も自覚がないことが多いです。そのため、子どもは心に大きな傷を抱えたまま大人になるので、アダルトチルドレンになるケースもあります。
罪
育児放棄をすることで、保護責任者遺棄罪の罪に問われます。また、育児放棄による障害(殴る蹴るなどの傷に限らず、身体の生理的機能の障害や栄養失調など)をさせた場合や死亡させた場合は、保護責任者遺棄致死傷罪の罪に問われます。最初から育児放棄をすることで死んでもいいと思っていた場合は、不作為の殺人罪が成立する可能性もあります。
刑事事件に発展する前の段階で育児放棄が発見された場合は、児童虐待事例または要保護児童として児童相談所などに通告されることで福祉的支援が可能となります。