デブの語源やデブ・ガリの由来・諸説ある語源|出不精/一歩

言葉の意味
「出不精/出無精」が「デブ」の語源では?という意見がありますが、確かな証拠がありません。

いちぶ、でぶ。江戸時代の検地

「一歩(いちぶ)」とは豊臣秀吉の頃の土地の検地の算法です。徳川幕府になり基準が変わり、土地を再検地して過去の測量結果より増えた分を「出歩(でぶ)」と呼びます。

江戸後期の地方書(じかたしょ)『地方凡例録』(1791~4(寛政3~6年)に「是ハ古撿の村、新撿になれば、間竿の寸尺差ふに付、打出しの出步(でぶ)あり、之を竿延ともいふ」と「デブ」が登場しています。この江戸時代での検地の用語「出歩」が「デブ」の語源なのでは?という説も有力です。 以前の測量結果より出た部分、「出歩(でぶ)」。体重が以前より出た人、「デブ」。

音の語感と「デブ」の肉感

デブの語源やデブ・ガリの由来・諸説ある語源|出不精/一歩

日本は状態や感情などの音を発しないものを字句にする、擬態語の多い国です。

例えば、「じろじろ見る」は凝視している状態を表します。「よぼよぼ歩く」はおぼつかない足取りで歩いている状態を表します。水のいっぱい入って溢れそうな状態を表す擬態語には「タプタプ」があります。前出した「でぶでぶ」や「でっぷり」も太った状態を表す擬態語です。「たっぷり」という言葉も量が多い状態を表します。 このように日本語の「て」、「ふ」という音の語感には豊富さやはみ出しそうな感じ、膨らんだ、太ったイメージが宿っています。同じ語感をもった擬態語として例えば「でっかい」、「デーン」、「でれでれ」、「ふっくら」、「ふんわり」、「ふかふか」が挙げられます。いずれも大きな様子、はみ出しそうな様子、膨らんだ状態、「デブ」の肉感に繋がる語感を備えています。

デブが語源となって派生した言葉

デブの語源やデブ・ガリの由来・諸説ある語源|出不精/一歩

「デブ」が語源として派生した言葉で、「おデブちゃん」、「百貫デブ」など人を揶揄するものがありましたが、今ではあまり使われなくなりました。最近よくテレビで見かける「デブタレ」は個性的なキャラクターを売りにしており、その言葉も派生語の一つです。

豊かな「デブ」語源も表現もたっぷり!!

デブの語源やデブ・ガリの由来・諸説ある語源|出不精/一歩

いかがでしたでしょうか。「デブ」、小さな頃から親しみのある言葉ですがその語源に関しては諸説ありました。

明治期、カタカナ英語が広がりだしてからの「double chin(デブチン)」二重あご説、江戸の庶民に読まれた本で使われている「でぶでぶ」、「でっぷり」説、また江戸の検地の用語「出歩(でぶ)」説。その音感がもつ膨よかなイメージが日本人の耳と直感にしっくりくるのも、日本が状態や感情を表す擬態語の豊かな国だからでした。 俗説と言われる「出不精」説も含めると、「デブ」とい言葉の響きが人々の連想を掻き立てる魅力に溢れた言葉であることがわかります。人を傷つけるために使うのではなく、擬態語の魅力を活かしてこれから200年後にも「デブ」が使われ続けるように、楽しく豊かな表現を目指しましょう。
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