嚥下障害の看護・研究・問題・脳梗塞|介助/食事/TP

仕事ノウハウ

OP

誤嚥は、唾液や食べ物が気管に入ってしまう現象で、窒息や誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。不顕性誤嚥の可能性もあるので、呼吸状態、発熱、喀痰の変化などに注意して観察します。

・バイタルサイン ・呼吸状態 ・痰の変化 ・発熱 ・栄養の状態 ・誤嚥防止

CP

誤嚥は、窒息や誤嚥性肺炎の危険性があるため、防止に努める看護を行います。

・誤嚥や誤嚥性肺炎の予防をします。 ・水分にトロミをつけたり、栄養管理をしっかり行います ・感染防止のために口の中の清潔保持に注意しながら看護を行います。 ・呼吸状態や発熱はないか、また、痰の色や量に変化がないか注意して看護を行います ・誤嚥しないための体位の工夫を行います。 ・嚥下体操やアイスマッサージの嚥下訓練の実施を行います。

EP

患者が訓練を継続することができるよう、理解を深めご家族の協力・支援が得られるようご家族に説明する必要があります。

・感染防止のためには口の中の清潔保持、唾液の量や栄養状態に注意が必要なことをご家族に説明します。 ・誤嚥防止のためには、体位を工夫する必要がありることをご家族に説明と指導をします。

嚥下障害における脳梗塞と嚥下障害の関係

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脳梗塞とは、閉塞性脳血管障害の1つです。何かの原因で脳の血管が狭くなったり詰まったりして、脳組織が酸欠状態や栄養不足に陥る状態になります。その状態がある程度の時間が経つと、脳組織が壊死してしまいます。脳梗塞になると血管が詰まった部位により症状は違いますが、後遺症が残ります。嚥下障害もその後遺症の1つです。

脳梗塞の後遺症による嚥下障害

脳梗塞の嚥下障害は、大脳基底核に異常が起こり飲み込むという伝達進行が上手く伝わらないため、舌やのどの筋肉が動かず食べ物を飲み込めない、むせ込むなどが原因で起こります。脳梗塞の血管障害の部位によっても嚥下障害の程度が異なります。脳梗塞の後遺症が原因の嚥下障害は、ほぼ1ヵ月程度で改善しますが、改善されないこともあります。

嚥下障害のために食事をすると誤嚥性肺炎の可能性が高いと診断された場合は、口からの摂取ではなく鼻や血管から栄養を入れる方法をとり、リハビリを行います。嚥下リハビリは、頸部や肩の運動、喉のアイスマッサージ、口腔器官の運動などが行われます。 リハビリ期間は、約6週間程度で、効果が出てきたら再検査をし食事を開始します。最初は嚥下食からスタートし、段階を踏んで通常の食事にしていきます。

嚥下障害の看護指導

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嚥下障害の患者とご家族に対して嚥下の看護指導を行う場合、まずは、摂食・嚥下のメカニズムと流れを理解してもらうための説明を行います。摂食・嚥下のメカニズムを知ることは、ご家族が嚥下障害の患者を看護する時に非常に役立ち、また、スムーズな看護が行えるからです。その上で、嚥下障害の患者やご家族に訓練や食事形態・調理などの看護指導を行います。

嚥下障害の患者が訓練を継続することができるように嚥下障害の看護の理解を深め、ご家族の協力・支援が必要不可欠なことをご家族に看護の説明をします。また、症状の悪化につながる誤嚥や窒息、低栄養、脱水なども防ぐための方法も看護指導します。

