懲戒解雇の再就職への影響とは？
懲戒解雇（ちょうかいかいこ）は、民間企業で就業規則にもとづく懲戒（不正・不当な行為に対して、いましめとして制裁を加えること）のことをいいます。懲戒の中ではもっとも重い処分です。ちなみに、公務員の場合は懲戒免職と呼ばれます。
この記事では、懲戒解雇になってしまった場合、再就職するのにどのような影響があるのか、また、再就職へのポイントについて紹介します。再就職の道は険しい
まず初めに、懲戒解雇されたことを表明した上で就活をし再就職することは、難しいと言わざるを得ません。人事担当者が、書類選考や面接で「懲戒解雇された」ことを知ったなら、まずは選考から外すでしょう。一般的に、採用担当者が自分のリスクを取ってまで採用するかといえばNOといえます。
懲戒解雇にも、横領など犯罪行為から出社拒否、セクハラ、飲酒運転などいろいろな場合があるので、状況や能力によっては、悔いる気持ちと再出発のやる気をアピールするなら、中小企業や更生に理解のある人事担当者や経営者から、再出発のチャンスをもらえることもないとはいえません。 しかし、そのような幸運にめぐりあう確率は、非常に低いことを覚悟の上での就活が必要です。 また、もう一つの道があります。それは、「懲戒解雇」を表明しないで再就職をめざすことです。求人先の会社は懲戒解雇を知らないので、就活は通常のものと変わりありません。再就職活動中に懲戒解雇がバレルか？
上で述べたように、懲戒解雇を告げずに再就職をめざすことは可能です。法律で罰せられることはありません。しかし、リスクは当然あります。せっかく入社できても最悪、「経歴詐称で懲戒解雇になった」ということもあります。
それでも、生活をして生きていくには、仕事を見つけなければならない方が大半でしょう。やってしまったことの反省とやり直しの強い気持ちを持った上でも、いつまでも再就職がかなわない状態は仕方のないことでしょうか。 もし懲戒解雇を告げずに就活をすると決めた場合、一番に問題となるのは、会社にバレてしまうかどうかです。次からは、各場面でバレるかどうかを説明いたします。ハローワーク
会社からもらう離職票には、「重責解雇」と印字されています。この離職票をハローワークに持っていき、失業給付を受け取る準備に入ったとき、ハローワークにあなたが「懲戒解雇」になった事実を知られてしまいます。
ここで、ハローワーク経由で紹介を受けた会社にバレるのではないかと不安になることもあるでしょう。 しかし、安心してください。この件については、ハローワークでは懲戒解雇になったことを、志望先の会社に教えることはありません。また、再就職の志望先に離職票を提出する必要もありません。離職票の提出は不要です
もし、入社後に離職票提出を求められた場合、雇用保険加入手続きのための「雇用保険被保険者番号」の確認が目的ですので、雇用保険被保険者証で良いか、または、紛失したなどの理由をつけて、控えた被保険者番号を知らせるだけで良いか確認してみることです。
雇用保険被保険者証は、被保険者番号と氏名と生年月日しか記載がないので、バレることはありません。履歴書
履歴書には、「必ず賞罰を記載する必要がある」との意見をネットで見たり、聞くことがあります。
しかし、個人情報保護の観点から最高裁判所判決がでていらい、JIS規格の履歴書などでは賞罰欄がなくなりました。したがって、賞罰欄がない履歴書を使用することで、懲戒解雇を告げることなく経歴詐称にならないよう作成できます。市販の履歴書であれば、そのような欄がないものもあると思います。 また、賞罰という「罰」は通常、刑事罰をさすので、懲戒解雇はふくまれないと思います。 それよりも、就職活動の際の面接で、前の会社を辞めた理由を聞かれた際、懲戒解雇なのに、嘘の理由を言ってしまうと、そのことが後に新しい会社での処分理由となる場合があります。
弁護士ドットコム―懲戒処分の履歴書への記載義務についてより 出典: https://www.bengo4.com/c_5/c_1625/c_1671/b_323303/ |
前職調査
以前は、採用担当が履歴書や面接で気になることがあると、前の会社に電話などで求職者のひととなりや勤務態度を尋ねることがありました。しかし、現在は本人の同意がなければ個人情報保護の観点から禁止されています。
ただし、コンプライアンスのしっかりした大企業では守ることが多いでしょうし、前の会社も他社に個人情報をみだりに告げないでしょうが、中小零細企業では、面接態度などで疑わしく感じた経営者などが、前の会社に確認することもなきにしもあらずです。