契約社員で満期就労したとしても失業保険は適用されるのか
では、契約社員で満期就労した場合、失業保険は適用されるのでしょうか。
失業保険とは
失業保険とは雇用保険の失業給付といい、会社に勤めていた人が万が一失業した場合のライフラインとして、再就職するまでの生活費を国が支給するという制度です。 正社員ではなく契約社員だから失業保険はもらえないのではないか、と思っている人も多くいます。
失業保険がもらえる最低限の条件は以下です。 ・雇用保険に加入していること ・雇用保険に加入し、被保険者である期間が通算12か月以上であること
失業保険を受給する流れ
失業したときに頼りになるのが、失業保険です。失業保険の申請はハローワークで行います。ハローワークを訪れたからといって、その日のうちに失業保険の支給が開始されるというわけではありません。以下の流れに沿って失業保険の手続きが行われます。
在職時に実施 1.雇用保険の加入状況を確認する 2.離職証明書の内容を確認する
離職後に実施 3.ハローワークで申請手続きをする 4.雇用保険受給者初回説明会に参加する 5.失業認定日にハローワークに行く
待機期間について
ハローワークで求職の申し込みを行ってからの通算7日間が「待機期間」と言われています。退職してから失業保険の受給が開始されるまでにかかる期間のことです。その期間は失業保険を受け取ることはできません。失業保険をもらえるまでには、以下のような待ち時間の給付制限と、失業の確認をする待機期間というものがあります。
・会社都合の場合:給付制限3ヶ月+待機期間7日 ・自己都合の場合:給付制限なし+待機期間7日
失業保険の適用について
契約社員が会社を退職する場合、契約や期間満了における退職と個人の都合による退職との2パターンがあります。この2つのパターンでは、失業保険の給付制限について違いがあるので紹介します。
会社都合で退職した場合
契約社員の契約満了で会社側から更新なしの申し出があった場合は、会社都合での退職扱いになります。その場合の給付制限期間はつかないことになります。5年ルールが適用されていても変わりはありません。
自己都合で退職した場合
契約期間満了でも会社から更新なしの申し出があるのではなく、契約社員が自ら契約期間満了時に退職をするという場合あります。その場合は、以下の条件を満たしていれば、「自己都合」の扱いにはなりますが、給付制限期間はつきません。5年ルールが適用されていても同様です。
・1度でも契約更新をしたことがある ・今の会社に3年未満しか勤務していない
また、契約期間が残っているにもかかわらず、契約社員の都合で会社を退職した場合は「自己都合」での退職ですから給付制限期間はつきます。5年以上働いた契約社員はどうなるのか
では、5年務めた契約社員はどうなるのでしょうか。
正社員登用
5年ルールの適用により、2013年4月以降に契約社員を雇用した企業はその契約社員の契約をどうするかの判断をしなければならない時期になっています。その企業にとって重要なポジションの仕事に5年従事している契約社員を正社員登用を検討する可能性もあります。
しかし、正社員登用制度があったとしても正社員として雇用できるのであれば契約社員を雇う必要はありません。そういった意味でも、5年後の契約社員からの正社員登用はほんの一握りの可能性でしかないでしょう。就業規則などでの取り扱い
では、5年ルールに沿って無期雇用に転換した契約社員は就業規則などではどのように取り扱うのでしょうか。企業側は次の3つの対応が必要とされています。
1.無期雇用に転換社員に適用される就業規則を明確にする →契約社員から無期雇用になった従業員にどの就業規則を適用するかを明確にする
2.就業規則の転勤条項の確認が必要 →無期雇用になった後は正社員と同様に転勤に応じてもらいたいという場合、その社員に適用される就業規則に「転勤には応じなければならない」という条項を追加する
3.就業規則の定年に関する規定の整備が必要 →無期雇用になった社員の定年を、その社員に適用される就業規則に明記する
有期雇用と無期雇用
5年ルールが2013年4月から全面施行されていますから、2018年4月以降からは有期雇用と無期雇用の契約社員が混在するようになります。無期雇用になったからといっても、正社員に登用されない限りは、非正規雇用であることには変わりません。あくまでも、有期雇用から無期雇用という、期間の垣根がなくなるだけです。
5年の勤務ののちに有期雇用か無期雇用になるかは、自分の今後の働き方やキャリアプランをじっくり考えてから判断するようにしましょう。公務員の契約社員も5年ルールが適用されるのか
公務員には契約社員というものはありません。公務員における契約社員の働き方は、「臨時職員(臨時的任用職員)」のことで、緊急避難的に置くことができる職員のことです。
では公務員の臨時職員に5年ルールは適用されるのでしょうか。 公務員の臨時職員は契約期間が6か月と決まっています。更新は1回のみで、長くても1年の雇用しか認められていません。そういった意味で、公務員の臨時職員には労働契約法の5年ルールは適用されません。契約社員という働き方
「5年ルール」は契約社員として働く人にとってはメリットもデメリットも存在します。有期雇用での働き方と無期雇用の契約社員としての働き方、または正社員登用をしてくれる企業も出てくるはずです。
どんな働き方が自分の望んでいる働き方なのかをよく考え、5年という契約期間満了時にしっかりと判断する必要があります。その際は、今回まとめた5年ルールや契約社員の失業保険についての情報を参考にしてもらえれば幸いです。