摂食・嚥下のメカニズム

嚥下障害の看護をする上で、摂食・嚥下のメカニズムや摂食・嚥下の流れを理解することは非常に重要になってきます。表にまとめましたので参考にして下さい。

分類 機能 メカニズム
先行期 食物の認知、高次脳機能 ・食べようとする食物を認知、予測することから、摂食・嚥下が始まる。 ・食べる物、食べる量食べる方法は医師を決め行動する段階
準備期 随意運動、捕食、加工処理、咀嚼、食塊形成 ・口、歯で食物を取り込み咀嚼し、食塊を飲み込める状態に形成する段階 ・咀嚼を行い食塊を形成するためには、歯牙、舌、頬,下顎の運動が必要である。 ・口蓋閉鎖ができないと、食べ物をこぼす
口腔期 随意運動、舌による咽頭への送り込み ・口腔から咽頭へ舌を使って食塊を送る時期で不随意運動へ移行する段階 ・この時、軟口蓋は上へ上がるのと同時に後方へ膨らんで、口腔と鼻腔を遮断する準備をする。
咽頭期 嚥下反射、咽頭通過、鼻咽喉、咽頭の閉鎖、呼吸の停止 ・食塊が口から咽頭粘膜にあるトリガーポイントに接触することで、反射運動が起こり、食塊が下咽頭から食道入口部を経て食堂へ送られる段階 ・咽頭の収縮は下咽頭まで進み、中咽頭は、咽頭壁、舌根および軟口蓋の密着により閉じている ・咽頭蓋が気管の入口をふさぎ、声門も閉じる。嚥下時には呼吸は停止している。 ・咽頭が上前方へ移動することで、咽頭の後方にある食道入口部(咽頭と食道の接合部)が、輪状咽頭筋の弛緩により開き、そこへ食塊が送り込まれる。
食道期 蠕動運動、食道通過 ・蠕動運動によって食塊が食道から胃へ送られる段階 ・各器官はもとの位置に戻る。咽頭と咽頭の交通が再開通し、呼吸も再開する(嚥下が終了)

摂食・嚥下の流れ

摂食・嚥下運動は、下の5つの期を経て起こります。

①先行期:目で見て食べ物を認識し、唾液の分泌を促します。 ②準備期:食べ物を口に入れて良く噛んで食塊にします。 ③口腔期(嚥下の第1期):食塊を舌の動きにより、口の奥に移動させます。その時、鼻腔と咽頭が遮断されます。 ④咽頭期(嚥下の第2期):嚥下により食塊が咽頭から食道へ送り込まれます。その際、咽頭蓋が気管の入り口をふさぎます。 ⑤食道期(嚥下の第3期):食道に入った食塊が胃に送り込まれます。食べ物の逆流を防ぐため、上部食道括約筋が収縮し食道を閉鎖します。

嚥下障害の看護計画

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嚥下障害の看護目標は、随伴症状や摂食・嚥下障害の程度が改善するように看護します。摂食・嚥下訓練の項目がレベルアップするように看護します。口からの食事摂取量・水分量を増やせるようにします。以上の3点に絞りました。

嚥下障害の観察項目は、摂食・嚥下障害の原因の有無または、その程度、治療内容、嚥下訓練の状況、誤嚥はないか観察しながら看護を行います。

TP

嚥下障害は、嚥下筋が衰え、嚥下のタイミングが悪いと誤嚥しやすくなります。誤嚥は窒息や肺炎のリスクを高めるため、防止に努めます。頸部伸展位は喉頭挙上が制限され誤嚥の危機があるため、嚥下障害に応じて姿勢を調整し嚥下しやすくしまう。他にも以下のようなケア計画を行います。

嚥下障害による、誤嚥と誤嚥性肺炎の予防 ・食事時の姿勢は、頸部を軽く前屈のような状態で介助します。 ・食後はファーラー位を保ちます。 ・一口の量と食事の量を一定に保ちます。 ・水分にトロミを使用し誤嚥を防止します。 ・舌、顔面麻痺がある場合には、健側に食べ物を入れます。 ・必要に応じて吸引を行います。 ・脳血管障害の場合は、上肢の関節可動域訓練やADL拡大訓練も同時に継続します。 ・嚥下訓練の実施は、アイスマッサージや嚥下体操などを行います。 ・患者や家族に嚥下訓練や合併症について説明し、心配や不安があれば励まし、支援します。

嚥下障害は回復の希望が持てる

摂食・嚥下障害は回復するのでしょうか。嚥下障害は突然発症するわけではなく、何かの病気の後遺症により発症することが多く、例えば、脳梗塞などです。脳梗塞も治療を早期に開始することで、後遺症をより軽度にとどめることが可能になってきました。

また、リハビリを早期に行うことで嚥下障害の回復も望めるようになりました。発症した部位にもよりますが、治療の開始が早ければ早いほど、治る可能性も出て来ますので倒れた場合は、すぐに救急車を呼び、吐いたもので窒息しないように注意して安静を保ち一刻も早く病院に行きましょう。

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