日本でいとこ同士は結婚できる?いとこ同士の結婚に関する法律など

結婚

なぜ各国で取り扱いがちがうのか

いとこ同士の結婚について説明するにあたり、比較のため外国の場合を取り上げたわけですが、国によってどこまで禁止するかの範囲が異なるということは、それだけ決定的な科学的理由がない、ということでもあります。つまり、科学的な理由により禁止される面よりも、国や地域の倫理的な面による禁止のほうが、ウェイトが大きいと言えるのです。

いとこ同士の結婚と子供の問題

いとこ同士をはじめ、血縁の近い男女の結婚では、なんらかの問題をもった子供が生まれるのではないか、という話がされることがあります。これは、共通の祖先由来の遺伝子に問題があった場合、流産や何らかの病気があらわれやすくなるのではないか、ということです。

いとこ同士の結婚だから常に問題となるわけではない

いとこ同士を含め血縁の近いものの結婚を「近親婚」といいます。血縁の近いものといってもさかのぼって調べるには限界がありますから、一般的には祖父母に共通のものが一人でも存在するかどうかが、基準となります。

いとこ同士の結婚についてなんらかの不安を抱えているのであれば、まず、上記の日本家族計画協会のホームページを読んでみましょう。 すでに触れたとおり、1983年の時点で63組に1組がいとこ同士の結婚だったわけですから、誰がみてもあきらかにわかるほどの問題があれば、いとこ同士の結婚は、その時点ですでに禁止されていなくてはなりません。 また、外国での取り扱いについても、すでに紹介したとおりです。子供に関することはたしかに不安でしょうが、結婚を決意した時点で、遺伝相談や遺伝外来を利用し、専門家の知恵をかりてみてはどうでしょうか。

遺伝相談とは?

遺伝相談とは、いとこ同士で結婚しようとしている場合や、おじ・めいなどの血縁の近いものに先天異常がいる場合など、結婚や子供について不安をもつひとを対象に、遺伝学の専門家が相談に応じるものです。

先天異常のおこりうる可能性について説明をうけることができ、必要に応じて医療機関の紹介も行います。いとこ同士の結婚が抱えるリスクについて、判断は結婚を希望するふたりに委ねられることになりますが、どのような判断をするにせよ、まずはきちんと専門家に相談することが肝要です。

専門家から正しい知識を!

インターネットで、おもしろおかしくいとこ同士の結婚について書いたものや、「気色悪い」といった個人的な嫌悪感だけで感想を書いたものをみかけることがあります。最も歴史的にみて極端な例を持ち出してみたり、正確さより面白さを重視するものがおおいため、読んでいて過剰に不安になることもしばしばです。

むろん、専門家が書き、監修するものもありますが、そういうものほど簡単に断定してよい部分とそうでない部分があることを知っていますから、地味だったりします。 いとこ同士の結婚にかぎらず、不安があれば、正しい情報を得ることが、不安をとりのぞき、幸福になる第一歩です。結婚を考えている相手と話し合い、専門家のいる遺伝相談をうけてみましょう。

いとこ同士の結婚と不妊

いとこ同士の結婚において、子供ができない可能性はどのくらいあるのでしょうか。1975年の調査であり、資料的には古いのですが、鹿児島県で実地調査されたものがあります。この論文は、「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録されており、全文を読むことができます。結論から言えば、有意な差を認められない、としています。

むろん、特定の地域で調査されたもので、母集団が小さい点は問題ですし、完全ではないかもしれません。正確な情報は、専門家に相談されて得られることがのぞましいのですが、すくなくとも、いとこ同士の結婚というだけで不妊と決めつけるのは、誤りであるといえます。

この鹿児島県での調査のほか、埼玉県や福岡県でも過去に調査が行われており、そのうちの一部についてはこの記事を書くにあたり入手できましたが、母集団が小さいためか、地域差なのか、どれも数値のばらつきが大きいのが難点です。

そのなかでもインターネット経由で手に入るものを紹介しましたが、より確実な情報は、専門家に尋ねるようにしてください。その際、こういうものを読んだと、上記の論文を示してもよいでしょう。

いとこ同士で結婚を決断したら

日本でいとこ同士は結婚できる?いとこ同士の結婚に関する法律など

いとこ同士の結婚は、法律で認められたものであり、また、過去においてそれなりの数がみられるものであったことは、説明しました。しかし、法律で認められていたとしても、遺伝に関する問題について説明をうけたとしても、感情的にうけつけられず、拒絶するひともいるでしょう。

