人体実験の歴史と日本で実施された人体実験|死刑囚/性/戦争

社会問題

ヨーゼフ・メンゲレ

メンゲレは、強制収容所の双子達には「おじさん」と呼ばれて親しまれていました。中でも双子の少女を気に入り、車に乗せてドライブしたりもしていました。しかし、そうやって目をかけて可愛がっていた双子に対しても、数日後には全身の血を抜き取るなど残虐な人体実験、外科手術をなんのためらいもなく行っていました。

戦争が終わる直前に、毒ガスを使って強制収容所で行った人体実験の証拠隠滅を測りましたが、毒ガスが足りず、殺し損ねた双子たち180人を開放しています。開放された双子たちのほぼ全員が、メンゲレの人体実験による後遺症や精神的ショックを抱えたまま、一生過ごすことになりました。

人体実験禁止の背景

人体実験の歴史と日本で実施された人体実験|死刑囚/性/戦争

1967年にフィンランドの首都「ヘルシンキ」で開かれた「世界医師会第18回総会」で、世界医師会によって、人体実験に対する倫理規範を定めた「ヘルシンキ宣言」が発表されました。正式名称は「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」と言い、ナチスドイツが行っていたような残忍な人体実験の反省から、医者の倫理を規定しています。

この宣言により、ナチスや731部隊が行ったような「非人道的な人体実験は行ってはならない」という考えが広まりました。医学の進歩には、ヒトを対象とする研究も必要ではありますが、個人のプライバシーや人権を尊重し、患者の命の危険を伴うような研究は控えるといったような、医療倫理の枠組みが作られました。

人体実験に関する本の紹介

人体実験に関する本「検証・人体実験―731部隊・ナチ医学」をご紹介します。

検証・人体実験―731部隊・ナチ医学

2大人体実験「731部隊」と「ナチス人体実験」の事実を検証して、実際にかかわった関係者の実名を出し、本質に迫った一冊です。どちらの人体実験も、最後は隠蔽されていますので、事実のすべてが明るみに出ているわけではありませんが、それでも真実を追求することは、同じ歴史を繰り返さないためにも重要なことだとこの本は教えてくれています。

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相究明を大切にする人々に敬意を表します。これこそ日中対話の基礎になる。アメリカのせいで問わされなかった罪に怒りいっぱいです。

人体実験に関する映画の紹介

人体実験に関する映画「es」をご紹介します。

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アメリカの大学で実際に行われた「看守役」と「囚人役」に分け、疑似監獄で生活をさせた実験を題材にしているドイツ映画です。元記者である主人公が、もう一度記者になるためのネタを探して実験に潜入します。主人公は次第に本来の目的を忘れ、自分の「役割」に支配されていきます。人間の心理描写がリアルに描かれている、完成度の高い作品です。

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30年程前にスタンフォード大学心理学部で実際に行われた実験をアイディアにしているそうだ。無作為に集められた人たちを看守役と囚人役に分け、肩書きや役割がどう人間に作用するかというもの。人間の恐ろしさをまざまざと見せつけられる。残念なのは主人公がメガネに仕込んだカメラが結局お話しと無関係なことや、無理やりなラブストーリーを絡めたこと。ラストシーンが妙に安っぽくなったもの。まあ、完成度が高いからこそ文句言いたくなるだけで、おすすめです。

多くの犠牲が現代医療に繋がっている

過去には非人道的な人体実験が当たり前のように行われていました。医師たちの倫理を無視した知的好奇心によって、さまざまなことを追求しすぎた結果、恐ろしい惨状を生み出し、おびただしい数の尊い命が奪われました。しかしその失われた命の先で、現代医療に繋がった研究結果もあり、実際に救われた命も存在します。

実績を残しているからと言って、彼らが行った行為が正当化されるわけではないですが、過去の多くの犠牲の上に、現在の医療、そして未来の医療があるということを決して忘れないよう、心に刻んでおく必要があるでしょう。
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