人体実験の歴史
過去には、今では考えられないような惨く残虐な人体実験が世界各国で当たり前のように行われていました。医療発展、新兵器開発、新薬開発などの名目でしたが、人種差別、戦争などの背景も影響し、到底、人間が人間に施す行為とは思えない残忍な方法で、倫理に反する人体実験が行われていました。
死刑囚
第二次世界大戦前のヨーロッパで「ブアメードの血」と呼ばれている、非道な人体実験が行われています。「人間は強いストレスがかかることにより死に至るか」ということを証明するために、死刑囚だったプアメードを使って実行されました。
「人間の全血液量は体重の10%であることを照明したい」と、実験への協力を促し、それに了承したプアメードをベッドに寝かせて目隠しをし、「身体から血液を抜き取っているような状況」を作り出しました。実際には、プアメード死刑囚から血液は一滴も流れてません。 切っていない手足に切ったような痛みを与え、その傷口から血がしたたり落ちる音や感覚を、水を体につたわせることで再現しました。そして数時間おきに、身体の血液残量を伝えられていました。それを5時間ほど続けていただけでしたが、プアメード死刑囚は「ついに10%切ったぞ」という医者からの報告をされた際には、すでに死亡していました。性
「グアテマラ人体実験」と呼ばれる、グアテマラ衛生局とアメリカ合衆国が行っていた、共同人体実験があります。アメリカの医師を中心に行われたこの実験は、抗生物質である「ペニシリンの性病に対しての効果の確認」を目的として行われたものでした。
この人体実験で、売春婦、囚人、孤児、精神障害者など1500人に対し、許可なく「梅毒」「淋病」という性病に感染させています。菌を勝手に接種された人、性病にかかった売春婦を紹介されて性行為を行い、感染させられた男性もいます。 皆、全く何も知らされていないまま、実験の被害者になってしまったため、被害者の家族にも二次感染してしまう例もあり、予想より被害が拡大しました。実験自体は1948年には終了していましたが、患者の観察はしばらく続けられていました。この人体実験により、83人が命を落としていることがわかっています。後にオバマ大統領が正式な場で謝罪しています。女性
アメリカでは、黒人奴隷の女性を実験台にした人体実験も行われていました。産婦人科医学の父と呼ばれる「ジェイムズ・マリオン・シムズ」は、治療法の発展や研究の目的として、非人道的な人体実験ばかりを行っていました。
17歳の奴隷少女を金で買い、3ヶ月の間に30回もの手術を施したと言われています。当時は麻酔などなかったため、手術中は誰かに抑えてもらう必要があり、友人などに手伝ってもらっていましたが、その残忍な手術に皆あきれ返り、次々と彼の元を去っていきました。 「膀胱膣瘻」という膣と尿管の間に孔が開く病を患った患者にも、5年間、何度も繰り返し手術を実施し、原因を追い求めたとも伝わっています。シムズは、産婦人科医療で偉大な功績を残してはいますが、多くの犠牲なくしてはたどり着けなかった結果だということを忘れてはなりません。戦争
戦争中にも世界各国で多くの人体実験が行われています。主な理由は、敵を攻撃するための「生物兵器」「化学兵器」などの開発、研究のためだったと言われています。実験では、捕虜たちに予防注射と告げ、さまざまな細菌やウイルスに感染させ、経過を観察します。
細菌やウイルスは、多少の知識があれば培養も可能で、何より低予算で膨大な被害を与えることができるため、開発や研究に力を入れていました。ノミによる感染症の研究のために、捕虜たちの血をノミに吸わせ、経過を観察していたという事例もあります。実際に、日本は中国にペスト菌を所有したノミをばら撒き、生物兵器として使用しています。