イスラム教の日常生活
イスラム教は、私たちにとって馴染みが薄い宗教です。しかし、イスラム教徒はキリスト教徒に次いで世界で2番目に人口が多く、推定で16億人、イラク、バングラディッシュ、パキスタンなど中東から中央アジアを中心に、イスラム教を国教としている国も少なくありません。
そんなイスラム教は、「厳しい宗教」というイメージを持っている人も多いはずです。では、実際はどうなのでしょうか。イスラム教の日常生活を見てみましょう。コーランに従って生活
イスラム教にはアラビア語で書かれた 「 コーラン 」と呼ばれる聖典があります。神の啓示を集めたものとされるコーランには、神への絶対的な服従を説く宗教的な教えのほか、服装、飲食など個人の生活、商売上の契約、国家の政治や経済、法律、戦争処理の方法までが厳格に規定されています。
イスラム教の信者は、すべてコーランの教えにしたがって生活しています。また、コーランを学ぶことは、イスラム教徒の義務になっています。よく知られているイスラム教のルール
聖典であるコーランには、日常生活における厳格な決まりが書かれています。私たちが具体的な内容に触れる機会はあまりありませんが、女性が肌の露出を禁止されていて、女性はみんなスカーフのようなもので顔を覆っているイメージを持っているのではないでしょうか。
確かに、そんな女性の姿もイスラム教の特徴のひとつですが、ほかにもあります。ここでは、イスラム教の中でも、もっとも基本的なルールを紹介していくことにします。礼拝と断食が義務付けられている
イスラム教の国に行くと、建物の天井などに矢印が描かれていることがあります。それらはサウジアラビアの都市メッカの方角を指しています。メッカはイスラム教の聖地で、イスラム教徒は、男性も女性も1日に5回メッカに向かって礼拝することが義務付けられているからです。
イスラム暦にしたがい、年に1度、1か月の断食を行うこともイスラム教の教えです。決められた月の日の出から日没までは飲食を断つという厳しいルールです。ブタ由来の製品が使用できない
イスラム教では、豚は不浄の生き物とされ、イスラム教徒は豚を口にすることを禁じられています。肉はもちろん、豚を由来とする酵素やたんぱく質を使用することも禁止されています。
例えば、豚由来の酵素やたんぱく質は、医薬品や化粧品などに使われます。製薬業界などでは、豚由来の分解酵素が使用されることも珍しくありませんが、サウジアラビア、イラン、インドネシアなどでは、それらの使用が法律で禁止されているほどです。イスラム教女性の服装と肌を隠す理由
イスラム教徒の女性の多くは、独特な格好をしているため、第三者が見ても「この女性はイスラム教徒である」ということがわかります。
前にもちらりと触れましたが、イスラム教徒の女性は、スカーフのようなものを頭にかぶっているだけならまだしも、全身を布でおおい、目だけを出している人もいます。イスラム女性の服装
布で顔や体を覆うという、イスラム教徒の女性の独特な服装は、コーランの教えに基づいています。国や地域によって違いはありますが、イスラム女性の代表的な服装について説明しましょう。
ただし、イスラム教徒の女性でも、私たちと同じような服装をしている人も、もちろんいます。また、フランスなどヨーロッパの国の中には、テロ対策などのため、全身を覆い隠すなど、イスラム教に基づいた独特の服装を禁じている国もあります。