枯れ専とは、何か?
近年、よく耳にするようになったキーワードに「枯れ専」というものがあります。枯れ専とは、成熟しきった大人の男性、特に、老齢期にさしかかった男性を好む嗜好のことです。もしくは、若い女性が、自分とは極端に年齢の離れた男性に惹かれる恋愛嗜好を指します。
いぶし銀の魅力
老齢期にさしかかった男性には、年齢を重ねることで得られる、いぶし銀のような渋みがあります。それは、他の年代の男性には手に入らない、何にも代え難い、特別な魅力があります。
加えて、年齢を重ねた男性には、若く血気盛んな男性に見られるようなぎらぎらと角が尖った印象があまりなく、ほどよく角がとれた穏やかな印象を与えます。それが、非常に味わい深く、柔らかい独自の雰囲気を醸し出しています。枯れ専な人の特徴
枯れ専は、どちらかといえばマイノリティな趣味趣向だといえます。枯れ専の傾向がみられる女性たちには、なにか共通の特徴があるのでしょうか。どのような特徴・性格をしているのでしょうか。
同世代と話が合わない
枯れ専の女性には、自分と同世代の人とは趣味の方向性が異なって、なかなか話が合わないという傾向がみられます。自分の世代で流行っているファッションやカルチャーにあまり関心がなく、同世代の人とは、話が合わないのです。趣味の合う人、話の合う人を求めているうちに、自然と、歳の差のある男性に惹かれてしまうこともあります。
自分にないものを求めている
異性に対して、自分にないものを求めているタイプも、枯れ専女性になりやすい傾向があります。恋愛において、自分にないものを求めているタイプの女性は、自分とは全く異なった文化的背景を持ち、自分の知らない世界を知っている男性を好みます。
生まれ育った環境が自分とは全く異なる男性や、人生経験が豊富な男性との出会いを求めているのです。結果的に年齢の離れた大人の男性に惹かれる、なんてこともよくあることです。甘えたい願望が強い
誰かに甘えたい願望が強い人も、枯れ専女性になりやすい傾向があるでしょう。人間ですから誰にでも、密かに、「誰かに甘えたい」「誰かに頼りたい」という気持ちがあるものです。極端に年齢の離れた異性に惹かれてしまうという女性は、男性に包容力を求めています。自分より、極端に年齢を重ねた男性を好む枯れ専の女性は、特に、甘えたい願望が強い傾向があると考えられるでしょう。
マイペースな生き方を好む
趣味や嗜好が人と違うことを、あまり大きな問題とは考えていません。むしろ、他人と違ってこそ、自分らしさや個性になると考えています。その、マイペースを貫いても平気だという考え方が、枯れ専という異性の好みにも表れているのです。マイペースな生き方を好む女性に、枯れ専女性が多い傾向にあります。
枯れ専はファザコンなの?
自分よりも、ずっと年齢が上の男性に惹かれてしまう女性は枯れ専と呼ばれていますが、枯れ専は、父性を求めるファーザーコンプレックス(ファザコン)とは異なるものなのでしょうか。若い女性が、枯れ専になってしまうことには、一体どんな理由があげられるのでしょう。
男性がいない環境で育った
枯れ専の女性には、男性に縁が薄い環境で育った女性もみられます。父親や祖父と同居していなかったなどの理由で、幼い頃から、身近に親しい間柄の男性が少ない環境で育った女性は、恋愛にも父性を求めて、年齢の離れた男性に惹かれる傾向があるのは確かでしょう。そういった意味では、ファーザーコンプレックスと近い感覚として、枯れ専の嗜好を持つ女性がいることは考えられます。
恋愛経験が少ない
身近に男性が多い環境で育っている場合でも、思春期や適齢期に、同世代との幸せな恋愛を経験しなかった女性もいます。このような女性にも、枯れ専の傾向がみられることもあります。自分の恋愛経験の辛さや乏しさから、相手に包容力を求めてしまがちです。結果的に、自分をリードしてくれる相手を求めて、年齢の離れた男性に惹かれて、枯れ専となるのです。
年上男性になぜかモテる
人間は、好意を持たれた相手に対して、自分も好意を持ちやすくなる心理が働きます。これは、恋愛においても同様です。自分のことを好きだという、好意的な態度を示してくれる男性に対して、女性はより好意感じてしまうのです。
同世代の男性にはあまりモテないけれど、なぜだか歳の離れた男性にモテるというタイプの女性がいます。年上の男性側の立場に立ってみると、恋愛経験の少ない女性は、放っておけない、声を掛けたくなるタイプの女性なのです。 無意識のうちに、年上男性からの好意の視線を感じているうちに、相手に好意的な感情を抱きます。そうして、自分は同世代の男性よりも、年齢の離れた男性が好みなのだと、枯れ専への道を歩んでいく女性もいます。年上男性を美化してしまう
人生経験を多く持つ男性にも、当然、欠点や子どもじみた面はあります。幼い頃から身近に、父親や祖父のいる環境で育った女性は、男性の下品な部分や子どもじみたも知っています。家族の前で大きな平気でオナラをしたり、おやじギャグやダジャレを連発するような、格好良くない面も知っています。
しかし、年齢の離れた男性のいない環境で育ってきた女性の場合、そのような面は目の当たりにしたことがありません。年齢を重ねた男性に対して、老賢者のような、尊い美化したイメージを持ってしまいがちです。そのために、年齢の離れた男性に対して、憧れの感情が大きくなってしまうこともあるでしょう。枯れ専がテーマの小説・映画・漫画・ゲーム
小説『センセイの鞄』
『センセイの鞄』は、作家・川上弘美による恋愛小説です。第37回2001年度谷崎潤一郎賞受賞作品ということで、正統派の枯れ専文学とも呼べる作品です。
主人公・ツキコは、行きつけの居酒屋で、高校時代の恩師に再会します。古文の教師だった「センセイ」は70代。ツキコとセンセイは、年齢が30歳ほど離れていますが、二人の関係は恋愛関係へと発展してゆくことになります。 70代のセンセイとの、淡く、しかし色濃い恋愛模様が、ゆったりと時間が流れるように描かれています。妙齢の二人が、美味しいものを食べたりお酒を飲んだりしながら、デートを重ねて、関係を深めてゆく物語です。枯れ専女性の心には、妙に響くリアリティがあるでしょう。ノンフィクション小説『金子光晴のラブレター』
『金子光晴のラブレター』は、詩人・金子光晴の女弟子であった大河内令子へのインタビューを元に、ジャーナリスト・江森陽弘によってまとめられた、ノンフィクション小説です。金子光晴は50代、女弟子の大河内令子は20代の時に、二人はいわゆる愛人関係となり、30年にも渡り関係を持ちます。
『金子光晴のラブレター』を原作に、日活ロマンポルノ映画『ラブレター』が製作されました。映画『ラブレター』は、成人映画として製作・公開されたにも関わらず、多くの女性の支持を集めて、にっかつロマンポルノ史上最大のヒット作となりました。