肝性脳症とは?
肝臓の障害によって引き起こされる意識障害のことを「肝性脳症」といいます。肝性脳症は急性・慢性の肝不全により肝細胞の中でアミノ酸の代謝が円滑におこなわれないと生ずる徴候です。肝性脳症の重症度はⅠ期からⅤ期まで分類されます。次に重症度の説明をしていきます。
肝性脳症の重症度分類について
では、さっそく肝性脳症の重症度について説明していきます。
昏睡度 | 症状 | 備考 |
---|---|---|
Ⅰ | 睡眠と覚醒のリズムが逆転します。そのため多幸気分や抑うつ状態になったりします。そのほかにもだらしなくなったり気にとめない態度になったりもします。 | 肝性脳症が進行した後でしか判定ができない場合が多いです。 |
Ⅱ | 見当識障害や物を取り違えることがあります。また、異常行動や傾眠状態が見られたり無礼な言動があったりもしますが医師の指示には従うことが多いです。 | 興奮状態や尿・便失禁はありませんが羽ばたき振戦があります。 |
Ⅲ | 興奮状態やせん妄状態を伴い反抗的な態度をみせたりします。嗜眠状態で外的刺激で開眼したりもしますが医師の指示には従わなくなります(従えないこともあります)。 | 羽ばたき振戦があり見当識は高度に障害されています。 |
Ⅳ | 昏睡状態で痛みの刺激には反応します。 | 刺激に対しては払いのける動作や顔をしかめるなどみられます。 |
Ⅴ | 深昏睡で痛みの刺激にも全く反応しません。 |
肝性脳症の症状とは?
先ほど表で説明した以外に脳波で三相波がみられたりもします。また、肝性脳症は急性と慢性に分けることができどちらもシャントによる毒性物質除去の低下や血中アンモニア濃度の上昇、神経伝達物質類似物質の蓄積、血中芳香族アミノ酸濃度の上昇などがみられます。
肝臓は尿素サイクルによって毒性物質背あるアンモニアなどを代謝しています。そのため、この能力が低下した状態が肝性脳症であるといえます。肝性脳症の看護で気をつけることとは?
肝性脳症について理解できてきたところで次に、肝性脳症の患者さんの看護できをつけることについてお話ししていきます。
性格の変化はするの?
肝性脳症では、症状が悪化すると異常行動がみられたりします。そのため家族や看護師などの職員に暴言を吐いたりすることもあります。そのため看護師は家族にそのことを説明し理解してもらいましょう。
暴言などの異常行動がある患者さんには看護師1人だけでは気が滅入ってしまったりするので複数の職員で患者さんに接するようにしましょう。他の患者さんにも暴言を吐いたりすることもあるためトラブルにならないように気をつけましょう。注意することとは?
肝臓の機能の低下を防ぐために臥床安静を維持しましょう。そうすることにより肝臓への血流を保つことができます。安静にしておくことを患者さんに理解してもらうためにも看護師がきちんと説明しましょう。
患者さんが興奮状態にあるときは危険な行動がみられます。ベッドからの転落がないように環境整備が必要です。また、出血しやすくなっているため傷や打撲に注意しましょう。肝性脳症の看護経過とは?
肝性脳症の看護経過としては最初、肝不全などの肝臓の病気を発症します。次に神経障害で見当識障害や意識障害、異常行動などが出現します。そのような症状がみられると「肝性脳症」と診断がつきます。
肝性脳症は最初のうちは神経障害のみですが重症化すると昏睡状態に陥るため看護師の看護が非常に大切になってきます。ではその肝性脳症を予防するためにはどんな看護を提供すれば良いのでしょうか。次はそのことについてお話ししていきます。