生活保護の上限貯金額・貯金を隠すとどうなる?調査される?
処罰といってもいろいろで、金額にもよります。少額であれば口頭での注意で済むでしょうが、大きな金額になるとその全てを没収されたり、今まで給付された生活保護費の返還を求められることもあるでしょう。貯金を正直に申告することは当たり前のルールなので、必ず守るようにしましょう。
生活保護の貯金で裁判になった判例は?
生活保護受給中の貯金で裁判になった事例を二つ紹介しましょう。高校進学のために学資保険で貯蓄した事例と、入院や看護の費用のために貯蓄した事例です。いずれも生活保護受給側が勝訴しています。
学資保険の満期返戻金は収入なのか貯蓄なのか?
福岡での裁判ですが最高裁まで上告されて確定した訴訟です。生活保護世帯が学資保険に加入し、月3,000円を保険金として積み立てて15年後に満期返戻金約44万円を受領した結果、行政の福祉事務所はそのほとんどを収入と認定し、月18万円の生活保護費を9万5千円までに減額しました。原告側の生活保護世帯が減額処分の取り消しと慰謝料を求めて訴訟を起こしたものです。
一審の福岡地裁は訴えを退けましたが、二審の福岡高裁は高校進学のために貯えることは生活保護法の趣旨を逸脱しないとして原告側の勝訴となりました。これを不服として福祉事務所側が最高裁に上告したのです。 最高裁の判決は二審の福岡高裁の判決を妥当として福祉事務所側の上告を棄却、原告側の生活保護世帯の勝訴となりました。判決が最高裁で確定したのは平成16年3月、訴訟を起こしてから15年の歳月を要しました。80万円の貯金は高額の預貯金か?
秋田県の老夫婦が、入院時の付き添いや看護費などの出費に備えて80万円ほどを貯蓄したのですが、その貯金の保有の是非が裁判で争われました。
判決は「預貯金の目的が、健康で文化的な最低限度の生活の保障、自立更生という生活保護費の支給の目的ないし趣旨に反するようなものでないと認められ、かつ、国民一般の感情からして保有させることに違和感を覚える程度の高額な預貯金でない限りは、これを、収入認定せず、被保護者に保有させることが相当」として、老夫婦の主張が認められています。 この判決での注目は、80万円という貯金が「国民一般の感情からして保有させることに違和感を覚える程度の高額な預貯金でない」という点です。80万円程度の貯金が許容されるより所となる判決でした。生活保護からの自立に向けて
生活保護の原資は税金です。生活保護を受給している人には病気で働けないなどいろいろな理由で収入が少なく、なかなか生活保護を廃止して自立するのは難しい人が多いのではないでしょうか。
生活保護からの脱却のために、生活保護自立支援プログラムなどといわれるものが用意されています。生活保護というと後ろめたい気持ちになることもあるでしょう。折にふれ、生活や環境、自分の能力などを見直して、生活保護からの脱却ができないかをケースワーカーの人などにも相談して検討、考えてみることも必要でしょう。明るい将来のための努力は必ず報われます。自立に向けての頑張りに多くの人が期待しています。