いとこ同士で結婚するからといって、なにか特別な手続きがあるわけではありません。おそらくたいていの場合、親に相談するところからはじまるでしょう。そこで親が納得してくれればよいのですが、反対することもあるかもしれません。いとこ同士で結婚する場合、他人と結婚する場合より問題となるのは、遺伝の問題や子供に関する問題でしょう。説得するてがかりを得るためにも、専門家に相談し、リスクをしっかり学ぶことです。

結婚はふたりの問題だという認識をもつ

さきほどの資料で、時代がふるいほど、いとこ同士の結婚の比率が高かったことに驚かれたひともいるかと思います。いとこ同士の結婚を含めた近親婚をむしろさせたいひとも居たことは、知っておいてよいでしょう。

他人を夫や妻に迎えることは、結果として財産が分割される原因となります。また、国王や皇帝といった権力を有しているひとたちの場合、それなりに信頼がおける相手でなければ、権力争いにより、国家が滅亡してしまうかもしれません。 日本の皇室や外国の王室でも、いとこ同士の結婚をふくめた近親婚は行われていました。結婚する相手の家柄や家格といったものが重視され、おのずと結婚相手の選択の幅がせまかったことによるものです。 しかし、現代において結婚はふたりの問題となり、法律はそれを認めています。人生をともに歩む相手として誰がふさわしいか、自分で考え、選ばなければなりません。結婚したい相手がいとこであることが問題なのではありません。自分でリスクの可能性をきちんと把握しておくことが重要なのです。

親や親戚に反対されたら

いとこ同士の結婚をふたりで決めて、親にあらためてうちあけてみたとき、親がどのような反応をするか、わからない場合も多いでしょう。

すでにふたりが交際していることを知り、許してくれているのであれば話も早いのでしょうが、いとこ同士の交際を知られて反対され、言い出せないまま隠しているケースも、あるかもしれません。 では、親を説得するには、どうしたらよいのでしょうか。 むろん、成人していれば親の許可は不要ですから、黙って婚姻届を出してしまうことも考えられます。しかし、いとこ同士の結婚の場合、自分の親の兄弟姉妹が、相手の親であることもよく考えて話をすすめていかねばなりません。親戚も、ほとんどが顔見知りのはずです。強行突破すると、周囲のすべてを敵に回すこともありうるでしょう。 ここで考えをかえて、逆に、ほとんどが顔見知りである点を、交渉や説得に利用するべきです。いとこ同士ということは、親同士は兄弟姉妹ですし、幼いころから顔をあわせていて、互いの人柄もよくわかっているはずです。なにが反対の原因なのか、通常の結婚よりもはるかに聞き出しやすい状況ともいえます。

反対される原因にどう対応するか

いとこ同士の結婚といっても、反対する原因はいろいろ考えられるでしょう。まず、特有の原因である、血縁から近いことからくる不安は、簡単に考えたり、インターネットのあやふやな情報にたよらず、専門家に相談しておきましょう。きちんとした根拠を示して話ができることが、相手の信頼を得る第一歩だからです。

もっと一般的な理由で反対することもあるかもしれません。この記事は従妹同士の結婚がテーマですのであまり詳しくは書けませんが、親は子供の将来にさまざまな不安を抱いています。相手の男性に収入面で不安があったり、障害がある場合もあるでしょう。再婚ですでに子供がいるかもしれません。

いとこ同士の結婚で収入面の不安がある

親は自らの老後、あなたがたよるべき相手の収入が不安定であることをいやがります。苦労をさせたくないのは当然の心情であり、それを否定するのはよくありません。

大事なのは、彼の努力する姿をみせることで、そのために結果が出るまで待つ姿勢も必要です。ひとが支え合うということは、どちらかに依存するということではありません。それは、一般の結婚でもいとこ同士であってもおなじことです。

障害がある

障害の程度にもよりますが、本人の収入の問題だけでなく、介助が必要となるのではないかといった不安を親はいだきます。親も他人事ではいられません。

総がかりで二人を支援する覚悟をきめないといけないのです。反対されたからといって反発するのは、よくありません。反対するくらい真剣に向き合ってくれていることに感謝しましょう。
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