牛乳の糖質とカロリー、栄養素、主成分
牛乳の主成分は、水分が87.7%、固形成分12.3%という割合になっています。つまり、ほとんどが水分でできていることがわかります。そして、水以外の固形成分としては、脂質・タンパク質・糖質・ミネラル・アミノ酸・有機酸などからできています。いわゆる3大栄養素のほか、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素もまんべんなく含まれています。そのため、牛乳は「完全栄養食」と呼ばれることもあります。
牛乳の脂質
脂質は、牛乳に含まれる固形成分の要素のうちの1つで、そのほとんどが「トリグリセリド」と呼ばれるものです。トリグリセリドは別名「中性脂肪」とも呼ばれており、バターやクリームの主成分になっています。牛肉の脂身の主成分であるほか、人間の体脂肪の主成分でもあります。
このトリグリセリドという脂質は、牛乳の脂質のうち98%を占めています。残りの2%は、ステロール・リン脂質・糖脂質・脂溶性ビタミン・カロチノイドなどで構成されえています。牛乳のタンパク質
牛乳に含まれるタンパク質のうち、77%がカゼイン、23%がホエイタンパクで構成されています。カゼインは熱には強いのですが、酸度が増加すると沈殿するといった性質を持っています。チーズを構成するタンパク質は、このカゼインが中心となっています。
カゼインは、小さな集合体を作って牛乳の中を浮遊しています。牛乳が白いのは、このカゼインが作る集合体が散らばって漂っているためです。発酵したり酸を入れたりして牛乳を酸性にすると、カゼインは沈殿します。この性質を利用して作るのが、ヨーグルトやチーズなのです。 一方で、残りの23%にあたるホエイタンパクですが、こちらは牛乳が酸性になっても沈殿はしません。ホエイタンパクは、乳清に含まれるタンパクの総称です。乳清は、チーズやヨーグルトを作るときに浸み出てくる液体です。この液体に含まれているのがホエイタンパクなのです。100ml中の栄養素
牛乳の栄養素は、エネルギーでは66kcal、タンパク質は3.3g、脂質は3.8gとなっています。無機質では、カルシウムが114mg、カリウム160mg、リン86mgと、バランスよく栄養素が含まれています。
脂肪が気になる人には低脂肪牛乳がおすすめ
生乳から乳脂肪分を除去した牛乳を「低脂肪乳」といいます。低脂肪乳に含まれる乳脂肪分は、0.5%以上1.5%以下に調整されています。タンパク質やカルシウムなど、生乳に含まれている栄養素は変わりないといわれています。なので、脂肪を気にされる方の場合はこちらを飲むほうがいいかもしれません。ただし、牛乳を使った料理の中には、乳脂肪を利用しているものもあるので、それには注意が必要です。
牛乳の糖質の種類
牛乳の成分に占める糖質の割合は、4.5%となっています。100g当り5gの糖質が入っていると覚えておきましょう。この牛乳に含まれている糖質の主成分は、「乳糖」と呼ばれる糖質です。牛乳を飲んだときにお腹の調子が悪くなったりするのも、この乳糖が影響しています。
乳糖とは何か?
乳糖は、別名「ラクトース」とも呼ばれる糖質の一種です。乳糖は、二糖類の糖質で、一糖類のガラクトースとブドウ糖が結合してできる糖類です。この乳糖は、植物ではレンギョウという花の花粉にしか含まれておらず、主に哺乳動物のミルクにしか含まれていないということがわかっています。また、母乳に含まれている乳糖の一部は、分解されずに大腸に到達し、乳児の腸内のビフィズス菌を増やす働きがあると言われています。
乳糖の消化と腹下しの関係
この乳糖を体内で消化するのは、腸内にある「ラクターゼ」という酵素です。日本人を含むアジア系の人には、このラクターゼを分泌する能力が弱い人が多いといいます。この能力が弱い状態を、「乳糖不耐症」といいます。この「乳糖不耐症」の人は、乳糖を分解する酵素の量が少ないため、小腸の中で分解することができません。そのまま大腸まで到達してしまいます。
分解されなかった乳糖は、大腸の中で腸内細菌によって発酵し、炭酸ガスと脂肪酸と水に分かれます。発生した炭酸ガスや脂肪酸に腸は刺激され、自発運動を活発化します。そして、消化されずに大腸まで到達した食べ物などにより大腸の中の浸透圧が高くなるため、体の中から水分が腸粘膜を通過し、腸管内に移動します。その結果、お腹を下し下痢になってしまうのです。