今や三組に一組は離婚する?離婚数の現実は?
昨今、日本では夫婦の三組に一組は離婚すると言われています。
ところがこれは計算のトリックがあり、実際のところは婚姻数の減少により母集団が減っているため、その中の離婚率が見かけ上、およそ三分の一になっていると言われているだけです。我々の周囲を見回しても、三組に一組も離婚していないし、現実はもっと少ないのが現状です。 しかしそうは言っても、一昔前に比べれば確実に離婚する人は増えています。 その中で、時々出てくる言葉に「有責配偶者」というものがあります。字面から何となく雰囲気はわかるけれど、正確な意味を知っている人は少ないでしょう。有責配偶者になるかどうかで、離婚を考える際に制限などがあります。 自分が離婚するとき、また自分の周囲の人が離婚するときになって慌てることがないよう、しっかりと理解しておきましょう。有責配偶者って何?
「有責配偶者」とは、簡単に言うと「離婚原因をつくった配偶者」を指します。
その離婚原因とみなされるのは、不倫などの不貞行為や暴力、悪意の遺棄(同居し、家庭生活に協力・扶助しない)などです。 有責配偶者はそれらの原因をつくった者であるため、原則として有責配偶者からの一方的な離婚請求は認められていません。有責配偶者が離婚する方法は?
日本の離婚裁判においては、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められていません。
自ら離婚原因をつくっておきながら一方的に離婚を要求するというのは、相手の配偶者にとっては心理的にも物理的にも大きな負担と衝撃が予想され、あまりにも過酷であると考えられるからです。 しかし一定の条件下においては、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められるケースがあります。 つまり、前述の離婚原因によって既に破綻している婚姻関係を続けていくよりも、互いに新しい未来に向かって歩き出すほうが合理的であると考えられた場合に、有責配偶者からの離婚請求でも認められることになります。 その「完全な婚姻関係の破綻」と「新しい未来に向かって前向きに歩き出せること」など、条件の根拠となる状況がそろっていないと、有責配偶者からの離婚請求は認められません。有責責任者の離婚請求が認められる条件は?
有責責任者の離婚請求が認められる条件を紹介します。
別居期間が長期間である
別居期間が長期におよんでいる場合、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があります。
「長期間」というには一律に決められておらず、夫婦の同居期間・年齢などを考慮して決められ、最近では最短で5年という判例もありますが、概ね7~8年間が一般的です。 ただし、別居期間中に有責配偶者から婚姻費用が支払われていることが加味されることがあります。未成熟の子供がいない
親の資金的な援助がなければ自立できない子どもがいる場合は、有責配偶者からの離婚請求は認められるのは難しいでしょう。
未成熟と未成年とは違い、高校生の子どもがいても認められる場合があり、事案に応じて判断されます。また未成年の子どもがいる場合は、養育費支払い能力なども加味されます。相手の配偶者が過酷な状況に陥らない
相手の配偶者が、離婚後に経済的・精神的に過酷な状況にならないことも判断材料になります。離婚によって相手の配偶者が路頭に迷ったり、精神的に追い詰められることが予測される場合は認められません。
相手の配偶者に十分な収入がある場合、有責配偶者が慰謝料や養育費を払えるだけの基盤がある場合、相手の配偶者に後ろ盾となる家族や知人がいる場合などは、有責配偶者からの離婚請求が認められることがあります。